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お読みいただきありがとうございます。

祝☆ブックマーク50件!

なってました。ありがとうございます。


 シンリは、自分のせいで人が死にかけているという事実を知り、冷や汗が頬を伝ったのを感じた。


(え、マジか。いやいや。まだそうと決まったわけじゃ……。俺の毒なんて、バジリスクだっけ?そいつがいたら再現できるっぽいし。バジリスクがどんなんか知らねえけどさ。魔物ならどこにでもいるんじゃね?まあ地震の被害に至っては何の言い訳もできねえっすわ)


 ふと村を首を動かして見渡してみると、石造りの家が崩れているのが見えた。

 もしも倒壊時に人が家の中にいれば、ひとたまりもなかっただろう。


(……そう考えると俺の毒ってかなりグッジョブじゃね?いや俺の毒かはまだ決まってないけどな。てか俺が毒持ってなかったら聖霊さんも激おこになったりしなかったか。くそぅ、どう考えても俺が関係してくる……)


 シンリが自分の内で葛藤しているのに気が付いていないヒイラギは、彼自身がこの世界に来てからのことを話していた。


「でさ、いきなりこの村の中に現れた俺を男連中が斧とか鍬とか持って囲んできたんだ。俺も、向こうも、何もわからない状況だったからさ、殺されてもおかしくなかった。なんとか生かしてもらって、働かせてもらって、お金も貯まってきて……そろそろ村を出ようかなって、思ったんだけど、これだからな」

「あ?」


 シンリはヒイラギの言っていることに疑問を感じて声を発した。


「ん?」

「こっちに来てから……いや、ヒイラギお前、いつこっちに来た?」

「数えてるわけじゃないから正確じゃないけど、一ヶ月前くらいかな。でもそう言うってことは、シンリはまだ日が浅いのか?」

「一ヶ月どころか一週間すら経ってない」

「まあ、転生した人もいるらしいし、一ヶ月くらいの誤差があっても今更だよな。……っ」


 突然、シンリの隣を歩いていたヒイラギがふらりとこけそうになった。

 ヒイラギはめまいを起こしたようにその場にしゃがみこみ、口元を押さえていた。


「マズ……俺にもとうとう毒が……」


 ヒイラギの押さえた手の指の間から、血が溢れ出てきていた。


「耐性のレベルの上がりが早すぎる!シ、シンリっお前はこの村からすぐに出て行け!早くしないと、お前もこの毒にやられる!これはただの毒じゃないぞ!」

「……馬鹿言うなよ。俺が治す。あとは任せろ」


 心の中でごめんなさいと謝りながら、シンリはヒイラギに肩を貸して歩きだそうとしたが、すぐにヒイラギを離した。

 シンリに体を預けていたヒイラギは突然のことに何もできず、地面に叩きつけられた。 


「なに……する」

「いやごめん。服ない?俺、何も着てなかったわ」


 おそらく、いきなりヒイラギに症状が出たのも、シンリの纏っている毒の近くにいたからだろうと思って、シンリはもう一度心の中で謝った。ごめんなさい。


「……?あの家、俺が住まわせてもらってるところだから、あの中にある物なら」


 ヒイラギはよろよろと立ち上がって、今にも崩れそうな一つの家を指さした。その顔には、何言ってんだこいつ、と書いてあった。


 ひとまずシンリはヒイラギを置いて、その家に入り、適当に漁ってみる。


「これでいいや」


 シンリの身体をすっぽりと覆えるくらいの大きさのローブを見つけて、それを羽織った。


「……何がしたかったんだ?」


 ヒイラギの目には、ローブを着替えたようにしか見えなかったため、そう聞いたが、シンリはどこから自分の毒だとバレるか分かったものじゃないので適当にはぐらかした。


 シンリとヒイラギは公民館に戻ってきた。



「思った以上に……酷いな……」


 シンリが見たのはまさに地獄絵図だった。

 百人を超えそうな人たちが所せましと並べて寝かされており、目にくまを作った人たちが休む暇もなく動き回っている。


 苦しそうな呻き声がそこかしこで発せられて、なんとも言えない異臭が充満していた。

 ひゅーひゅーという今にも消えてしまいそうな息遣いが聞こえてきた時、シンリは改めて自分のせいで人が死にかけているということを実感した。


「で、シンリ、治せるのか?」

「……多分、な。つかお前も寝とけよ。」


 ヒイラギやここの村人たちが罹っているのがシンリの毒なのであれば、シンリが自分自身にしたように【回復術】や【ヒール】や【活性化】でどうにかなるだろう。

 ならなくても、【森力】でどうにかなるはずだ。ならなかったらもうどうしようもない。


「ヒイラギヒイラギ」

「ん?」

「お手を拝借」


 【吸収】発動。


「うおっ!な、なにするんだ……」

「魔力が増えた……?いや毒も取れてるな」

「今の、スキルか?確かに毒は消えたけど、村人には絶対するな。奪われる魔力が多すぎる。下手したら毒じゃなくてそれで死ぬ」

「お、おう……」


 【吸収】を使うのは最後の手段にしようと心に決め、シンリは村人たちに【回復術】や【ヒール】を掛けていった。 


 ヒイラギは【光魔法】というスキルを持っているらしく、毒の効果を抑制できるらしい。まあ、レベルが上がれば毒をすぐに浄化するくらいはできるようになるらしいが。


 全員に掛け終わった。

 とりあえず、毒に苦しんでいた村人は治るまでに至らなくとも、ずいぶんと回復しただろう。


「……よく考えたら、俺も治ってるわけじゃないのか」


 シンリは耐性スキルがあるから症状が軽いだけで、実際にはいつでもどこでも毒に身体を蝕まれている。

 今は【森力】の中に組み込まれている【自然回復】というスキルのおかげで、毒よりも回復力が勝っており健康な状態だが、聖霊になる以前は目には見えなくても内蔵などの器官は毒によりボロボロになっていた。

 まあ、シンリがその事実を知ることはもう有り得はしないが。


 シンリがどうしようかと悩んでいると、ヒイラギが老人を連れてきた。


「シンリ、この人がネイロ村の村長のスゼ爺。シンリにお礼を言いたいってさ」

「いやいいよ。まだ治ってないし」


 ……そもそも俺が原因だし、とは言わない。言えない。


「それでも礼を言わせてくれ。おぬしが来なければ、今日明日には誰が死んでもおかしくなかった。この恩は到底返し切れるものではない。だが見ての通り、この村は壊滅状態だ。金をやろうにも、物をやろうにも、渡せるものがない」

「要りませんよ。当然のことをしたまでですから」


 ……全部俺が原因だし、とは言わない。言えない。


「だからせめて、これをおぬしに託そう」

「だから要らな……なんですか、これ」


 シンリが無理やり渡された物は、一枚の紙だった。読めない文字で何かが書かれており、右下には血判が押してあった。


「これは王宮が発行した手形だ。この国の街などに入るためには検問を受ける必要があるが、その待ち時間は長ければ一週間を超えることがある。だが、その手形があれば一時間と待たされずに中に入ることができるだろう。もはやこの村から出ることのないわしにとって、無用の長物だ」

「ああ、高価な物じゃないなら気兼ねなく……」


 シンリがステフォに手形を入れようとしたその時、一人の男性が血相を変えてやってきた。


「おい親父!もしもこいつが、その手形を使って入った街で問題を起こしたら、その責任は親父の元に行くんだぞ!?」

「いい。既に失っていたはずの命だ。こやつに救われた命だ。こやつの責任を負って死ぬことに、何の躊躇いもないわ」

「凄く重く感じてきたんだけどこの紙」


 ヒイラギに、「これどうしよう」という意味を込めて目を向けると「スゼ爺の息子のドゼさん」と言ってきた。違うそうじゃない。

 だがそこはクラスで中心的な立場にいたヒイラギ。持ち前の空気を読むスキルでシンリの言いたいころを察し、「もらっとけばいいと思う」と言った。


 村長も頑なに渡そうとするため、シンリが折れて受け取った。

 ドゼだけが納得していないような顔をしていたが、シンリに助けられたということは事実であるためか、それ以上は口を挟まなかった。


(なんて言うんだっけ、こういうの……。ああ、マッチポンプだ)


 シンリは乾いた笑みを浮かべながら遠くを見つめていた。

シンリ・フカザト


《称号》

【異界人】【最終者】【生還者】

【疫病神】【毒魔】【害虫駆除】

【苦行者】【災魔】【害獣駆除】

【魔人】【賢者】【聖人】

【聖霊殺し】【森聖霊】【森の主】

【悪人】【善人】


《スキル》

【毒霧 Lv.7】【観察眼 Lv.5】【ヒール Lv.10】

【活性化 Lv.7】【痛み分け Lv.6】【毒無効 Lv.5】

【猛毒耐性 Lv.7】【衰弱無効 Lv.3】【麻痺無効 Lv.1】

【状態異常耐性 Lv.7】【魔力Ⅲ Lv.4】【災厄の予兆 Lv.5】

【キラー:虫 Lv.10】【穴掘り Lv.10】【疫病耐性 Lv.6】

【呪毒耐性 Lv.5】【睡眠耐性 Lv.5】【苦痛耐性 Lv.7】

【痛覚耐性 Lv.8】【飢餓耐性 Lv.4】【探査 Lv.6】

【鑑定 Lv.7】【収納術 Lv.10】【破魔 Lv.4】

【直感 Lv.8】【腐蝕耐性 Lv.4】【キラー:獣 Lv.6】

【人化 Lv.-】【従命 Lv7】【魔力効率化 Lv.5】

【偽装 Lv.2】【影踏み Lv.1】【空中歩行 Lv.1】

【剣術 Lv.3】【敏捷 Lv.4】【召喚 Lv.10】

【聖霊信仰 Lv.-】【森力 Lv.10】


スキルポイント:11


ーーー

《称号》

【悪人】:一定数の他人を貶めた者に贈られる称号。悪行がうまくいきやすくなる。


【善人】:一定数の他人を助けた者に贈られる称号。善行がうまくいきやすくなる。

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