086 BBQ
「ウッドタートルの甲羅などは俺たちが
集落まで運んでやるからな」
マグールが俺のところまで来て言ってくれる
「済まないな、頼りっぱなしで、、」
「何を言うんだ、お前は俺たちの仲間を
救ってくれた恩人だ!これくらい当然の
ことだ!」
胸を叩いて誇らしげにマグールは言う
顔には真新しい傷がついている
「エルダーゴブリンかホブゴブリンがいたか?」
デュランが近づいて来てマグールに聞いた。
「ええ、おそらくはホブゴブリンだと、、
仕留めることが出来なかったのが
悔しいですが、」
「逃げたのか?」
「ええ、
デュラン殿たちが行かれた後、
あいつらは矢での攻撃しかしてこなかったので、
俺たちは川を渡り対岸の森の中に入り、
ゴブリン共を駆逐していきました。
ただ、ホブゴブリンはどうも・・・森の奥に
俺たちを誘おうとしてる感じがしたので
罠の可能性を考えて、部隊には森の奥に
入るのを止めさせました。
おかげでこちらも損傷は少ないのですが
ゴブリン共もそこまで被害は無いと思います」
マグールがデュランに戦況を報告する
「厄介な相手だな、無駄に知性があると
こちらも迂闊には動けないからな」
デュランは腕組みをしたまま考え込む
「知能があるゴブリンは珍しいのか?」
俺は率直に聞いてみた
「そうだな、、、
おっとそれより街道に向かおう、
集落に着いたらまた話そう、、」
そうだったな、
辺りは暗闇に包まれ始めている
「よーし!
それでは出発だ、遅れるんじゃないぞ!
ブルード!
殿を頼んだぞ」
「了解しました!」
俺たちは一定の集団となり
素早く街道の橋を目指して進んだ。
完全に陽が落ちた時に、
街道に架かる橋に到着することができた
橋の上には20頭近くの馬と
馬を管理していた魔族と合流した。
「問題はなかったか?」
「はい!数匹の一角ウサギくらいだけで
私たちと馬には被害はありません!」
馬の管理を任された魔族が答えた
あれ?
俺が魔族の集積地に来た時に見た馬とは
違うな、、
あの時は運搬用の馬だったから、
ばんえい競馬のような大きい馬だったが、
ここにいるのはサラブレット系の馬だ、
「全員、乗馬!!」
デュランが声を掛ける
馬・・・
乗馬か・・・
俺、乗ったことが無い・・・
競馬は好きだったけど・・・
乗ったことは無い・・・
どうしよう、、
馬車なんてないよなぁ
「こちらの馬を使ってください」
馬を俺の前まで魔族が
手綱を引いて持って来たが、、、
「あの、、どうかされましたか?」
手綱を受け取ったまま固まっている俺を見て
背後からマリーシャが俺に聞いて来た
「いえ、、馬に乗ったことが無いので、、
どうしようかなぁ、っと考えてました」
「あっ、、、その、、
すみません!、気が利かなくて、、」
なんか頭を下げられると、、
俺が申し訳ないよ、、
「どうしたんだ?コウキ?」
デュランは馬に乗って聞いて来た
「いやね、、俺、、乗馬の経験がないから
どうしようかと、、」
「あ、、そうだったか、、済まない」
なんだ?
この世界は馬に乗るのは当たり前なのか?
「なので・・・
俺は歩いて戻ろうかと、、」
「!!」
「!!そんな!!」
「いや、、だって乗れないし、、」
「ならば、私の後ろに乗ってください!」
「いやいや、、さすがに女性の後ろに
掴まって乗るのは、、、」
「ご迷惑ですか、、?」
そんな顔されても、、
女性の後ろに掴まって乗ったら、ねぇ、、
「ならば、俺の後ろに乗りな!」
デュランが言ってくれた
「良いんですか?」
「大丈夫だ、それより早く乗りな、
もう陽が暮れてるからな」
俺は他の魔族に持ってきてもらった
馬の手綱を渡してデュランの手を借りて
馬に乗せてもらった
「よーし、全員準備はいいな!
それでは急いで戻るぞ!!」
総勢20名以上が一斉に馬に乗って
魔族の集積地に進み始めた
「早いですね、、この馬は、、」
俺は生まれて初めて馬に乗ったが
こんなに早いとは思わなかった
「そうか?それでも今は2人乗っているからな
本気で走ればもっと早いと思うぞ」
左右を見ても魔族たちの乗馬は凄い
まるでジョッキーみたいな感じで
乗りこなしている
マリーシャも頭を低くして馬を見事に
操っている、、、
この世界に競馬があったら、、
と考えてしまいそうだ、、
デュランの背中に掴まって乗ること
20分くらいか?
何度も舌を噛みそうになったが、
無事に魔族の集積地に到着した。
歩いた時は1時間くらいかかったけど
やはり馬は早いな、
門番が俺たちが戻ってきたことに気付いた
みたいで、
出入り口には多くの魔族が待っている
「よーし、全員!無事に帰って来れたな!」
殿を務めていたブルードが
「全員無事です、問題ありません!」
『オーーー!!』
歓声が沸いた!
そんなに凄いことだったんだな
俺が驚いていると
「まあ、本来ここから先に行く場合は
準備を万全にして100名以上の集団で
行くのが当たり前だからな」
「そうなのか、、悪いことをしましたね」
「気にするな、それより早く飯にしよう」
「そうだぞ!今日はコウキのおかげで
贅沢なBBQだぞ!」
「早く用意しよう!腹が減りすぎた!」
そうだったな、今日はBBQだ、
俺は集落に入り冷蔵ロッカーを召喚した
周囲ではBBQ会場が設置され始めている
俺も解体しているツインリザードの
肉を冷蔵ロッカーの中から全て取り出した
「全部食べていいのか?」
「あんな量のツインリザード肉が、、、」
魔族の女性たちがツインリザード肉を
食べやすいように切り分けている
半分の肉は串にさしてさっそく火で
焼き始めている
パンとお酒?も運ばれてきた
「全員!準備はいいかぁーー!」
バイガクが大声で叫ぶ
「よーし、BBQのはじまりだぁーー、
カンパーイ!!」
デュランが宴の開始を叫んだ
俺の近くではマリーシャが俺の肉と
飲み物を用意してくれている
「どうぞ、コウキ殿」
お皿には豪快なツインリザードの串焼きが
2本乗っている
「ありがとうございます、では頂きます」
初めて食べるツインリザードの肉は・・
「うまい!!」
思わず声が出る
牛肉?
いやそれより柔らかいな、、
現世であんまり食べたことは無い『和牛』
それが頭に思い浮かんだ
「これは美味い!!」
「柔らかい、肉が簡単にかみちぎれるぞ」
「肉汁がスゲーぞ!」
「パンに挟んで食ってみろ!飛ぶぞ」
あちらこちらで歓声が聞こえる
俺もこの世界に来て、、、
おそらく一番うまい肉だと思えた
「こんなに美味しい肉は、、、」
マリーシャも声を失っている
マリーシャが持ってきた飲み物は、、
「これは葡萄酒?」
「は、はい、あのお酒はダメでしたか?」
「いえ、全然大丈夫ですよ、
ただ葡萄酒なんて久しぶりだったもので」
「魔族のお酒は評判が良いのでお肉に合って
美味しいと思います」
周りはお酒とお肉で盛り上がってきているな
たくさんツインリザードの肉を持って帰って
良かったと改めて思った。




