表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の上の願い  作者: 菜菜
2/7

 祖母が長の患いから解放されて空へ煙りとなって上がっていくのを見上げたのが随分と前のことに思える。


 ささやかな葬儀ではあったけれど手続きは山のようにあり


 その間は感じることも無かったが


 全ての片付けが終わり自分以外は誰も居なくなった家に独り、暮らしていることに寂しさをおぼえた。


 年老い床へ臥すことの多くなった祖母は何かにつけ自分を枕元へ呼び心配事を口にした。


 それは毎日、毎回、同じ事の繰り返しで次に何を言うかも一言一句そらんじてしまえるほどだったが


 その全てが全て、枕元へ読んだ孫の身を案じての内容だったので自分はただ「心配しなくても大丈夫だから」としか言うことが出来なかった。




 四十九日が過ぎ暫くした日の夕方


 玄関の戸を叩く音に読んでいた本を閉じ脇に置く。


 古いが部屋数があり、中庭もちょっとしたものを持つこの家は一人で住むには広すぎる。


 ようやく玄関の引き戸を開けた時には随分と客を待たせてしまっていた。


「すみません、お待たせしました」


 一言詫びながら滅多に無い来客を確認する。


 頭一つ上から眩しいくらいの笑み。


「龍兄ちゃん久し振り、おぼえてる?伸夫だよ。会いたかった」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ