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残響の世界  作者: maro
61/105

61話「忠告」

レガトゥスの予想外の一言に、ヒビキが思わず問い返す。


ヒビキ「能力を使わないほうがいいって……

    どういうことですか?」


レガトゥス「君の瞳孔は渦を巻いている。

      それは“狂者”の兆候だ。

      だから能力を使わないほうが

      いいと言ったんだ。」


ヒビキ「狂者……?」


レガトゥス「アビスオーブとの同調が進み、

      レベル4に到達しそうな者を

      そう呼ぶ。

      これ以上同調が進めば、

      君はいずれレベル4となり――

      完全に自我を失った

      アビスとなるだろう。」


ヒビキ「!!!!

    俺が……アビスに?」


レガトゥス「ああ。そうなってしまっては、

      もはや手遅れだ。

      だから、そうなる前に――」


ヒビキ「俺はなりません。」


レガトゥス「!」


ヒビキ「ミオを助けるためには、

    みんなを守るためには、

    この力がどうしても必要なんです。

    アビスオーブの力になんか……

    絶対負けません。」


レガトゥス「……わかった。好きにしたまえ。

      ただし――アビス化した者で、

      人間に戻れた者は一人もいない。

      さらにアビス化したら

      “アビスとして処分”される。

      それを覚悟しておくんだな。」


レガトゥスの冷徹な忠告に、場の空気が張りつめる。


そこへテツが割って入った。


テツ「まあまあ、二人とも。

   自己紹介の途中で

   いがみ合わんといてや。

   ほな、続けていくでー。」


自己紹介が一通り終わると、

イズナが四魔貴将のアビスオーブをレガトゥスへ差し出した。


イズナ「あたし達が倒した

    四魔貴将のアビスオーブです。

    これで潜水艦を

    作ってくれませんか?」


レガトゥス「もちろんだ。

      アサギリから話は聞いている。

      実はこんな日が

      来るのではないかと思い、

      外装以外は

      すべて準備しておいた。

      すぐ取り掛かろう。

      タク、手伝ってくれ。」


タク「了解。」


その夜


ヒビキはレガトゥスの元を訪れ、深く頭を下げた。


ヒビキ「その……昼間はすみませんでした。

    俺、アビスに攫われた恋人を

    助けるためにアクトに入ったんです。

    だから、この力が

    どうしても必要で……」


レガトゥス「そうだったのか。

      いや、私も君の事情を知らず、

      言い過ぎてしまったな。

      すまない。」


ヒビキ「いえ……」


レガトゥス「ただ、私も悪気があって

      言ったわけではない。

      君のためを思って

      忠告したんだ。」


ヒビキ「俺の……ため?」


レガトゥス「ああ。アサギリから

      聞いているだろうが、

      私は“四天貴将”と呼ばれる

      アビスの幹部だった。

      その頃、私は人間を攫うために、

      数々の残酷なことをした。

      ある時は、子供の前で

      両親を殺し、その子供を攫った。

      またある時は、恋人たちの前で

      片方を殺し、残った方を攫った。

      幹部だった記憶と、その罪だけが

      今も頭に残っている。

      これは、いくらアクトに

      協力しようと償いきれぬ罪だ。」


ヒビキ「でも、それはレガトゥスさんが

    洗脳されていたからじゃ……!」


レガトゥス「そうだとしても、

      アビスに捕まった

      私の落ち度は0ではない。

      そして周りから見れば、

      私は“信頼の置けない化け物”だ。

      ヒビキ君には、

      私のようにはなってほしくない。

      だから――これ以上、

      力を求めないでくれ。

      アビスオーブの住人にも

      接触しないでくれ。

      頼む……」


ヒビキ「……わかりました。」


煽り:レガトゥスの忠告を受け入れたヒビキ。

   化け物化せずに、

   この戦いを終わらせられるのか――

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