96話「選択」
ゼビウスの嘲笑を聞きながら、ヒビキはうつ伏せのまま拳を震わせていた。
ヒビキ(ボスだった男もなす術なく
死んだって…!?
ボス…シグマさんのことか!)
脳裏に、シグマの最期の言葉が蘇る。
◆ヒビキの回想
シグマ『最後に…
四天貴将の一人に…
気を付けろ…
奴の能力は…ま…き…
……。』
ヒビキ(あの時シグマさんは
“巻き戻し”と言いたかったのか…!)
怒りが爆発する。
ヒビキ「よくも…!シグマさんを…!
よくも…!アクトのみんなを…!」
満身創痍の体を引きずりながら、ヒビキはゆっくりと立ち上がった。
ヒビキ「速度進化!」
光が走り、ヒビキは一気にノクティアへ突進する。
キリヤ「ヒビキ!一人で突っ込むな!」
その叫びに――
ノクティアが一瞬だけ硬直した。
ドガッ!!
ヒビキの拳がノクティアの顔面を捉え、
ノクティアは壁まで吹き飛んだ。
壁が崩れ、瓦礫がノクティアを覆う。
砂埃が舞い上がり、視界が白く染まる。
アクトメンバー「!!!!!」
キリヤ(おかしい…なぜ今の攻撃を食らった?
それに俺の言葉に
一瞬動揺したようにも見えた…)
砂埃が晴れ、瓦礫の中からノクティアがゆっくりと立ち上がる。
その仮面には大きなヒビが走っていた。
ピシッ…ピシピシッ……
ヒビが広がり――
バリンッ!
仮面が砕け散る。
露わになった素顔を見た瞬間、ヒビキの心臓が止まった。
ヒビキ「!!!!!!!!!!!
ミ、ミオ…」
ノクティアの正体は――
ヒビキが探し続けた恋人、ミオだった。
アクトメンバー「!!!!!」
(ミオ!?あれが
ヒビキの助けたかった恋人!?)
その時、ゼビウスの声が響く。
ゼビウス「フハハハハハ!いかにも!
その人間は
お前の探していたミオだ!
ただし、今は余に改造され、
洗脳状態にあるがな!
おい、ミオ!
早くその人間を始末しろ!」
ミオ「かしこまりました。」
ミオは無表情のまま、ヒビキへ斬りかかる。
ヒビキ「ミオ!俺だよ!
ヒビキだよ!やめてくれ!」
必死の説得も虚しく、ミオの剣は止まらない。
イズナ「ダメ!完全に操られているわ、
話がまったく通じない!」
キリヤは這いつくばりながら怒りを爆発させた。
キリヤ「…ふざけるな。
ふざけるんじゃねえぞ!
あいつはな!あんたを助けるために
必死でここまで来たんだ!
それなのに!それなのに、
こんな仕打ちがあるかよ!」
ゼビウス「ははは!
お前達はその人間を助けるために
ここに来たのだろう?
どうだ、殺せまい?
そのまま全員殺されるがいい!」
ヒビキ「…ダメだ、できない!
ミオを殺すなんて、
俺にはできない!」
その瞬間――
ミオの剣がヒビキの胸を切り裂いた。
血飛沫が舞い、ヒビキは倒れ込む。
ミオは無表情のまま、トドメを刺そうと剣を振り上げた。
だが――
ヒビキの胸元で、レガトゥスのアビスオーブが眩く輝いた。
“無効”の力が発動し、ミオの洗脳が一瞬だけ解ける。
ミオ「…して」
全員「!?」
ミオ「…私を殺して」
ヒビキ「ミオ!」
ゼビウス「な、馬鹿な!我が洗脳を退け、
自分の意志で会話しただと!?」
ミオは震える声で続ける。
ミオ「今、私が巻き戻し能力を
使わないように押さえてる。
過去に戻ってあなたとやり直すための
能力だったのに…
こんなことになるなんて。
もうじき意識が消える。
その前にあなたの手で…
お願い、殺して。
私が能力を使う前に早く…うっ」
再び意識が途切れ、ミオはヒビキへ斬りかかる。
ヒビキ「うわあああ!!!」
二人の一撃が交差した。
ミオの胸のアビスオーブが砕け散る。
ミオは崩れ落ち、ヒビキはその体を抱きしめた。
ミオ「…ありがとう。
もう会えないと思ったけど、
最後に会えて良かった。
ちゃんと、前に進んでね…」
そのまま、ミオは静かに息を引き取った。
ヒビキは声も出せず、膝から崩れ落ちる。
キリヤ、イズナ、マシロ、ダイキが駆け寄る。
キリヤ「…お、おい…」
ヒビキ「…さない」
涙を拭い、ヒビキはゆっくりと立ち上がった。
ヒビキ「…あいつだけは、絶対に許さない!」
煽り:復讐をかけた最終決戦が、今始まる――




