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残響の世界  作者: maro
105/106

3.5話「交流」(サブストーリー)

深海に響く重い足音。

ゼビウスは王座に腰を下ろし、冷たい声で命じた。


ゼビウス「さて、今日も選別を開始するか。連れて来い。」


その指示に従い、手下のアビスが一人の子供を引きずってきた。


スマホを握りしめた少年――キヨシ。


顔は涙でぐしゃぐしゃだ。


キヨシ「離して!離してよ!」


ゼビウスは興味なさげに少年を見下ろす。


ゼビウス「なんだ、子供ではないか。

     能力透視アビリティスキャン


光がキヨシを包む。


名前:キヨシ

アビスエネルギー:1

能力:なし


ゼビウス「ちっ、やはり予想通りだな。

     吸収しても何の足しにもならんが仕方ない。」


ゼビウスは一瞬だけ、少年の必死な顔を見た。

だが、すぐに興味を失った。


ゼビウス「吸――」


キヨシ「ま、待って!僕を殺そうとしてるんでしょ!

    だったら死ぬ前にありったけの石でガチャさせて!

    じゃないと死んでも死にきれないよ!」


ゼビウス「ガチャ?なんだそれは?」


キヨシ「スマホでできるゲームのガチャだよ!

    ずっとハマってやってたんだ!

    最後ぐらい貯めた石でガチャさせてよ!」


ゼビウスは眉をひそめたが、少年の必死さに少し興味を持った。


ゼビウス「何?それはそれほど面白いものなのか?

     ……ふむ。少し興味が出てきたぞ。

     いいだろう、やってみろ。」


キヨシ「ありがとう、おじさん!」


キヨシは震える指でスマホを操作しようとする。


しかし――画面には「通信エラー」の文字。


キヨシ「電波が無いからゲームができないよ……うわ〜ん!」


深海に響く大泣き。


ゼビウスは耳を押さえ、苛立ちを露わにする。


ゼビウス「ええい、泣くな見苦しい!

     そのスマホゲーとやらには人間の電波が必要なのか?

     ならば、余が使えるようにしてやろう。」


キヨシ「え、ほんと!?そんなことできるのおじさん!」


ゼビウス「余を舐めるなよ、小僧。

     余はムーア星の魔王と呼ばれた存在だぞ。

     人間の電波をジャックしてその機械に流すなど造作もないわ!」


ゼビウスは地上のアビスに命令を飛ばす。


ゼビウス「人間の電波をとらえよ!

     そして、その電波と仕様を信号として余に転送せよ!」


しばらくして、ゼビウスの頭部に青白い光が走る。


ゼビウス「なるほど、これが人間の電波か……ふむ。

     おい、小僧。余の頭が無線ルーターとなった。

     その機械にテザリングをして

     Wi-Fiのアクセスポイントも作ってやった。

     SSIDは“abisujyou”(アビス城)、

     パスワードは“zebisamasaikyou”(ゼビ様最強)だ!」


キヨシ「SSID?パスワードって何?難しくてできないよ〜!」


また泣く。


ゼビウスはついに折れた。


ゼビウス「おい、お前!代わりに設定してやれ!」


手下「わ、わかりました……

   ですがパスワード設定はいらなかったのでは……」


設定が完了し、ついにゲームが起動した。


キヨシ「やったー!これでガチャができるー!

    課金はダメって言われてたから、

    毎日ログインして石貯めてたんだよ!!」


キヨシがガチャを回し始める。


ゼビウスは隣で画面に釘付けだ。


しかし――


キヨシ「うわーん!最後のガチャなのにレアが出ないよー!

    7が揃えられないよー!」


ゼビウス「な、泣くな!要は7を揃えればいいのだろうが!

     貸せ!余がやってやる!」


ゼビウスはスマホを奪い取る。


ゼビウス「この程度の目押しなど造作も無いわ!」


指が閃き――

スロットは777で停止した。


パンパカパ〜ン!


画面が金色に輝き、派手な演出が炸裂する。


キヨシ「あああああ!!SSRキャラ!!

    凄いよおじさん!SSRキャラが当たった!」


ゼビウス「な、なんだ今の演出は!?

     それは凄いのか?」


キヨシ「凄いも何も超レアだよ!0.01%しか当たらないんだから!」


ゼビウス「な、何!?10000分の1を余が当てたのか!?」


キヨシ「そうだよ!凄すぎるよ!」


ゼビウス「わはははは!

     やはり余は覇王として選ばれし者!

     運も味方につけておる!これは愉快だ!

     よし、小僧。命は助けてやる。

     だからそのスマホとゲームアカウントを余によこせ!」


キヨシ「え、ええ〜……そんなあ〜……」


ゼビウス「ならば今ここで死ぬか?」


キヨシ「やだ!死にたくない!

    ……わかったよ。本当は嫌だけど……命には変えられない。

    このスマホとゲーム、おじさんにあげるよ。」


キヨシは震える手でスマホを差し出す。


キヨシ「アカウントIDとパスワードは◯◯だよ。

    大事にしてね……」


ゼビウス「ああ。いいだろう。

     おい、この子供を地上に戻して来い!」


手下がキヨシを連れて去っていく。


王座にはゼビウスだけが残った。


ゼビウス「もっと……もっとだ……!

     レアキャラよ、来い!」


しかし、すぐに石が尽きた。


ゼビウス「なんだ、ガチャができなくなったぞ……

     石とやらが無くなったのか!?

     くそ……もっとガチャがしたい……

     もっとレアキャラを引きたい……!」


沈黙。


そして、ゼビウスの口元がゆっくりと歪む。


ゼビウス「……そうだ。選別だ。

     人間の選別を“ガチャ”に見立てて楽しめばいいのだ。」


深海の闇に、狂気の笑みが浮かんだ。


煽り:人間ガチャの起源、ここに――!


※62話へ続く

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