35話「氷河期」
氷結した都市部にアクトの車が到着する。
車から降りたゴウとDチームメンバーは、目の前の光景に息を呑んだ。
全員「!!!!!
こ、これは……!」
街全体が――氷の墓場と化していた。
ビルも道路も車も、すべてが凍りつき、
まるで時間が止まったかのような静寂が広がっている。
イズナ「都市全体が……氷漬け……!
今回のフェイクアビスって、
まさか……」
????「ご名答。」
声のした方を見上げると、
空中に水色の服をまとったフェイクアビスが浮かんでいた。
アイゼル「私の名はアイゼル。
どうです?私のアビス能力
《氷河期》で
作り上げた――“芸術”は。」
キリヤ「芸術……だと?」
アイゼル「ええ。
人間の北国では“雪の彫刻”を見る
イベントがあるそうですね。
多くの人が集まり、
その美しさに目を奪われるとか。
私が作る氷像も、それと同じです。
さあ――あなた方も、
私のアートの一部となりなさい。」
アイゼルが手をかざす。
アイゼル「氷射!」
吹雪のような光線が複数放たれ、
Dチームは散開して回避する。
しかし――
ダイキの右足首に光線が命中。
ダイキ「しまっ……!」
右足首から上へ、氷がじわじわと広がっていく。
マシロ「火矢!」
マシロの火矢がダイキの足に命中し、氷を溶かす。
ダイキ「!
マシロさん!助かったっス!」
アイゼル「ほう、火を使えるとは。
ですが――
私の“氷射”の量を、
その矢だけで溶かせますかね?」
アイゼルが回転しながら大量の氷射をばらまく。
Dチームは避けるのに精一杯。
キリヤ(くっ……
氷射が多すぎて近づけない!
なら――)
キリヤ「みんな!遠距離攻撃だ!」
ヒビキ「斬!」
キリヤ「一閃!」
イズナ「貫通弾!」
マシロ「追跡矢!」
四方からの遠距離攻撃がアイゼルへ向かう。
アイゼル「氷壁!」
アイゼルの周囲の空間が一瞬で氷に変わり、
全ての攻撃が凍りついて停止する。
Dチーム全員「!!!!」
アイゼル「どうです?私は周囲の気温が
0度以下の時だけ、
“空気そのもの”を凍らせることが
できるのです。
今の気温は――マイナス1度。
だから、こんなことも
できてしまう。」
アイゼルが手をかざす。
Dチームの周囲にドーナツ状の氷が出現し、
一気に収束して手足と胴体を拘束する。
Dチーム全員「!!!!」
アイゼル「氷束。
どうです? 動けないでしょう?」
ダイキ「ギギギ……!」
ヒビキ「く、くそ……壊れない!」
アイゼル「はっはっはっ!
さきほど大量に氷射を撒いたのは、
この条件――
“気温を下げるため”ですよ。
さあ……
全員、私のアートになりなさい。」
拘束した氷がさらに広がり、
Dチームの身体を覆い始める。
ヒビキ(ま、まずい……!)
キリヤ(このままでは全滅する……!)
煽り:絶対絶命のDチーム!
起死回生の手はあるのか――!?




