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お読みいただきありがとうございます。
スキルがごちゃごちゃしているとのご指摘を頂きましたので、改行で整理してみました。
他に何かお気付きの点などあれば言って貰えると助かります。
あと一日開いてしまいすみませんでした。
砂煙が晴れる前に、シンリはすかさずナニカに向かって【鑑定】を使用した。
『ウッドゴーレム』
『【鑑定】が無効化されました』
『魔力が溜まり、魔物と化した木。地面から養分を吸収することができ、それによって高い再生能力を持っている。火には弱いが、水を与えると回復する』
『《称号》:【森の眷族】【聖樹】』
『《スキル》:【光合成 Lv.10】【聖霊信仰 Lv.10】
【風魔法 Lv.10(4)】【土魔法 Lv.10(7)】
【アースクウェイク Lv.10(3)】【再生 Lv.10(5)】
【火炎無効 Lv.10(-)】【状態異常無効 Lv.10(-)】
【毒無効 Lv.10(-)】【猛毒無効 Lv.10(-)】
【衰弱無効 Lv.10(-)】【疫病無効 Lv.10(-)】
【呪毒無効 Lv.10(-)】【睡眠無効 Lv.10(-)】
【麻痺無効 Lv.10(-)】【腐蝕無効 Lv.10(-)】』
「あれ、俺疲れてんのかな。いや疲れてんだけどさ。幻覚が見えるわ……ははは……」
シンリは目をこすってもう一度見た。
『ウッドゴーレム』
『【鑑定】が無効化されました』
『木に魔力が溜まり、魔物と化したモノ。地面から養分を吸収することができ、それによって高い再生能力を持っている。火には弱いが、水を与えると回復する』
『《称号》:【森の眷族】【聖樹】』
『《スキル》:【光合成 Lv.10】【聖霊信仰 Lv.10】
【風魔法 Lv.10(4)】【土魔法 Lv.10(7)】
【アースクウェイク Lv.10(3)】【再生 Lv.10(5)】
【火炎無効 Lv.10(-)】【状態異常無効 Lv.10(-)】
【毒無効 Lv.10(-)】【猛毒無効 Lv.10(-)】
【衰弱無効 Lv.10(-)】【疫病無効 Lv.10(-)】
【呪毒無効 Lv.10(-)】【睡眠無効 Lv.10(-)】
【麻痺無効 Lv.10(-)】【腐蝕無効 Lv.10(-)】』
「は、は、は……」
引きつった表情で乾いた笑いが出た。
ーー認めよう、これは現実だ、と。
そこからのシンリの行動は早かった。
砂煙が晴れる前に回れ右をして猛ダッシュで逃げ出した。
「なんだあのメッタメタに俺メタなスキル編成!メタり過ぎだろ!毒系封じられたら俺なんにもできねえからな!?初めてのバトルでちょっとドキドキしてたのに現在進行形で心臓がドッキンドッキンだわ!」
シンリを倒すためだけに作られたようなウッドゴーレムに向かってシンリはそう叫んだ。
スキルレベルもさることながら、きっと身体能力も桁違いに高いに違いない。
シンリ自身も「なっ!あの巨体でなんて速さだ……っ」というセリフを言ってしまうのだと【直感】が告げていた。
故に。
「なっ!あの巨体でなんて速さだ……っ!ちくしょう言っちゃった!」
ウッドゴーレムは回り込んでシンリの前に立ち塞がった。
ベースは人型。太い根が何本も絡み合ったような構造で顔の部分の空洞の奥に妖しく光る赤い輝きがあった。多分あれは目だ。
「お前絶対出てくるところ間違えてるよ。序盤に出てきていい能力値じゃねえもん。魔王に即死は効かない程度ならいいとしてもよ?俺にとって毒が効かないって言うのは魔法使いに魔法が効かない相手を用意するのと同じことだからね?さらに言えば通常攻撃っていう選択肢すらないからね?」
シンリはステフォを素早く操作してアイテムボックスから木刀を取り出す。
無いよりはマシだ、という考えと、隠された能力が開花するという希望を抱いての行動だ。
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!』
「来んな来んな来んな!!」
ウッドゴーレムが腕を振りかぶった瞬間、シンリは両腕を前に出して目をつむり顔を逸らした。完全な悪手である。
幸い、と言っていいのか、ウッドゴーレムの腕は地面に叩きつけられ、シンリになんの影響もなかった。
シンリには。
「お、お、おおおっ!?地震ってか【アースクウェイク】か!!スキルの範疇超えてんじゃねえのかこれ!人為的に起こしていいレベルじゃねえぞおい!お前魔物だけどさぁ!!」
森どころか大陸中が震えていると感じさせるような揺れに、シンリはなす術なく地面に叩きつけられた。幸か不幸か【痛み分け】によって木は切り倒されていたため、倒れるような木は生えていなかったが、倒れたままの木が飛び跳ねるようにそこらじゅうに舞っていた。
そうなればシンリにウッドゴーレムを気にしている余裕はない。弾丸のように飛び交う木に潰されてしまえばもちろん、少しでも掠っただけでそこの部位が弾け飛んでしまいそうなのだから。
対してウッドゴーレムは揺れも、飛ぶ木も気にすることなく、ただシンリだけを目の敵にして迫ってくる。木に当たってもお構い無しだ。木の運動エネルギーも相当なはずなのに、ビクりともしない。まるで元の頑丈さ以外にも何かに守られているようだ。
ウッドゴーレムはシンリの前に立つとその巨大な手のひらを開けてシンリを掴みあげようとする。
「ま、マジで来んなって!」
効かないと分かっていてもシンリは大量の毒をウッドゴーレムに浴びせた。自分を覆っていた毒すらもウッドゴーレムに向けたため全裸になったが気にする暇もない。
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』
毒はめくらましの役割を果たしたらしく、ウッドゴーレムはシンリを掴み損ねた。
未だに止まない揺れの中、シンリは這いながら少しでもウッドゴーレムから離れようとする。
「くそっ!ステフォがあんなところに!」
揺れによって倒れた時に手を離してしまったらしい。木刀に至ってはどこにあるのかすら見当たらない。
木刀はともかくとして、ステフォがあればスキルを取得出来るため、どうしても拾わないといけないと考えた。新スキル無しでこの状況を乗り越えられるとは流石に思えなかったのだ。
「距離を取って転送されるのを待つか……?いや、そんな簡単に離れられるんだったらここまで苦労してねえよ。だが取りに行くなんて無理だぞ……。ウッドゴーレム以前にこの揺れが収まってくれねえと走ることすらままならんしな」
シンリがどう行動するか考えている間にウッドゴーレムが待ってくれるわけでもない。毒を散らしたウッドゴーレムは真っ直ぐシンリに近付いてくる。
「待て、距離なら……いける、か?」
頭に閃いた考えを行動に移すべきかを迷うが、迷う時間すらも惜しい。ウッドゴーレムはもう手を伸ばしてきている。
自分を信じてシンリは手を地面に突き立てた。
【穴掘り】、発動。
「おりゃああああ!!」
【穴掘り】:効率良く穴を掘ることができる。レベルに応じて効率が変わる。
シンリには分かった。どこを掘ればより最短で、より深く掘れるのかが。
それは【直感】のような漠然とした『なんとなく』といったモノではない。
長年経験してきたような、そんな感覚で掘り進めることができた。
「今なら言えるぞ昨日の俺!【穴掘り】は最っ高のスキルだってなぁ!」
一秒とかけずにシンリの身体がすっぽりと埋まるほどの穴が掘れ、ウッドゴーレムの魔の手を避ける。
「あはははは!掘れる!掘れるぞぉ!」
高笑いしながら掘り進め、早くも数メートルも深く土の中に潜っていたが、シンリはあまりにも都合良く考え過ぎていて忘れていた。いや忘れていたというか、単に【穴掘り】が優秀過ぎて気付く暇も無かったのだ。
揺れはずっと続いていたということに。
「あばばばば!?」
一気に周りの土が崩れ、さらに上からも土が落ちてきたため、シンリは生き埋め状態となった。
光の届かない真っ暗闇。
ただその空間に一つの明かりが灯された。
(死んだかと思った……いや、ここでいいスキルが来てくれないと死ぬんだけど。だから、頼むぞ)
シンリの手にはステフォが握られていた。
そして四つん這いのような状態で、腹の辺りに僅かな空洞があるためステフォの操作くらいは造作もない。
揺れる冷たい地面の中で、シンリは11連スキルガチャのボタンを押した。
シンリ・フカザト
《称号》
【異界人】【最終者】【生還者】
【疫病神】【毒魔】【害虫駆除】
【苦行者】【災魔】【害獣駆除】
【魔人】【賢者】
《スキル》
【毒霧 Lv.7】【観察眼 Lv.4】【魔力操作Ⅱ Lv.4】
【回復術 Lv7】【ヒール Lv.10】【活性化 Lv.5】
【調薬 Lv.1】【痛み分け Lv.4】【毒無効 Lv.5】
【猛毒耐性 Lv.7】【衰弱無効 Lv.3】【麻痺無効 Lv.1】
【状態異常耐性 Lv.7】【魔力Ⅲ Lv.3】【災厄の予兆 Lv.4】
【キラー:虫 Lv.10】【穴掘り Lv.10】【疫病耐性 Lv.6】
【呪毒耐性 Lv.5】【睡眠耐性 Lv.5】【苦痛耐性 Lv.7】
【痛覚耐性 Lv.8】【飢餓耐性 Lv.4】【探査 Lv.3】
【鑑定 Lv.6】【収納術 Lv.10】【破魔 Lv.2】
【直感 Lv.7】【腐蝕耐性 Lv.4】【生命感知 Lv.1】
【キラー:獣 Lv.6】【人化 Lv.-】【従命 Lv.1】
【魔力効率化 Lv.4】
スキルポイント:50