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空の上の願い  作者: 菜菜
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 朝早くから起こされた。


 休みなんだからまだ寝ていてもいいのに。 


「仕事もしてないくせに」と怒られた。


 渋々布団から這い出し服を着て茶の間へ向かう。


 一汁一菜。今日も龍兄ちゃんの作るご飯は美味しい。


 中庭ではさっきまで俺が寝ていた布団が太陽に向かってキレイに干されている。


 戻ってきた龍兄ちゃんと朝ご飯を食べて、入れてくれたお茶を飲む。


 子供の頃は一緒に食事をする事が多かった。


 その時も食べこぼしの多かった俺の面倒を見てくれていたっけ。



「龍兄ちゃん、俺のお嫁さんにならない?」



 なんかいーかも。って思ったのに



「うーん、ばーさんの遺言でそれは無理」って



 断る理由が遺言ってなに!?



 ◇◇◇◇◇



 長年続いた生活習慣はなかなか変わらない。


 世話をしなくてはいけない者は誰一人残っていないのに何時ものように目が醒める。


 布団の中で新しく世話をしなくてはならない人間の顔を思い出し、まだ少し早いこの時間に起こしては悪いかと暫くそのまま過ごしてみたが寝てもいられず布団を畳んだ。


 以前なら、しなくてはならない事は山のように有ったのに祖母がなくなってからは洗濯物の量も減り、食事に粥を炊くことも無くなった。


 週末は晴天が続くと天気予報であったように日がのぼるとともに気温も上がっていった。



 布団が干したい。



 そう思っても伸夫に起きる気配は無い。


 縁側の雨戸も既に開け放ち部屋には光が満ちている。


 布団を頭まで被って寝ているので分かっていないのだろうが。


 さすがに声を掛けると「休みなんだから、もっと寝かせてよ~」なんて寝ぼけたことを言う。


 有無を言わせず布団から出し伸夫が服を着ている間に食事の支度をする。


 それにしてもあいつはパンツ一枚でよく眠れるものだ。



 中庭へ布団を干し、欲求が満たされる。



 茶の間へ戻り少し遅い朝食をとる。


 伸夫は年寄りの食べるような目立ったところの無い食事を美味そうに食べている。



「龍兄ちゃん、俺のお嫁さんにならない?」



 食事終わりに入れた番茶を飲みながら伸夫が言った。


 嫁になりに来ただの、嫁になれだの、まだ寝ぼけているのか。


 にべもなく断ると伸夫は「ええー」と言ってふてくされた。


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