079 色気はない
「更に川下に進んでみようと思いますけど」
俺がマリーシャに伝えると
「分かりました、ではこのまま進みましょう」
ウッドタートルの甲羅だけを置いて、
更に川下に歩いていく
最初の1匹は早くみつけることができた
あと2匹くらいは倒したいな
甲羅は思った以上に軽いから、
俺が2つを担いでいき、
マリーシャに1つはお願いしよう。
「またウッドタートルが出た場合は、、
先のパターンで行きましょう」
「分かりました。私は大丈夫ですけど、
そ、その、、大丈夫ですか、、、?」
マリーシャは俺の体力を心配しているのか?
そんなに体力が無い方に見えるのかな?
「全く問題ありません。
これより厳しい環境で生活していましたから」
そう、、最初の頃の「魔の森」での生活に比べれば
川辺の大岩を登り、そして下りながら
川下りを探索していく、
1時間くらい歩いているが、、
全くモンスターの気配を感じないな、、
後ろから付いてくるマリーシャに聞いてみる
「どう思いますか?」
「そうですね、、、
この近くにはモンスターの気配はないですね」
それは同意見だ、、
「更に川を下った先にいると思いますか?」
俺は率直に聞いてみる
「申し訳ございません、
私もこの辺りまで来たことが無いので
絶対にいるとは言い切れないです、、」
だよね、、絶対にいるとは言えないよね、
「ではこの先進めば、、海に出ますか?」
「はい、おそらく海につながっているとは
おもいますけど、かなり先だとは思います」
「海辺にはモンスターはいますか?」
「おそらく海辺だと、、
サハギンという半魚人系の魔物や
ブラッグヒトデやアンボイナガイという
魔獣が生息していると考えます」
う~ん、、強いのか?弱いのか?
全く分からないが、、
知りたいのは1つだけ、
「お金になりそうですか?」
「え、、?」
「いや高く売れそうですか?」
「そうですね、
あまりこの地域では討伐してはいない
モンスターなので、高額での買取は
期待できない、、、とは、」
やはりか、、
確かに金になりそうな感じはしないな、
「ではこのまま海まで下っても、
報酬的には期待できないみたいですね」
「そうだと思います、、
申し訳ございません、力不足で」
「いや、謝らないでくださいね。
川下を下ると決めたのは俺ですから」
そう言いながら、
一旦立ち止まった、
これ以上進んでも成果が乏しいとなると、
辺りを見渡してみる、
やはり餌を使っての狩りしかない
まだ太陽はちょうど真上にある。
時間的には正午くらいだろう。
ならば
「先ほどのウッドタートルの肉を使って
魔獣をおびき寄せる方法で行きましょうか?」
俺はマリーシャに提案した、
「そうですね、
確かにそのやり方の方が、
確実に魔獣は集まりやすいと思います」
「ただ、ウッドタートルの肉を置くと
ウッドタートルは来ないのかな?」
俺はそう呟くと
「それは?なぜですか?」
マリーシャが不思議に思って聞く
「えっ、、だって共食いになるから
食べない、、だろうと、、」
俺は想像の範囲で答えた
「おそらく関係ないと思います。
肉は肉なので、関係ないと思いますが、」
そうなんだ、、
モンスターに共食いという概念は無い
のかも知れない、
また一つ勉強になったな、
「じゃあ、さっそく設置しますか?」
「はい!」
俺は川の近くの平たい岩に、
先ほど狩ったウッドタートルの肉を置いた
肉からの匂いはしないが、、
魔獣は鼻が良いから気付くだろう、
「この場所ならば近くにある大岩の岩陰に
隠れて待てば、大丈夫だと思います」
マリーシャからのお墨付きが出る
「じゃあ、隠れて待つとしましょう」
「あの、待っている間に昼食はいかがですか?」
そう言えば、まだ飲み物しか口にしていない
「そうですね、食べながら待ちましょう」
「私、食料を持ってきていますので」
そう言ってマリーシャはリュックから
パンを出してくれた。
「その、、ありがとうございます、
これは?マリーシャさんが作った物ですか?」
「いえ、その急いで用意したので、
ニルヴァースの食堂にあったパンを
持ってきました」
「だ、大丈夫ですか?」
まさか部隊の昼食分?
「あ、大丈夫です、
ちゃんと私に用意していた分だけしか
持ってきていませんから!」
マリーシャは慌てて説明した
「ありがとうございます、
では俺も出しますね」
そう言って俺は冷蔵ロッカーの中から
以前、魔族の集積地でデュラン達に
食べてもらった果物類の中からリンゴを
マリーシャに渡した。
「これは??」
「これは俺の地域では『リンゴ』という果物です
以前、魔族にも食べてもらいましたが
好評でしたので、」
「すごい、ですね、、」
マリーシャは受け取ると、
色々な角度から見たり、匂いを嗅ぎ取っていた。
「そのままかじっても大丈夫ですよ」
俺はマリーシャからもらったパンを
食べながら伝えた
マリーシャも一度、リンゴを置いてパンを
食べ始めた、、
パンを食べ終えた俺はリンゴを食べる
マリーシャもパンを食べ終えてリンゴを
食べてみた。
「美味しい、、」
素直にマリーシャが呟く
「それは良かったです」
「このリンゴは、、、
エルフの国にある果物に似ていますが、、
その、、甘味が全然違います!!」
たしかエルフの国は果物類・豆類・野菜を
生産していると聞いたな、、
「エルフのあなたに褒めてもらえるなら
この『リンゴ』はかなり良い果物みたいですね」
「はい!おそらくエルフの王族でも
滅多に出会えない果物だと私は思います!」
おお、顔が近い、、、
それくらい美味しかったってことかな?
「そ、それは、、よ、」
と、言おうとした時
マリーシャが俺を押し倒した、、
ま、ま、まじ、、
「あ、、あの、、」
「シッ、、静かに、、」
ん、、これは色気じゃないな、、
と、すると、、、
「来ましたか?」
俺は小声でマリーシャに聞く
「はい、何匹かが、森の中から、、
気配を感じます、、、」
マリーシャが俺の耳元で囁く、、
「複数ですか?」
「おそらく3匹ぐらいだと思います」
マリーシャが岩陰から見ている、
俺の上に乗って、、、
「あ、あの、、俺も見せてもらって、、」
!!
マリーシャが赤面して
「す、すみません、、すぐ退きますので」
そう言って俺の横に移動した。
俺は起き上がり、岩陰から確認する、
森の木々が動いている、
警戒しているのか、中々姿を見せない
しかし木の揺れが大きいな、
それに3カ所ほど木が揺れている
息を飲んでみていると、、
森から出て来た、、
あれは、、『鰐』だな、、
森の草陰から顔を出している
1匹、2匹、、そして3匹が森から出て来た
「あれがツインリザードですか?」
俺はマリーシャに聞いた、
「おそらく、、
私も遠くからしか見たことがないので、、」
あれがツインリザードか、、
まあ普通の『鰐』にしか見えないな、、
現世でも動物園にいる普通の鰐だと思う。
色も緑色だ。
あれなら、そう警戒しなくても
倒せるな、、と思った
俺がバカでした。
ツインリザード、、
ツインの意味を忘れていました。
鰐が森から全身を見せた時、、
ツインの意味が分かった、、
「うそ、、、だろ、、」
顔から胴体があり、普通は尻尾があると
思っていたら、、、
尻尾の所には
もう一つ、「顔」がある、、
双頭の鰐、
ツインリザードだ




