43話「悪夢」
真ん中の通路を進んだキリヤチーム
(キリヤ、マシロ、エリカ、マコト、ユウタ)は、突き当たりの巨大な扉の前に立った。
扉を開けると――
薄暗い部屋の中央に、ヴェリシアが微笑んでいた。
ヴェリシア「いらっしゃい。
私は四魔貴将の一人、
ヴェリシア。
あなた達の相手は
私がしてあげる。
せいぜい楽しませてね?」
その瞬間――
部屋全体に濃い霧が広がった。
キリヤ「くっ……なんだ、この霧は!?
おい、みんな!返事しろ!」
周囲を見回すが、仲間の姿はどこにもない。
キリヤ「さっきまで全員いたはず……
これは……!」
◆マコト視点
霧の中をさまようマコト。
マコト「おーい、みんなー!」
そこへユウタが現れる。
ユウタ「あ、いた!よかった、
無事だったんだな!」
マコト「お前こそ!
この霧、敵の能力か?」
ユウタ「多分な。とりあえず
他の仲間を探そうぜ。」
二人は霧の中を進む。
しかし――
マコトの背中に激痛が走った。
マコト「がっ!!?」
背中には五本の深い爪痕。
振り返ると、ユウタが鋭く伸びた指を向けて笑っていた。
マコト「お前……ユウタじゃねぇな!」
ユウタの姿が歪み、ヴェリシアの分身へと変わる。
ヴェリシアの分身「あったり〜!
次はちゃんと当ててね?」
そう言い残し、霧の中へ消えた。
マコト(こ、これが敵の能力……!?)
そこへマシロが駆け寄る。
マシロ「マコトさん!
よかった、無事だったんですね!」
マコト「来るな!どうせお前も偽物だろ!!」
マシロ「えっ!?ちょ、ちょっと待って――」
マコト「問答無用!装!」
マコトはサーベルを召喚し、マシロへ斬りかかる。
同じような争いが、霧の中のあちこちで起きていた。
◆上空のヴェリシア
ヴェリシアは霧の上空から、仲間同士の争いを見下ろしていた。
ヴェリシア「アッハッハッハ!最高!
私のアビス能力
《悪夢》は、
私の目を見た者を
“分身の世界”へ飛ばす能力。
疑心暗鬼の中仲間同士、
勝手に殺し合いなさい!」
◆キリヤ視点
霧の中を進むキリヤの前に、マコトが現れる。
マコト「あ!キリヤさん!
無事だったんですね!」
キリヤ「ああ。……そういえば、
ゴウさんを見なかったか?
さっきまで一緒にいたはずだろ?」
マコト「いや、この霧が出てからは
見てないっすね。
霧が出る前までは
一緒にいましたけど。」
キリヤ「そうか……」
次の瞬間――
キリヤの刀がマコトを一刀両断した。
斬られた“マコト”はヴェリシアの分身へと姿を変える。
ヴェリシアの分身「な、なぜ
わかった……!?」
キリヤ「ゴウさんは俺達のチームじゃねぇ。」
ヴェリシアの分身「ちっ……!」
分身は霧の中へ消えた。
そこへエリカが現れる。
エリカ「あ、キリヤじゃーん!
よかったー!探してたんだよー!」
キリヤ「エリカか。イズナを見なかったか?」
エリカ「イズナ?
分かれ道で別れたじゃん。」
キリヤ「……お前、この間入院してただろ。
動いて平気なのか?」
エリカ「何言ってんの。
入院してたのはキリヤでしょ?」
キリヤ(……本物だな)
キリヤ「悪い。偽物かもしれなかったから
試した。
で、俺を探してた理由は?」
エリカ「これ手伝ってほしくて!」
エリカはオラクルフォンの画面を見せる。
◆マコト vs マシロ
マコトはサーベルを振り回し、マシロを追い詰めていた。
上空からヴェリシアが笑う。
ヴェリシア「まったく、
いつまでやってんだい。
さっさと殺しな!」
そこへキリヤが現れる。
マシロ「あ、キリヤさん!助けて!」
キリヤはマシロの位置を確認する。
キリヤ(マシロの
“右斜め45度、10m先”……
そこか!)
キリヤ「――一閃!」
キリヤの斬撃が霧を裂き、
上空のヴェリシアの目を正確に貫いた。
ヴェリシア「ぎゃああああああ!!」
霧が晴れ、キリヤチームは現実世界へ戻された。
◆現実世界
ヴェリシアは潰れた目を押さえながら叫ぶ。
ヴェリシア「な、なぜ……
私があの場所にいると……!」
エリカ「さーてね、なんででしょ〜?」
エリカはオラクルフォンを掲げ、
頭の後ろで両手を交差してポーズを決める。
画面にはこう表示されていた。
◆オラクルフォンの画面
マコトに追いかけられているマシロの
右斜め45度・10m先に敵の本体アリ。
煽り:悪夢を突破したキリヤチーム。
ヴェリシアに勝てるか?




