094 査定と取り分
「連れて来ました!!」
ロウケンの部屋の扉が勢いよく開いた
ファールはもう一人の買取専門の男性職員を
連れて来ていた。
「ああ、ご苦労さん、、
すまないな、ちょっと想定外の買取が
今出来たのでな、
・・・・・・・
あとここで行われていることは
くれぐれも内密にしてくれ、
じゃないと俺でも手に負えない奴が
暴れるからな、、」
その暴れる奴って俺のことじゃないよね、
でもマリーシャさんとも言いづらい
やっぱり俺のことか・・・
ニルヴァースへの殴り込みなんて
するんじゃなかった。
後悔しても遅いのは分かってはいるが
ここまで危険視されるとは思わなかった。
ロウケンも冒険者ギルドマスターとして
かなり強いとは思うが、
おそらく俺が出会った時より更に
レベルが上がっているから1対1の対決なら
俺に分があると思っているんだろう?
「わ、分かりました!」
「もちろん内密にします!」
買取査定に来た2人の顔が青ざめている
「あの、、大丈夫ですよ、
暴れたりしませんから」
と言ったが、、、
緊張しているみたいだ、、
これは俺じゃなくて赤級の冒険者だった
マリーシャに緊張しているのかな?
そんなやり取りをしながらも
順調に査定をしてくれている
「しかしこれだけの量を
冒険者ギルドだけで買取できるのかしら?」
マリーシャがロウケンに聞くと
「それは問題ない、
今は戦争特需が発生しているからな、
高価な素材を買いたい連中は山ほどいる、
皮肉なことにな・・・」
「そうですか、、、
やはり買主は人族の貴族連中ですか?」
「ああ、
今回のウッドタートルの甲羅、
それにツインリザードの爪も
人間の貴族の注文でな、
それも上の方だな、
伯爵や侯爵クラスばかりだ」
戦争のために素材を取って来たと思うと
少し複雑だな、
だって俺はこの後、戦争を止めに行くからな。
査定している2人は、
まだまだ時間が掛かりそうだな、
所々で
「すごいですね、、、
この爪、こんなに綺麗な魔獣の爪を見たのは
生まれて初めてですよ」
「ああ、俺もだ。
しかもこの量だからな、」
「しかしこれは高く売れますねwww」
「ああ、間違いないと思うぞwww」
2人ともニヤニヤしているな、
頭の中では金貨が弾けているんだろうな、
そういう俺もいくらで査定してもらえるか
楽しみにしているけどね、
「それで分け前はどうするんだ?」
ロウケンがマリーシャに聞いている
「これはコウキ殿が1人で全部討伐したのです!
私が分け前を頂くわけにはいきません!」
はぁ・・・・
おそらくこうなるとは思っていた、
これは説得するのに時間が掛かるな
「マリーシャさん」
「は、はい!」
「そういう訳にはいきません、
今回の報酬は2人での成果ですから
ちゃんと受け取ってくれないと
俺が困ります」
「しかし、、、
私は剥ぎ取りくらいしか役に立っていないので
受け取る訳には・・・」
「何を言ってるんですか?
ウッドタートルにトドメを刺してくれたのは
マリーシャさんですよ、
それにツインリザードだって、
あなたが応援を呼んできてくれたおかげで
無事に帰ることができたのですから、」
「それはそうですが・・・」
マリーシャは完全には納得していない
「コウキはどれくらいを渡すつもりなんだ?」
ここでロウケンが聞いてくる
「そうですね・・・
普通は半分ですよね?
2人でパーティーを組んでいるんですから」
と、俺が答えると
「それは無理です!!
そんなには受け取れません!」
マリーシャは返答する
「だそうだ、、、
まあ今回はマリーシャが希望して
パーティーを組んだのだ、
それとマリーシャが言うには、
倒したのはほとんどお前さんなんだろう?」
「それは、
まぁ、そうなりますけど・・・」
「ならば、
今回はマリーシャの顔を立てるのが筋だ、
赤級の冒険者のプライドもある。
自分が全然活躍していないのに半分
貰うっていうのは無理な話だ、
と俺は思うぞ・・・」
たしかにロウケンが言うのも一理ある
俺が逆の立場だったら、
たしかに半分は貰いにくいかも、、
う~ん、、、どうしようか?
俺が悩んでいるのを見て
「ならば、
今回の報酬はお前さんが北西の大陸に
行くための資金だと思う、
まずはその旅費分を確保した後に
均等に分ければ良いではないか?」
「それは、、
たしかに俺にとっては嬉しい案ですけど、
ツインリザードの爪って金貨10枚ですよね?
・・・・・・
俺がここに持ってきたツインリザードの爪は
15頭分くらいだと思いますよ。
・・・・・・
たしか北西の大陸に行くには金貨200枚だと
足りないと思いますけど」
「普通ならそうだろうな、
しかし今見る限りではかなり良い品だと思う
おそらく15頭分だけで金貨200枚以上に
なると思うぞ」
おお!それは素晴らしい、
それに俺もまだ貯えや、モンスターの素材は
多少残っているからな、
これで北西の大陸に行く目途が立ちそうだ
「本当です?金貨200枚以上は?」
「ああ、確約は出来ないが、、、
あの査定している2人の表情を見て見ろ、
あれは間違いなく儲かると分かっている
表情だぞ、、、
期待していいと思うぞ」
「あの、、
マリーシャさんも本当にそれで良いんですか?」
「もちろんです!!
今回は私はあなたのお手伝いを、、
少しでも迷惑をかけた分をお返ししたくて
この場にいるんです。
それなのに逆に迷惑をかけて・・・」
「そんなことは無かったですよ、
俺も本当について来てくれて助かりましたから」
「それでも、、
私のために魔族の方々との
和解の場まで提供してくれました!」
マリーシャは半泣きの表情で言ってくる
「そうなのか??」
ロウケンが聞いてくる
「たまたまですよ、
今回の討伐場所の近くに魔族の集落が
合ったので、
でもお互いの和解ができて良かったです」
「お前さん、、やっぱりいい奴だな、、
ニルヴァースの本部であんなに暴れまわって
いたのにな、、」
ロウケンが俺の顔をまじまじと見て言う
「それはもう忘れてください・・・」
査定をしているファールがロウケンに
「ギルドマスター、
これはかなり期待できる素材だと思います。
まだ半分くらいだけ見た感じですが、
1頭分を金貨15枚で買い取っても問題
ないレベルだと思います」
「だとよ、コウキ、、
俺の査定も間違いないだろう?」
ドヤ顔で俺の方に振り向く
ちょっとイラッとする顔だけど、
「ええ、安心しましたよ、
さすがギルドマスターです」
俺も大人の対応をしよう
「しかし、まだまだ時間が掛かりそうだな、
もうすぐ正午だし、その辺りで
飯でも食べてきたらどうだ?」
ロウケンが提案してきたので
「そうですね、今日はもう予定はないので
俺は構いませんが・・・?」
俺がマリーシャの方を見ると
「私も謹慎中ですから、予定はありません。
ぜひご一緒させて下さい」
ならば昼飯だな、、
「ではちょっと行ってきますね」
「ああ、ゆっくり食べて来い、
食べ終わるころには査定は終わると思うからな」
そう言って俺たちはロウケンの部屋を出て
昼食を食べにいくことにした。




