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お読みいただきありがとうございます。

超ギリギリです。

「【鑑定】のレベルが上がるって分かってたらあの変な果物みたいなの持ってきとけばよかった。いや、案外この辺にもあるかも?」


 そう思って【探査】を使ってみたが、反応はなかった。

 レベル1での探査範囲がどれだけかはいまいち分からないが、初めて使ったあの時は相当運が良かったらしい。


「はあ……。腹減ったなぁ。こっちに来たのが昨日の昼くらいとしたらそろそろ1日経つんじゃねえの?てかスタート位置って大切じゃね?他の奴ら、温かい飯食ってるとか書いてんだけど」


 腹の減りを誤魔化すためにステフォでグループチャットを見ていたシンリはそんな書き込みを見つけて余計に空腹を意識した。


『森の中、空腹で死にそうなんだけど何かアドバイスをくださいm(_ _)m』


 シンリが書き込みするとすぐに既読が付き、いくつかの返信が来た。


『すまん、今貴族の館で絶賛高級昼飯中なんだけどなにか質問ある?』

『国にもよるけど、この世界の植物とか一見食べられそうに見えて毒持ちが多いらしいから注意。あまり死ぬことはないらしいけどね』

『【鑑定 Lv.3】あったらそれが毒持ってるかは分かる。【鑑定 Lv.4】あったら毒の種類も。麻痺毒程度なら食べてよし。運が良かったら耐性スキルゲットできる。【鑑定】取ってないなら乙としか言えない』

『森だったら動物とかいるんじゃないかな?でも魔物っていうのもいるから注意ね。食べれるらしいけど超強いっぽいからね。でもグリフォンの卵はすごい美味しい!あ、ごめんね』

『俺も山の中でサバイバル中だ。お互い頑張ろうぜ兄弟。ちなみに言っとくとスライムって食えるんだぜ?』


 それから『グリフォンは哺乳類なのか、鳥類なのか』というどうでもいい談義が始まったので『( 'ω')アザッス』と返してステフォの画面を落とした。


「毒の種類が分かる、か。なら俺の毒を調べてみるか」


 シンリは【毒霧】で体内の毒を操って、色ごとに空中に浮かせた。


 紫、黒、赤、黄、紺、青、の順に毒を調べてゆく。


『ジルクス・ヴィノス』

『バジリスク種が使用する毒。冒されると次第に身体が動かなくなり死に至る。死体はまるで石のように固くなる』

『少量であれば薬として使うことが出来る』


『ジルクス・ウィクス』

『バジリスク種のとある個体が使用する猛毒。冒されると魔力が失われるようになり、死に至る』


『ジルクス・ぺスス』

『バジリスク種のとある個体が使用する猛毒。冒されると様々な病に罹り、死に至る』


『ジルクス・パルス』

『バジリスク種のとある個体が使用する猛毒。冒されると身体が痺れ動かせなくなり、やがて死に至る』


『ジルクス・カース』

『バジリスク種のとある個体が使用する猛毒。冒されると呪い状態になり、三日後に死に至る』


『ジルクス・スピス』

『バジリスク種のとある個体が使用する猛毒。冒されると睡眠が誘発され、そのまま眠るように死に至る』


「全部致死毒じゃねえか!てかよく生きていられるな俺!」


 ちょっと怖くなってきて身体に纏った毒を文字通り霧散させたが、全裸が恥ずかしかったのでやっぱり元のように纏った。


「でも……マジか。今は人とかに出会ってないから全色纏って耐性上げしていいとしても、森を出たら紫だけにするか。唯一猛毒って書いてないし。薬にもなるらしいし」


 そう決めたシンリは、ついでに試してみたいことがあったのでやってみることにした。


「流石に肌の色が違うってのは分かってても見た時びっくりするんだよな」


 それは毒が精製される場所を移すということ。今は右脇腹の辺りからじわじわと身体全体に広がっていく形だが、この精製場所は動かせるという根拠の無い確信があった。


「っと……おお、やっぱりできた」


 シンリは精製場所を右手の手のひらへと移動させた。

 十秒と経たずに手首のあたりまで紫を中心とした色に染まる。

 手のひらという人目に付く位置にした理由は、手袋のようなものをすれば隠せるということや、自分でも見やすいため操りやすいからという他に、もう一つあった。


「くぅ〜っ!やっべ、ちょっとかっこよくないかコレ!」


 自分の身体を蝕むように侵していくという姿がシンリにはかっこよく見えた。

 少しアレンジを加えて赤色や青色を操って模様を描いている始末である。

 ついでに一部分を顔に移動させて、目の下にタトゥーのように毒を操ったりもしていた。もちろんステフォにある鏡機能でちゃんと確認している。

 ひとしきり満足して顔のタトゥーは流石に戻したが、腕の模様はそのままだ。どうせ毒を放出する時に形が崩れることを彼はまだ知らない。


「んじゃ、【探査】で食料見つけるついでに森を出るとするか。あ、水は最大まで入れとこう」


 川で水をアイテムボックスに収納してから、来た方向に戻ろうとする。

 だがその方向は水を大放出したためにぐちゃぐちゃになっていたため、シンリは見なかったことにして何食わぬ顔で獣道を進んだ。


 腕の毒の中にもう一種類、茶色が混ざっていたことにシンリは気付かなかった。



「これは……マズイ。非常に、マズイっすわ……」


 日は既に落ち、時間は夜になっていた。

 太陽の代わりに月が出ているが、今は雲で隠れているのか辺りは真っ暗だ。


 森の中。

 まだシンリは森を抜けることが出来ていなかった。

 どの方向に進めばいいのか分からなかった、ということもあるが一番の理由は他にある。


「くそ、この辺にももう木が……これで最後か」


 木に触れながらシンリは【痛み分け】と呟いた。

 すると木はズゾゾ……という音とともに崩れるように倒れていった。シンリが手を当てていた場所は色が変色し、腐敗していた。


 風が吹き雲が流れ、月明かりのおかげでほとんど何も見えなかった景色が見えてくる。


 木が、なかった。


 いや、あるにはあるが、全て幹の中腹くらいで折れており、まともな木は一本として存在していなかった。

 倒れている木はどれも腐ったような茶色に変色していた。


「ヤバい、右手の感覚がなくなってきた。早く耐性上がれよマジで頼むから。毒の強さが他のと同じくらいならレベル3か4辺りでなんとか耐えれるレベルのはずなんだよ……っ」


 シンリは左手でステフォを操作してステータス画面を開いた。


ーーー


シンリ・フカザト


《称号》

【異界人】【最終者】【生還者】

【疫病神】【毒魔】【害虫駆除】

【苦行者】【災魔】【害獣駆除】

【魔人】【賢者】


《スキル》

【毒霧 Lv.7】【観察眼 Lv.4】【魔力操作Ⅱ Lv.3】

【回復術 Lv7】【ヒール Lv.10】【活性化 Lv.5】

【調薬 Lv.1】【痛み分け Lv.4】【毒無効 Lv.5】

【猛毒耐性 Lv.7】【衰弱無効 Lv.3】【麻痺無効 Lv.1】

【状態異常耐性 Lv.7】【魔力Ⅲ Lv.2】【災厄の予兆 Lv.2】

【キラー:虫 Lv.10】【穴掘り Lv.10】【疫病耐性 Lv.6】

【呪毒耐性 Lv.5】【睡眠耐性 Lv.5】【苦痛耐性 Lv.7】

【痛覚耐性 Lv.8】【飢餓耐性 Lv.4】【探査 Lv.3】

【鑑定 Lv.6】【収納術 Lv.10】【破魔 Lv.2】

【直感 Lv.5】【腐蝕耐性 Lv.2】【生命感知 Lv.1】

【キラー:獣 Lv.6】【人化 Lv.-】【従命 Lv.1】

【魔力効率化 Lv.3】


スキルポイント:50


ーーー


「まだレベル2ぃ!?嘘だろおい、そろそろ持たねえぞ」


 シンリは新しい木を探すべくよろよろと歩き始める。

 シンリの歩いた場所に生えていた草は、途端に萎れ茶色く変色した。


 【腐蝕耐性】。これは【毒霧 Lv.7】になったことで新しく増えた毒、『ジルクス・ディクス』の腐毒によって得られたスキルだ。

 シンリは初め【毒霧】のレベルが上がったことに気が付かずに『ジルクス・ディクス』を普通に纏っていたが、ふと振り返った時にシンリが通ってきた道にあった植物が全て腐っていたのを見てようやく気が付いた。

 しかし気づいた時にはシンリの右手は壊死しかけていた。

 耐性スキルを得られると言っても初めは持っていないからだ。毒を精製していた右手から徐々に腐敗は進んでいたのだ。


 慌てたシンリがダメ元でそばにあった木に【痛み分け】を使用すると、シンリを蝕んでいた腐敗が半分木に移ったので、何度も使用して今まで腐蝕の進行を抑えてきたのだ。

 そして今に至る。


「つか、毒が異様に強い気がする……【痛み分け】っと。一人で森を半壊させたとかシャレになんねえなおい」


 少し腐蝕速度が収まった気がしたのでステフォで確認すると【腐蝕耐性 Lv.3】に上がっていた。

 まだ安心はできないが、ひとまずは体内に閉じ込めていても自分の身体が腐っていくなんてことがすぐに起こることはないだろう。腐蝕はゆっくりと進んでいくはずだ。たまに、文字通りの毒抜きをすればいい。

 そう思ってシンリは茶色い毒を右手に集めた。

 流石にこの毒を常時纏っているわけにはいかない。


「ちょっと腐ってる部分も【痛み分け】した後に【活性化】したら治るだろうし、とりあえず山は越えたぁー。超疲れたー」


 シンリはその場に座り込んだ。

 ステフォを見ながら呟く。


「てか、称号とかスキルとか増えすぎだろ。スキルポイントなんてもう11連引けるじゃねえか」


 ふと、だるくなって身体を横に倒した。

 その身体があった場所を、何かが通過していく。


「っ……!?」


 近くにあった岩が粉砕され、砂煙と破片が飛ぶ。

 シンリは疲れている身体にムチを打ってその場から距離をとった。


「おいおい空気を読んでくださいよ。こっちは疲労困憊絶賛空腹中で割とガチで倒れそう何だってのに」


 言葉が通じるかは分からないが、砂煙の中に見える二メートルを超える巨体の影にそう言い放った。

シンリ・フカザト


《称号》

【異界人】【最終者】【生還者】

【疫病神】【毒魔】【害虫駆除】

【苦行者】【災魔】【害獣駆除】

【魔人】【賢者】


《スキル》

【毒霧 Lv.7】【観察眼 Lv.4】【魔力操作Ⅱ Lv.3】

【回復術 Lv7】【ヒール Lv.10】【活性化 Lv.5】

【調薬 Lv.1】【痛み分け Lv.4】【毒無効 Lv.5】

【猛毒耐性 Lv.7】【衰弱無効 Lv.3】【麻痺無効 Lv.1】

【状態異常耐性 Lv.7】【魔力Ⅲ Lv.2】【災厄の予兆 Lv.2】

【キラー:虫 Lv.10】【穴掘り Lv.10】【疫病耐性 Lv.6】

【呪毒耐性 Lv.5】【睡眠耐性 Lv.5】【苦痛耐性 Lv.7】

【痛覚耐性 Lv.8】【飢餓耐性 Lv.4】【探査 Lv.3】

【鑑定 Lv.6】【収納術 Lv.10】【破魔 Lv.2】

【直感 Lv.5】【腐蝕耐性 Lv.3】【生命感知 Lv.1】

【キラー:獣 Lv.6】【人化 Lv.-】【従命 Lv.1】

【魔力効率化 Lv.3】


スキルポイント:50


ーーー


あまり見直せてないので誤字脱字やおかしな点があるかもしれません!あったらごめんなさい!

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