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残響の世界  作者: maro
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4話「覚悟」

ヒビキ「10倍だって……!?」


シグマ「そうだ。」


ヒビキ「それじゃあ……

    アビスの拠点に行くこと自体、

    無理なんですか?

    ミオを助けることも……?」


シグマは視線を落とし、ゆっくり首を振った。


シグマ「現状、不可能と言うしかないな。」


ヒビキ「そんな……」


ヒビキは膝から崩れ落ち、うつむいた。


キリヤ「だから言ったじゃねえか。」


マシロ「さ、わかったでしょう。

    こういうことですから、諦めて……」


ヒビキ「どうすれば……」


ヒビキが突然立ち上がり、顔を上げた。


シグマ、キリヤ、マシロ「!!」


ヒビキ「……どうやれば

    行けるようになりますか?」


真剣な目でシグマを見つめるヒビキ。


ヒビキ「あなたは今“現状”と言った。

    “現状”ということは、

    時間をかければ行く方法が

    あるんじゃないですか?」


その諦めの悪さに、キリヤが苛立ちを見せる。


キリヤ「おい、お前いい加減に——!」


シグマ「……ある。」


ヒビキ、キリヤ、マシロ「!!」


シグマ「確かに今は無理でも、

    時間をかければ

    アビスの拠点に行く方法はある。」


予想外の言葉に、キリヤが慌てて声を上げる。


キリヤ「ちょっと!シグマさん!

    何言って——!」


シグマ「その方法とは……

    アビスエネルギーを

    “5万”集めることだ。」


ヒビキ「アビスエネルギーって……」


ヒビキの脳裏に、さきほどの光景がよみがえる。


マシロ『アビスエネルギー……5。』


キリヤ『5か。ハズレだな。』


ヒビキ「アビスが落としたあのオーブ!

    あれを集めれば

    アビスの拠点に行けるんですか!?」


シグマ「そうだ。我々は奴らが落とす

    アビスオーブを加工し、

    様々な兵器を開発している。

    そこにいるキリヤ、マシロが

    着ているスーツもその一つだ。

    アビスオーブを加工して作った

    装備は、地球の常識では

    考えられないパワーと耐久力を

    発揮する。

    5万にも相当するエネルギーの

    アビスオーブともなれば——

    最新鋭の潜水艦の“30倍”の耐久度を

    持つ潜水艦を作ることが

    できるだろう。

    それに乗りマリアナ海溝へ向かえば、

    アビスの拠点へ行けるはずだ。」


ヒビキ「良かった……!

    やっぱり行く方法があるんですね!」


キリヤ「良かったぁ!?

    お前今シグマさんの話を

    ちゃんと聞いてたか!?

    5万だぞ!5万!

    俺とマシロがさっき拾ったやつが

    “5”だったんだぞ!?

    あれを1万回繰り返すってことだ!

    どれだけ——」


ヒビキは強く息を吸い込んだ。


ヒビキ「……俺も、手伝います。」


シグマ、キリヤ、マシロ「!?」


ヒビキ「このままアビスの拠点を

    叩かなければ、

    犠牲者は増える一方ですよね?

    アクトとしても、早く潜水艦を

    完成させてアビスの拠点を

    叩きたいはずだ。

    だから……俺もこの組織に入って

    手伝います。

    俺を、この組織に入れてください!」


シグマ「確かにそうだが……

    君、自分の言っていることが

    わかっているのか?

    この組織に入るということは——

    今までの生活、人生を捨て

    アビスと命がけの戦いをする

    ということだ。

    君に、その覚悟があるのか?」


ヒビキは右手を曲げたまま握り、胸の前に突き出した。


ヒビキ「あります。ミオを助けるためなら、

    例え命がけになろうとも——

    アビスエネルギーを

    集めきってみせる!」


シグマはヒビキの目を見つめる。


ヒビキも真っ直ぐに見返す。


しばらくして、シグマは静かに目を閉じた。


シグマ「……その目。

    どうやら本気のようだな。

    ならば——」


キリヤ「待った。」


ヒビキ、シグマ、マシロ「!?」


キリヤ「俺はそいつを認めちゃいねーぜ。

    そいつの覚悟がどれほどのものか……

    俺が“テスト”する。」


煽り:キリヤの言うテストとは……!?

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