表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/124

-14-

お読みいただきありがとうございます。

ちょっと眠たい頭で書いたので読み辛かったり変なところがあるかもしれません。ごめんなさい。

あとなんか全体的に暗いです。

「シリウスさま!あそぼー!」

「シリウスさまー。アネダダの木、生やして!おいしいんだよ!」

「りんごもっとほしい!ねえシリウスさま」

「こらこら。シリウス様が困ってるでしょう。ごめんなさいねシリウス様。この子たち、治ったばかりで元気を持て余してるの」

「シリウスさまー」「シリウスさま!」「シリウス様」


 シンリの目の前には、無邪気な笑顔で自分を見上げる子供たちや、子供たちをなだめつつシンリのことを『シリウス様』と呼び敬う女性がいた。

 彼らのシンリへの接し方はまるで、神様でも相手にしているようだった。


 ……。

 ……なんだこれ。


 シンリは、心の底からそう思った。



 シンリがこの村に来てから既に三日が経過していた。

 その三日の間にシンリがしたことといえば、毒を取り除いたり、リンゴなどの食べられる植物を生やしたり、木材の提供や風を操っての運搬などで村の復興を手伝ったり。あとはブラックウルフという狼の魔物を追い払ったりしたりだ。

 そんなことをしているうちに、シンリはいつの間にか村の救世主のような扱いになっていた。

 シンリとしては罪悪感に駆られての行動であり、感謝されることすらも心苦しいのだが、村人たちに恩義を感じる必要はないと何度言っても聞き入れてくれなかったため、流されるままにその扱いに甘んじていた。


 ちなみに、なぜシンリが『シリウス』と呼ばれているのかというと……


「ははは、モテモテだなシリウス様は」

「黙れ。お前だけは俺のことをそう呼ぶな」


 なんてことはない。

 この世界の住人には『シンリ』と呼ぶのが難しかったらしく、その場にいたヒイラギが「じゃあシリウスって呼ぶのはどうかな?」と言ったところ、それが採用され定着してしまっただけの話である。

 ついでに言えば、この世界でシリウスという名前は豊穣の女神の名前らしい。それを聞いてからシンリのヒイラギへの当たりは少し強くなった。


「んで、わざわざ俺のとこに来たってことは、何か起きたか?」

「ああ……エルゼちゃんの魔力が枯渇してきた。今すぐにじゃなくてもいいけど、なるべく早めに頼む」

「いや、今から行く」

「そうか」


 シンリは椅子から立ち上がって、先に歩き出したヒイラギの後ろについてゆく。

 何も知らない子供たちはシンリたちについていこうとしたが、事情を知っている女性が止めた。


 ヒイラギは無言で村の中を進んでゆく。

 今通っている道は村の最端に位置する何もない場所であるにも関わらず、おそらくシンリはこの村の中で一番なじみのある場所だろう場所だと思った。それだけ多くこの道を歩いているのだ。


「だんだん、間隔が短くなってるな。まだ三時間も経ってないだろ」

「そう、だな。三日前は半日は大丈夫だったのに……このままいけばそろそろ……」

「黙れよ。俺が治す。絶対に死なせはしない」

「……悪い。でも、お前が来てくれてよかったって、改めて思ったよ」

「……」


 ヒイラギの浮かべた安心したような笑みを見ていないふりをして、シンリは歩調を速めた。


 二人はとある小さな小屋の前で足を止めた。

 切った木を積み重ねただけで造ったような簡素な建物。少し力を入れて押しただけでも倒れてしまいそうだが、シンリが【魔力操作】で固定しているため見た目ほど脆くない。

 むしろ、ちょっとやそっとではびくともしないくらいには丈夫だろう。


 ドアを開けると、何もない空間が目に入る。何もないというとさすがに語弊があるが、部屋の隅にベッドが置いてある以外には本当に何もない。

 まあ、それもそのはずだろう。なにせこの小屋はシンリが殊更に罪悪感を抱いた少女のためだけに建てたものなのだから。ほぼ寝たきりの少女にはベッド以外には何も必要がない。


 シンリたちが入ると、中にいた村長であるスゼ爺が一礼した。


「ありがとうございます、シンリ殿。わが孫娘のために……なんといえばいいのか……」

「手形をもらったんです。対価を受け取った以上、やれることをやるのは当たり前ですよ」

「ありがとう、ございますっ……」


 スゼ爺は曲げた腰をさらに深く曲げて噛みしめるようにそう言った。


 シンリはベッドの前まで歩いて、そこに眠っている少女の顔を見る。中学生くらいに見えるが、まだ十二歳らしい。日本人が童顔と言われる理由が分かった気がする。

 彼女の名前はエルゼ。スゼ爺の孫であり、ドゼの娘だ。

 生まれつき身体が弱く、元気な日の方が珍しいくらいの生活だったが、今回の毒により容体はさらに悪化し、明日をも知れぬ状態となっていた。

 さらに言えば、罹ってしまった毒が他の村人たちのように一種類ではなく、『麻痺』『衰弱』『呪い』『睡眠』『疫病』といったすべての毒に罹っていた。

 それが虚弱さゆえか、ただの不運かはわからないが、シンリが罪悪感を抱くのには十分すぎるほどに十分だった。


 シンリは治療として眠っているエルゼの手を取った。毒が集まっている右手で触れれば悪化させてしまう気がして、左手で。シンリがこの部屋にいた方が移動の手間が省けて効率がいいのにわざわざ離れる理由は、自分が近くにいるだけで悪化させてしまいそうだという思いがあるからである。


 シンリは左手に魔力を込める。

 今から行うのはただの【吸収】だ。ただし、エルゼから魔力を吸うのではなく、少し応用してシンリの魔力を分け与えるのだ。

 魔力を増やしてから毒と一緒に吸い出すという方法で、ほとんどの村人から毒は取り除けていた。『衰弱』や『疫病』は毒を取り除いた後もすぐに回復というわけにもいかなかったが。

 ちなみにこの方法を形にするまでの試行錯誤の実験体としてヒイラギの犠牲があったのは別の話だ。


「……このやり方でも、お前を治すことはできなかったんだけどな」


 これはエルゼの魔力容量の問題で、毒を吸い出すために必要な最低限の魔力すらもエルゼには無かったのだ。


「……シンリさん、また来てくれたんですね……ありがとう、ございます」

「あ、起こしちゃったか。ごめんな」

「いえ、気にしないでください」


 彼女はシンリのことを『シリウス』とは呼ばない。

 外に出ることができないから、シンリが『シリウス』と呼ばれていることを知らないのだ。


「気にしないでください」


 エルゼは繰り返した。

 同じ言葉なのに、全然意味が違うような、そんな違和感があった。


「わたしが死んでも、気にしないでください」

「っ」

「もともと、いつ死んでもおかしくなかったんです。だから、たとえわたしが今日死んでも、明日死んでも、シンリさんが気にすることではありません」

「エルゼ!そんなこと冗談でも言うでない!わしより先に死ぬなんぞ、絶対に許さんぞ!」


 エルゼの不吉な物言いに、スゼ爺が憤慨した。

 けれどエルゼは、それを受け止めるように力なく笑って、言った。


「おじいちゃん。そう言ってくれるのはとてもうれしいけど、自分のことだからわかるの。私は、多分もう……」

「エルゼ!そんなことを……言わんでくれ……頼む……」

「おじいちゃん……」


 孫娘を前に泣き出したスゼ爺を横目に、シンリはヒイラギに目配せして退室した。


「……誰かが死ぬかもしれないってのは漠然と覚悟していたけど、思ったよりも、きつい」

「……ヒイラギ」


 シンリは深く息を吐きながら言った。


「俺はエルゼを治すよ。それが俺の責任だから」

「責任……?」


 ヒイラギは眉をひそめた。


「で、治したらすぐにこの村を出る。俺にこの村は居心地が悪すぎるからな。いなくなった理由を適当に考えておいてくれ」

「待て待て待てっ。治したらって、治せるのか?」

「……多分、としか言えないけどな」

「そう言う割には随分と自信に満ちた顔をしてるけどな」

「え、まじで?」


 ペタペタと自分の顔を触りだしたシンリを見てヒイラギは噴き出した。


「シリアスするなら最後まで貫けよ」

「……いやお前が勝手に笑っただけだろ。俺は現在進行形でシリアスモードだ」

「その言い方が既にコメディだよ。というか、シンリってそういうキャラだったんだな。向こうで知っていたら、もっと話してたりしていたかもな」

「それはないな」

「ないか?まあ、確かにないかな。あり得ない」


 二人の意見が一致したことがなんだかおかしくて、二人とも静かに笑った。


 ひとしきり笑い終えてから、ヒイラギが「よし」と言ってシンリに言った。


「俺、シンリについていくよ」

「は?」

「もともとこの村から出ていこうとしてたわけだし。一人よりも二人の方が融通が利くだろ」

「いやいらない」

「そんなこと言うなよシリウス様」

「ゼッテー嫌だ!」


 シンリの怒りを孕んだ叫びが村の中に響いた。

 その叫びに呼応するように強い風が吹いた気がした。



シンリ・フカザト


《称号》

【異界人】【最終者】【生還者】

【疫病神】【毒魔】【害虫駆除】

【苦行者】【災魔】【害獣駆除】

【魔人】【賢者】【聖人】

【聖霊殺し】【森聖霊】【森の主】

【悪人】【善人】【教祖】


《スキル》

【毒霧 Lv.7】【観察眼 Lv.5】【ヒール Lv.10】

【活性化 Lv.9】【痛み分け Lv.8】【毒無効 Lv.5】

【猛毒耐性 Lv.7】【衰弱無効 Lv.3】【麻痺無効 Lv.1】

【状態異常耐性 Lv.7】【魔力Ⅲ Lv.6】【災厄の予兆 Lv.5】

【キラー:虫 Lv.10】【穴掘り Lv.10】【疫病耐性 Lv.6】

【呪毒耐性 Lv.5】【睡眠耐性 Lv.5】【苦痛耐性 Lv.7】

【痛覚耐性 Lv.8】【飢餓耐性 Lv.4】【探査 Lv.6】

【鑑定 Lv.7】【収納術 Lv.10】【破魔 Lv.4】

【直感 Lv.8】【腐蝕耐性 Lv.4】【キラー:獣 Lv.6】

【人化 Lv.-】【従命 Lv7】【魔力効率化 Lv.7】

【偽装 Lv.2】【影踏み Lv.1】【空中歩行 Lv.1】

【剣術 Lv.3】【敏捷 Lv.4】【召喚 Lv.10】

【聖霊信仰 Lv.-】【森力 Lv.10】


スキルポイント:17


ーーー


《称号》


【教祖】:一定数の他の生物に盲目的に信仰された者に贈られる称号。信仰している者に対しての発言が信じられやすくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ