86話「磁界」
東アクトメンバーの前に立ちはだかった腕組みの男が、静かに名乗りを上げた。
マグナ「私は四天貴将の一人、マグナ。
お前達は我が全員始末してやろう。」
キリヤ「さっきのはお前と戦わせるための
罠だったってわけか。
なら、お前を倒して
この罠を抜けるまでだ!」
勢いよく前に出ようとするキリヤを、トウヤが制した。
トウヤ「待て。敵は罠を張ってまで
我々をここに誘った。
きっと何か理由があるに違いない。
奴の能力がわからないうちは
遠距離武器で攻撃しながら
様子を見んだ。」
キリヤ「ああ、わかってる。」
東アクトメンバー「装!」
全員が遠距離武器を召喚し、マグナへ照準を合わせる。
マグナは薄く笑った。
マグナ「くっくっくっ、
そんなに距離をとって
我の能力が恐ろしいか?
来ないのであれば仕方ない。
そちらから来てもらうとするか。」
右手の人差し指を立て、ダイキへ向けて軽く“招く”ように曲げる。
その瞬間――
ダイキの体が浮き、マグナへ一直線に吸い寄せられた。
ダイキ「うわああああ!!!!」
マグナの拳がダイキの顔面を撃ち抜く。
ボゴッ!
ダイキは壁まで吹き飛ばされた。
東アクトメンバー「なにっ!!!!!」
仲間の悲鳴と同時に、東アクトが一斉に遠距離攻撃を放とうとした――が。
マグナ「おっと、一斉攻撃とは危ないな。」
左手を前に出した瞬間、
全員の武器が“見えない力”に引っ張られ、
マグナの手元へ吸い寄せられた。
東アクトメンバー「!!!!!!」
マグナ「没収だ。」
ヒビキ「ぶ、武器が取られた!?」
イズナ「あいつ一体何の能力なの!?」
困惑する東アクトを見渡し、マグナはさらに挑発する。
マグナ「一人ずつ相手するのも面倒だ。まとめてこい。」
右手で再び“招く”動作。
次の瞬間――
東アクト全員の体が宙に浮き、マグナへ吸い寄せられた。
東アクトメンバー「!!!!!!」
マグナの回し蹴りが全員を薙ぎ払う。
ズギャ!
全員が壁へ叩きつけられた。
ヒビキ「ガハッ、今度は全員
吸い寄せられるなんて……
一体……」
ヒビキの言葉を遮るように、トウヤが叫ぶ。
トウヤ「お、恐らく
磁界を自由に操作する能力だ。
さっき遠距離武器を奪われた際に
俺の木製トンファーだけは
没収されていなかった!」
マグナは感心したように目を細めた。
マグナ「ほう、気づいた奴がいたか。
いかにも。
我が能力は磁界支配
(マグネティックフィールド)。
磁界を自由に操作する能力だ。」
東アクトメンバー「!!!!!!」
キリヤ「磁界を……自由に……だと!」
マグナ「そうだ。貴様等の召喚した武器は
ほとんどが金属製。
金属であれば、自由に引力で
引き寄せることができる。
そして……」
説明の途中、ダイキが斧を構えて突撃する。
しかしマグナが右手をかざすだけで――
ダイキは触れる前に弾き飛ばされた。
マグナ「金属であれば、自由に
斥力で弾き返すこともできる。」
東アクトメンバー「!!!!!!」
イズナが息を呑みながら言う。
イズナ「で、でもそれが分かれば
対策が取れるわ。
金属の武器を使わずに戦えば……」
トウヤ「いや……金属の武器を
使わなくても同じだ。
俺達のアビスオーブには
ナノマシンが組み込まれている。」
東アクトメンバー「!!!!!!」
マグナ「そうだ。そして、お前達人間の体には
もっと致命的な弱点が存在する。」
マシロ「致命的な……弱点……?」
マグナは口角を吊り上げた。
マグナ「血液中の“鉄分”だ。
血鉄拘束!」
瞬間、東アクト全員の体が硬直した。
キリヤ「か、体が動かなくなった!」
イズナ「なにこれ!」
マグナ「血鉄拘束は敵の血液中の鉄分を
磁場で一瞬にして凝集させる技。
これにより敵の動きを
封じることができる。」
必死に体を動かそうとするが――動かない。
ダイキ「ぐおおおおお!!」
キリヤ「か、体がまったく動かねえ!!」
ヒビキは歯を食いしばりながら悟る。
ヒビキ(く、くそ……。
俺の能力は初見のデバフ技には
通用しない……!
ここでレベル4になったとしても
食らってしまったこの技の効果を
解除することはできない……!)
マグナ「そして、血界反発
(ブラッド・リペル)!」
次の瞬間――
体内から突き上げるような激痛が全員を襲った。
東アクトメンバー
「ぐあああああ!!!!!
きゃああああ!!!」
ヒビキ(な、なんだこれ!!
体の中で激痛が!!)
マグナ「お前達の血液を同極化させ、
体内から外へ押し出す圧力を加えた。
我が次の一声かければ、
体中から血が噴き出し
お前達は死ぬ!!」
東アクトメンバー「!!!!!」
マグナ「くっくっくっ、死ぬ覚悟はできたか?
それでは行くぞ。」
ヒビキは完全に死を覚悟した。
ヒビキ(も、もうおしまいだ!!!)
煽り:絶体絶命の東アクトメンバー。
起死回生の手はあるのか……!?




