83話「贖罪」
◆集会場
ヒビキ「携帯で連絡いただきましたが、
一体何でしょう?」
レガトゥス「ついに完成したんだ。
アビスの本拠地に行くための
潜水艦が。」
全員「!!!!!」
ヒビキ「本当ですか!?」
レガトゥス「ああ。ただ、みんなの準備も
あると思うからね。
出発してもらうのは
明日にしよう。
今日はゆっくり休んで
明日の出撃に備えてくれ。」
ヒビキ「わかりました。」
(ついに完成か!
もうすぐだぞ、ミオ!)
◆その夜
レガトゥスは一人、薄暗い部屋でアルバムを開いていた。
そこには、これまで命を落としたアクトメンバーたちの写真が並んでいる。
ページをめくる指が震える。
彼の脳裏に、四天貴将だった頃の記憶がよみがえる。
──攫った人々。
──子供の目の前で殺した親。
──泣き叫ぶ声。
──血の匂い。
レガトゥスの回想:
アクト職員「ここに強力な結界を張った。
いかなるアビス能力でも、
いかなる外部からの干渉でも
お前は支部の外には出れない。
一生ここにいろ、化け物め。」
回想終わり。
レガトゥスは静かにアルバムを閉じた。
その表情には、覚悟が宿っていた。
◆翌日
アクトメンバーがレガトゥスの前に集まる。
レガトゥス「ああ。みんな集まったようだね。
それでは完成した
潜水艦へ案内しよう。」
レガトゥスは奥の通路へ歩き出し、階段を降りていく。
その後をアクトメンバーが続く。
しばらく降りると、巨大な地下空間に出た。
そこは太平洋と繋がる潜水艦の停泊所だった。
レガトゥスは停泊している一隻の潜水艦の前で立ち止まる。
レガトゥス「これが君達の待ち望んでいた
潜水艦だよ。
すべての外装はアビスオーブを
元に作られているため、
水深15000mまでの水圧に
耐えることができる。」
マシロ「す、すごい!これなら
アビスの本拠地に行けますね!」
レガトゥス「ああ、ただ1つだけ
問題があってね。」
ヒビキ「問題?」
レガトゥス「君達が所持している
アビスオーブだが、
四天貴将はそのエネルギーを
検知することができる。
もし検知されたら、
本拠地に辿り着く前に潜水艦を
攻撃されるかもしれない。
彼等はアビスバリアを張ることで
水中移動もできるからね。」
ダイキ「や、やばいじゃないっスか!
潜水艦の中じゃ俺達戦えないから
全滅しちゃうっスよ!」
レガトゥス「ああ……
だから、私もどうすべきか
一晩考えたんだ。そして、
ようやくその答えがでた。」
ヒビキ「答え?」
レガトゥス「こうすることだよ。」
次の瞬間──
レガトゥスは自らの胸に手を突っ込み、
心臓とも言えるアビスオーブを引きちぎった。
全員「!!!!!!!!」
レガトゥスはそのまま崩れ落ちる。
ヒビキは慌てて駆け寄り、上半身を抱きかかえた。
ヒビキ「なぜ!一体どうして!
こんなことを……!」
レガトゥス「ずっと……ずっとだ……
どうしたら自分の罪を
償えるのか考えていた……
過去に戻って
やり直すことはできない……
ならば、未来のために
この身を捧げることが……
唯一の贖罪に
なるのではないかと……
ゴホッ!ゴホッ!」
ヒビキ「レガトゥスさん、
もうしゃべらないで!」
レガトゥス「私の“無効化”の……
アビスオーブを持っていれば……
彼等に気づかれず……
アビスの拠点へ行ける……
これこそが……
私の最後の使命であり……
贖罪……
頼む……この戦いを
終わらせてくれ……」
その言葉を最後に、レガトゥスは静かに息を引き取った。
ヒビキ「レガトゥスさん!!!!!!」
ヒビキの叫びが、地下空間に響き渡る。
しばらくして、ヒビキは涙を拭い、静かに言った。
ヒビキ「あなたの命は無駄にしません。
この戦いは必ず終わらせる!」
煽り:命を賭して希望を託したレガトゥス。
最後の戦いが、いま始まる。




