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お読みいただきありがとうございます。
「知らない天井だ……」
いや嘘。めっちゃ知ってる。
そもそも天井ですらないし、岩肌だし。
「寝てた、のか? それとも気を失ってたのかな。シンリたちを見てからの記憶がない」
ヒイラギはそう呟きながら自分の状況を確認した。
藁のような干し草が集められ、その上に布を引いた簡易ベッドに寝かされている。
いるのは個室……洞窟に個室という言葉も変だが、人が二人以上いれば狭く感じるだろうと言った程度の広さの部屋だ。
あの、血だらけだったりボロボロだったりな服は着替えさせられたのか、今は村人Aが着ていそうな布の服を着ていた。防御力は皆無だろう。
吸血種になった効果か、傷はやはり完全に回復しており、異常も違和感もなかった。
一通り状況を確かめたあと、特に理由もなく側にあったステフォに手を伸ばす。
見るのはもちろんグループチャットだ。
そこにはこんなことが書かれていた。
『あいつらマジあり得ねー。人助けしたのに、その能力が魔物のモノだからって化物扱いだ。もうずっと寝てない。気を抜けば殺される。限界だ。だれか助けてくれ』
『悪りぃけど他人を気にかける余裕がねえ』
『わたしも、ムリ。うっかり人前で使っちゃって、なんとか誤魔化したけど怪しまれてる。バレるのも時間の問題かな……』
『街に入れず野宿生活なんだぜぃ。【鑑定】あるから食料はなんとかなるけど、布団が恋しい』
『剣と魔法のファンタジーで夢と希望のハーレムを築くはずだったのに……どこで間違えた!』
『好きでこんな世界に来たんじゃない!』
『いや自分で望んだろ』
『こんな世界だと知ってたら選ばなかった! しかも選んでもどっちにしろこの世界来てたし!』
『そうだよね。選択肢あるようで無かったってことだよね』
『クーリングオフを要求する! 元の世界に返せー!』
『一週間過ぎてるし、第一もう死んでるんだけどな』
『スキル要らないー! cooling off!』
『どのみち期限切れwww』
『お前ら、人が本気で殺されかけてるのに……』
『あ? じゃあ不幸自慢大会でもするか、ん?』
『なんで喧嘩腰なんだよ……』
……なんだこれ。
そこから本当に不幸自慢が始まっていた。
文章のため真偽を読み取ることはできないが、見ているだけで胸糞が悪くなるものもある。
会話は段々とエスカレートしていき、悪い方向、悪い方向へと向かっていた。
その不幸自慢で暗くなった雰囲気の中でこんな発言がされていた。
『ていうか、まだ誰も死んでないよね?』
一瞬、息が止まった。
そうだ。これだけ不幸に遭っている人がいて、殺されかけている人もいるのだ。ヒイラギ自身も何度か死にかけた。今生きているのは、偶然が重なっただけだと思っている。
クラスメイトの誰かが命を落としていてもおかしくないのだ。
ヒイラギの探している妹が生きている保証はどこにもない。
「終夜……」
無意識に、同じくこちらの世界に来たであろう双子の妹の名前を呟いていた。
画面をスクロールして、チャットの続きを見守る。
『まだ、とか言うなよ』
『ん、流石にどうかとおもった。ごめん』
雰囲気はさらに暗くなる。
発言も次第に減って、誰も発言しなくなっていた。
次の発言は、少し時間が空いてから書かれたものだった。
『お兄ちゃん参上』
『は?』
「は?」
これにはヒイラギも唖然とした。
この空気の中、よくこんな意味不明な発言出来たなと感心するレベルだ。これが匿名のなせるワザなのだろうか。
だがこの発言はチャットを盛り上げることに一役買っていた。
『どーもお兄ちゃんです。言わなくても誰だか分かるだろ?』
『まさかお前はーー』
『お兄ちゃん!』
『その手があったか! なら俺もお兄ちゃんだ!』
『じゃあ俺は妹だな。お兄ちゃーん』
『騙されるな! ワイがお兄ちゃんや!』
『うちのクラスに関西人は存在しない』
『落ち着けお前ら。お兄ちゃんの話を聞け』
『わたしがお兄ちゃんです』
『うるせえ』
『お兄ちゃんはそんな事言わない!』
『そもそもお兄ちゃんって言われてるの見たことないよね』
『聞いて』
『みんなーしずかにー。お兄ちゃんが何か言いたそうだー』
『お兄ちゃんの話をしよう。奴は……』
『ごくり』
『わくわく』
『(つばを飲む)』
『……』
『はよ言えや』
『クラスメイトを、それも女子をっ、奴隷にしましたァ!』
『っ』
『っ』
『っ』
「っ」
「シンリぃ!!」
「呼んだ?」
思わず叫んでしまったヒイラギに返事をしながらシンリが部屋に入ってきた。
後ろにはアキヅキもいる。おそらく、アキヅキがヒイラギが目覚めたことに気付き様子を見に来たのだろう。
が、そんなことはどうでもいい。
「おっはー」
「うるせえ!」
「お兄ちゃんはそんな事言わない!」
「うるせえよっ!? ちょっとなにこれ!? ものすごい盛り上がってるんだけど!?」
「嘘はないだろ」
「事実だけども! だからこそタチが悪い!」
チャットには、ヒイラギがアキヅキを奴隷にした旨が書かれており、それを元に各々が色んな発言をしている。
もちろん、アキヅキの名前は出せないため、その考察も盛り上がっていた。
発言したことは取り消せないし、たとえ取り消せたとしてもこうも大勢に知られてしまえば、それは意味をなさない。
さらに言えば、そのお祭り騒ぎは既に終わっており、時間だけ見れば二日も前だ。
不幸自慢辺りの時間を見ていれば、ヒイラギが五日ほど気を失って眠っていたことが分かるのだが、ヒイラギにはそれを気にする余裕はなかった。
眼には眼を、歯には歯を。
暴露には暴露を。
『もう一人のお兄ちゃんで、通じる? 通じて』
『お兄ちゃん降☆臨!』
「シンリ!」
「なぜバレたし」
「ここにいない人がノータイムで書き込めるか!」
『ほら、妹同士がアレな関係のお兄ちゃん』
『あ、これガチお兄ちゃんだわ』
『通じる通じる。お前ら一緒にいんの? 意外』
『その前にお兄ちゃん、奴隷ちゃんとどこまでいったんですか』
『それな』
『何もない。ちょっと言わせて』
『今度はアナザーお兄ちゃんが何かしたんですかぁ?』
ガッ!
ヒイラギのやろうとしている事を瞬時に悟ったシンリはヒイラギに掴みかかったが、それを予期していたヒイラギに【結界術】で対処される。
シンリが透明の壁に阻まれている間にヒイラギは部屋からの離脱を試みた。
しかし【結界術】はシンリのスキルだ。シンリが使えない道理はない。唯一の出口の前に結界を設置され、退路を絶たれてしまった。
シンリはヒイラギの結界を破壊し、飛び散った破片が魔力として霧散する前にそれを使って己の手首を切る。
ぷつりと白銀の血のたまが浮かび、重力に従って地面に落ちた。
すると多くの植物が生え、シンリはそれを操りヒイラギを拘束しようとするが、ヒイラギもその工程を黙って見ていた訳では無い。
先日手に入れた魔力を吸うスキル【吸精】をシンリの結界に対して使い強度を弱めていたのだ。もはやそれはヒイラギのレベル1の結界と同じ脆さと言ってもいいだろう。ならば、ヒイラギがこの部屋で戦う必要はない。
結界を割り、扉に手を掛けるがもう一方の手を植物に掴まれてしまう。シンリが勝ち誇ったような笑みを浮かべているのが見えるが、ヒイラギにはそれがおかしくて逆に笑ってしまった。
「アキヅキさん、シンリの足止めを全力で」
主人であるヒイラギの命令に、奴隷であるアキヅキは逆らえない。そして、この洞窟においてアキヅキは普段の数倍の能力を発揮することが出来る。
アキヅキはまずシンリの地面を泥沼とし、少し沈めたあとクリスタルにし固定する。
それだけで普通の人間であればなす術なくなるが、相手はシンリだ。自分が動けなくなったとしても植物を動かすことが出来る。そもそも、まだ植物はヒイラギの腕を掴んだままだ。
しかしそれはヒイラギにとって意味の無いものである。
ヒイラギはシンリの意識がアキヅキに移った一瞬を突いて腕を泥と化し、拘束を解いた。
自由となったヒイラギを阻むものは何もない。
扉を開け、部屋を出る。
と、そこにはシセルがいた。
一瞬ヒイラギは、誰か分からなかった。
初めてあった時の彼は、特徴的な白髪は赤黒い返り血で染まっており、殺意や敵意を隠そうともしない殺伐とした雰囲気だったのに対し、今の彼はあの時とは似ても似つかぬ穏やかそうな中性的な顔立ちの少年だったからだ。
そんなシセルが目の前に現れて、ヒイラギは驚いた。
彼にとってもヒイラギがいきなり出てくるのは予想外なので、二人して目を丸くする。
どちらも動けない中、状況を動かしたのはシンリだった。
「シセル! ヒイラギを拘束しろ!」
「え、あ、うん」
状況を飲み込んでいない彼が即座に反応できたのは、やはりシンリの眷族となり命令として受理されたからだろう。
悪魔に渡した右腕は彼の意思では動かせないため、左腕に彼のスキルである『黒』で強化した。
巨大化したその手でヒイラギを壁に押し付け、拘束しようとする。
ヒイラギがとった行動は、吸血種の魔物スキルである【血族】を発動させるだけだ。
【血族】を持っている時点で身体は吸血種であり、再生能力や身体能力は上がる。しかし発動させなければ、男がしたように霧になったり影を通ったりはできない。
発動したことにより、ヒイラギの瞳は吸血種の持つ血のような紅い瞳に変わる。
「っ」
それを見てシセルの動きが少し鈍った。
恐怖を感じたのだ。生物の持つ、根源的な恐怖を。
ちなみに実はこれは、厳密に言えばスキルの効果ではない。
食物連鎖の頂点に立つ吸血種を目の前にした者が、被食者として捕食者に恐怖を呼び起こされているのだ。
二度目の戦闘時、眼帯の男に対してヒイラギが恐怖を抱かなかったのは、敵としてではなく味方として男と話したことがあったから、という訳だ。ヒイラギには男を怖い人には思えなかった。
ともあれ、狙いのズレた攻撃を避けるのは簡単だ。
ヒイラギはシセルの腕を躱しながら、彼の目の前に手を突き出して【光魔法】を目くらましに発動させた。
一時的に視界が機能しなくなったシセルの背後に移動して、部屋の中に押し込む。
扉を閉じる前に、アキヅキに「扉の前をクリスタルで封鎖して」と命令するのも忘れない。
「ふぅ」
一息。
これで邪魔者はいなくなった。
一応、部屋から離れながらチャットを開くと、ヒイラギの次の言葉を催促する発言がいくつも見られた。
既読数的に、クラスメイトの大半が今このチャットを見ていると理解できる。
ヒイラギは無意識に口元を釣り上げながら文字を打った。
『アナザーお兄ちゃんはっ! 12歳の少女をっ! スキルで無理矢理彼女が恥ずかしがることをさせていましたぁ!』
『ヽ(*`゜∀゜´)ノォォォォォォォォォォ!』
『ヽ(*`゜∀゜´)ノォォォォォォォォォォ!』
『ヽ(*`゜∀゜´)ノォォォォォォォォォォ!』
『ロリコンだぁぁぁぁあああ』
『キスされてましたァ! 告白されてましたァ!』
『アナザー先輩って呼ばせてもらっていいですか』
『アナザーパネェ』
『通報しました』
ヒイラギはやり遂げた、スッキリした顔で笑った。
ここ最近で一番の笑顔であった。
〇
さて、それからチャットでのお祭り騒ぎを他所に、ヒイラギとシンリの喧嘩で半壊した洞窟をなんとかアキヅキが維持したりという話は割愛し、ただいま現在一つの部屋に、シンリ、ヒイラギ、アキヅキ、シセルの四人が集まっていた。
シンリが即席で作った植物のテーブルに、2対2で向き合いながら座っている。シンリ、シセルとヒイラギ、アキヅキだ。
何のために集まっているのかというと、シセルがヒイラギとアキヅキに謝るためである。
ちなみに、ヒイラギやアキヅキからすれば、あの後の大人たちとのいざこざの方がインパクトが強く、かつ被害も被ったのでどちらかと言えば向こうに謝ってもらいたい。いや、多分後から謝罪は貰えるだろうし、そもそも発端がシセルということで彼からの謝罪は、彼にとってもケジメとようなものなのだろうが。
「あの……その……」
シセルは顔を俯かせて、もごもごと口を動かす。
シンリからの前情報で大まかに彼の過去事情などを聞いていたので、ヒイラギとアキヅキは暖かい目で彼を見守る。
アキヅキなんて小声で「がんばれー」とか呟いている。
殺されかけたことなど忘れて、完全に子供扱いだ。
それが聞こえたのか、シセルは羞恥か怒りか分からないが顔を赤くし、顔を隠すようにテーブルにうつ伏した。
「う〜」
「ちょっとこの子かわいすぎませんか!?」
「やめたげて」
「『お兄ちゃんは言った。君の方が可愛いよ』いや、ヒイラギはこんなこと言えないな」
「嘘書くのやめて」
ぶっちゃけ、どう転んでもシセルが再び堕ちることはないだろうと、この謝罪会に興味を持っていないシンリ。
謝罪よりも、精神年齢の低いシセルの幼い言動に悶えるアキヅキ。
なんか色々力を使ったり、昼間で吸血種的に眠かったりで割と無気力なヒイラギ。
ぐだぐだだった。
数十分後、顔を上げていなくても伝わるアキヅキの好奇の視線に耐えかねたのか、シセルは顔を伏せたまま言った。
「……ごめんなさい」
「よく言えましたっ!」
身を乗り出して、シセルの頭を撫でるアキヅキ。
抵抗する気力もなく、シセルはされるがままだった。
「え。座ったまま謝罪とか誠意が足りなく無い?」
「鬼か」
「ですよね。ちゃんと私たちの顔を見ながら謝って欲しいです」
「アキヅキさんはどっちの味方なの」
シセルは横目でちらりと隣にいるシンリを睨んだが、ステフォのチャットに何をどう書き込もうか悩んでいるシンリは気付いていない振りをした。
「うーあー! わかったよ!」
自分の中で何かが吹っ切れたシセルはそう言って思い切り立ち上がり、アキヅキの前まで行って大きく息を吸った。
「ごめん、なさい。僕が悪かった、です……」
「許しましょう! 可愛いは正義! 正義は勝つ!」
「まあ、誰も死んでないしね。終わりよければってやつだよね」
アキヅキは元気よくサムズアップして、ヒイラギは苦笑しながら言った。
「……ありがとう」
自然と、その言葉が出た。
すっと心に浸透し、身体中を満たすように未知の感覚が広がっていく。
ーーああ、これは……。
ふわり、と。
シセルの身体を何かが包んだ。
「……え?」
アキヅキに抱きしめられていた。
シセルよりも背の低い小柄な少女。
けれどその身体は、どういう訳かとても大きく感じて。
どういう訳か、とても懐かしく感じた。
「大丈夫、大丈夫ですよ。安心してください」
心地よく響く声と、撫でられる頭の感触がとても気持ちよくて、つい目を細めてしまう。
そこでようやく自分が泣いていたことに気が付いた。
ずっと一人で生きてきた。
ずっと独りで生きてきた。
誰かを信じれば裏切られるから、誰も信じなかった。
さみしかった、つらかった。いつの間にか、それらを感じなくなっていた。
優しさを忘れていた。楽しさを忘れていた。
感情を忘れて、残ったものは恨みと憎しみ。
世界を恨んで世界を憎んだ。
好きでこんな力を得たわけじゃないのに、どうしてこんな目に遭わないといけないのか。
けれどその力で人間を殺した。同胞も殺した。
敵を殺した。多分、敵でない者も殺した。
何も思わない。思えない。
そんな感情は、とうの昔に忘れてしまっていた。
それでいいと思っていた。
なのに思い出してしまった。
誰かといる温もりを。与えられる優しさを。
どうしてこんなにも温かいのだろう。
どうしてこんなにも涙が溢れてくるのだろう。
「ごめんなさい、ごめんなさい……お母さん」
ああ、そうか。
抱きしめてくれたのは、あの人だけだったから。
どうしても思い出してしまうんだ。
あの人との日々を。あの人を殺した記憶を。
あの日のことをずっと後悔していた。
どれだけ謝ったところで、あの人に届くことはないだろうけれど。
それでも、謝りたかった。
「ごめんなさい」と。
〇
と。
シンリがステフォをカンペに『シセルを抱きしめてやれ』と指示してきたので、まあ効果的かなと思い抱きしめたまではいいけれど。
(予想以上に泣かれるんですが……)
もう宥めるとか慰めるとかの域を超えて、あやすという表現が近いレベルでシセルの相手をしているアキヅキだが、ちらりとシセルを一瞥し、次の指示を仰ぐ。
するとそこではヒイラギと仲良く肩を組み、余った手で狐を作って口と口をツンとぶつけていた。
キスしろキス、というジェスチャーらしい。
お前ら喧嘩してたんじゃないのかよとか思うと同時に後で痛い目に会わすと心に決める。
あとどうでもいいが『お母さん』と呼ばれたことが地味にショックだった。そんな年じゃないですよぅ。
「シセルくん。あなたの過去を詳しく聞いた訳ではありませんが、大体は聞きました。辛かったですね、などと言うつもりはありません。心中を察するなんて、この前まで女子高生やってた私にはできないことです」
横目でひそひそと「なんか喋り出した」とか話してる二人の足場を泥にして、首まで埋まってからクリスタルで固定する。
ニヤニヤしている所をみると、わざと逃げなかったらしい。
とりあえず一旦意識を外して、シセルに向き直る。
「過ぎてしまった過去は変えられません。時間が戻ることはありません。後悔することもあるでしょう。失敗を嘆くことも許されます。それでも、私たちは生きている限り前を向くしかないんですよ。時間は戻りませんが、進むのです。過去は変えられませんが、未来は作れるのです。過去のことは、必ず時間が解決してくれます。だから……」
小さく「えっと……」と行き当たりばったり台本なしリハーサルなしの一本勝負のセリフを即興で考える。
何かの本からパクってきた文でもいい。がんばれ文学少女の記憶!
「だから……わ、私と一緒に未来へ歩き出しましょう!」
聞き方によれば、プロポーズとも取ることのできるセリフ。
シンリとヒイラギは後でチャットに書き込もうと思った。
シセルは顔を上げ、腫れた目でアキヅキを見る。
「ありがとう。でも、もう大丈夫。僕は……僕たちは、君たちの手を借りなくても前に進めるから」
「ぶふっ! 振られぐぁっ……」
吹き出したシンリの上に岩石が落ちてきた。
それなりに大きいので隣に埋まっていたヒイラギにも直撃する。
後頭部に大きなたんこぶを作りながら、二人は地面とキスをするハメになった。
それを見て、シセルとアキヅキは二人して笑い合った。
この後、大人達にも謝罪されしたとさ。
とりあえず大団円ってことで……( ̄▽ ̄;)




