29話「トレーナー」
◆某会議室
シグマは国の上層部と向かい合っていた。
上層部A「いやはや……
大変なことになったな。
これまで国民の混乱を
避けるため、アビスの存在は
秘匿とされてきた。
だが先日の一件で、
もう隠しきれん。
“アクト病院で化け物を見た”と
メディアもSNSも騒いでいる。
いっそ公表した方が――」
上層部B「公表してどうする!?
国民はフェイクアビスの見分けが
つかんのだぞ!?
混乱がさらに広がるだけだ!」
上層部A「ではどうすればいいんだね!?」
シグマ「公表は避けましょう。
代わりに、警察へアビスゴーグルを
支給します。それで少なくとも
“見える人間”は増える。」
上層部B「だが、警察では
アビスを倒せないのだろう?
発見した場合はどうする?」
シグマ「我々アクトに連絡していただきます。
アクトのメンバーが
即座に現場へ向かう。
少なくとも――
我々がアビス幹部を倒すまでは、
この体制でお願いします。」
◆会議後・廊下
シグマと参謀官のアサギリが廊下で歩きながら会話している。
アサギリ「“我々がアビスの幹部を
倒すまでは”、ですか。
随分大きく出ましたね。
勝算はあるんですか?」
シグマ「報告を聞く限り、
今の戦力では厳しいだろう。
だから――ある手を打っておいた。」
アサギリ「ある手……?」
◆Dチーム・トレーニングルーム
ヒビキたちは汗を流しながらトレーニングを続けている。
ヒビキ(決戦は1カ月後……それまでに
もっと強くならないと!
あいつらを倒せば
きっとミオに近づける!)
その時、トレーニングルームの扉が勢いよく開いた。
???「やっほー! みんないるー?」
ショートヘアの女性が軽いノリで入ってくる。
キリヤ「あ、あなたは……!?」
ヒビキ「誰です?このお姉さん?」
キリヤ「馬鹿! Bチームのリーダー、
アカリさんだ!」
ヒビキ(え、この人が……!?)
アカリ「アビス幹部との決戦までに、
あんた達DチームとCチームを
“しごいてやってくれ”って
シグマさんに頼まれたんだよね〜。
だから今日から、私を含めた
Bチームがあんた達のトレーナーを
務めます。よろしくね!」
Dチーム全員「へっ!?」
煽り:アカリの実力とは――!?




