077 災害級もいるんですね
プロストンの町を出て、南に向かい歩き始めた。
小高い山を登り南に向かって伸びる街道の
入口に着いた、
ここからは森の中の街道を歩いていく。
毒消し草を取りに来た時は、すぐに西側に
進路を変えたが、今回はデュラン達がいる
魔族の集積地の更に先だ、
どうしようかな?
依頼前に寄って行こうかとは思ったが、
「俺たちも手伝うぞ」とか言いそうだしな、、
今回はマリーシャと組んでいるから
気まずいのも困るからな、、
そうだな、、
依頼を達成した帰りに寄ることにしよう。
まずはウッドタートルの討伐を最優先でいく
まだ川辺までは時間があるから、
ウッドタートルの情報交換をしておこう
依頼書には詳しい記載が書いていない
ただ甲羅の回収だけだ。
やはり強いモンスター等は情報が少ないのかな?
「マリーシャさん、ウッドタートルとはどういった
魔獣なんですか?」
街道を歩きながら俺はマリーシャに聞いた
「は、はい、、
えーーっと、とにかく固い亀ですね、
素早さはないですが、一度甲羅の中に入ると
ドラゴンのブレスでも防ぐ硬さです」
まだ硬さが残る話し方だな、、
しょうがないか?
一昨日は戦った間だからな、お互いに・・・
「ドラゴンのブレスだと、、
甲羅の中で焼死しそうな感じがしますが?」
「それは、、ブレスを防ぐ、、
おそらくは魔法のシールドを張れるからだと
思います」
「そうですか、、攻撃はしてこないのですか?」
俺は相手の攻撃が気になる
「攻撃は爪での攻撃と噛みつき攻撃ですね、
爪には毒があるので気を付けてください、
あと噛みつきは危険です!
噛みつかれた場合はその部分を失うと思います。
首が思った以上に長く伸びるのでその点は
注意した方が良いと思います」
「なるほど、、ありがとうございます」
「いえ、、その、、
あと私は見たことがないのですが、、
回転して攻撃もしてくるみたいです、、」
「回転して??」
「はい、聞いた話では追いつめられると
回転して体当たりをしてくるみたいです」
亀が回転して攻撃??
それって、『ガメラ』じゃねえかよ、
じゃあ火球とかも使うのかな?
「火を吐いたりはしないのですか?」
「火?」
「はい、そうですね、
魔法で言えば『ファイヤーボール』的な
感じですね」
「それは、ウッドタートルではないですね、
火を吐くクラスは、、おそらく、、
ドラゴンタートルやマウンテンタートルなど
災害級の魔獣クラスだと思います」
「災害級?」
「はい、この世界にいる伝説級の魔獣です
滅多に出会うことはないとは思います、
おそらく出会えば、町一つは軽く消滅する
くらいの危険生物です、
ここ10年くらいは見かけた情報は
入っていないですが、、」
おいおい、聞いてないぞ、
そんなモンスターがいることは、、、
ゼウス様、、、
俺が黙っていると、、
「あ、あの、、大丈夫です、
伝説級の魔獣はこの中央大陸や
北東・北西では見た報告はありません。
現れるのは南東・南西側です」
「龍族や魔族が住む地域にいると、、」
「はい、今の所、、ここ50年以内では
発見場所は南側の大陸です」
良かった、、なら行かなきゃいいだけ、
俺が向かうのは北西だからな、
もし北西の戦争がうまく解決しても
南側はなるべく避けるようにしていこう、
「そういえばマリーシャさんは
どうやってウッドタートルを倒したのですか?」
「罠です」
「罠??」
「はい、
5人のパーティーを組んで罠を設置しました。
・・・・・・
洞穴の中にウッドタートルの好物である
魚や昆虫を用意して、ウッドタートルの
首だけが入るだけの入口の前でパーティー
全員が待ち続け、、餌を食べようと顔を
洞穴の中に入れた時に、みんなで一斉に
攻撃をして首を切りました」
「それは、、また、、すごい、ですね」
「はい、長期戦でした。その時は
討伐するまで3日間かかりました」
それでマリーシャは大きなリュックを
担いできたのか、、
でも今回はその戦い方はしないだろう、
さすがに3日間も待つのは無理です。
「あの、今回はその戦い方はしないですよ、、
まずは正面から戦いますよ」
「わ、分かりました、私も精一杯手伝います!」
「ウッドタートルは弱点が首の部分って
ことでいいんですね?」
「はい!
顔と首の部分は剣や斧での攻撃が
効くと思います」
ならばトドメはマリーシャに任せよう
俺は「ひのきの棒」だから首を落とすのは
難しいだろう。
街道を歩いているが特にモンスターに
襲われることは無かった。
途中で単体のゴブリンや一角ウサギとは
出会ったが、こちらを見るなり森の中に
逃げて行った。
1時間半近く歩き続けると、、
魔族の集積地の入口まで着いた。
「ここに来るのも久しぶりな気がするなぁ」
そう呟いた。
この世界に来てから、、ずっと1人だった。
魔の森を出て最初に会話が出来たのが
この魔族の集積地だったな
堀の向こうに門があるが、
今は門番はいないみたいだ。
帰りに寄るから、今は通り過ぎよう。
「こんな町から遠くに魔族の集落が、、、」
マリーシャが驚いている
「初めて来たのですか?」
「はい、
私はニルヴァースの副隊長に就任してからは
ほとんど町から出ていませんので、
こんな町から遠くに魔族が住んでいるとは
知りませんでした」
「たしか、魔族がここに来たのは昨年だと
聞きましたが?」
「そうです。昨年、町から魔族が撤退するときに
混乱が起きないように警備をしましたので」
「相当揉めたのですか?」
「まあ、人族が特に、、
この大陸から追い出すように求めていたので
町から魔族が撤退するときも、お互いが
争わないように苦心しました」
根深い問題なんだな、、
ただ今はそれを考えても仕方ない
「先を急ぎましょう、
もう少し南にいけば川がありますので」
「は、はい、
あの?この辺りに来たことが?」
「ええ、ここは1度来たことがあるので
多少は分かります」
そう言って、俺は魔の森から脱出した時に見た
「橋」を目標に目指して歩く
更に街道を歩くこと1時間、、
周りは森が濃くなってきた
「あれだな、、」
橋が見えた、
丸い木を4本並べただけの橋だ。
ここから川沿いを歩けばウッドタートルに
出会えるらしい。
「一度休憩をしましょうか?」
「分かりました、飲み物はいかがですか?
それとも昼食にしますか?」
なんか、、
出来た「妻」みたいだな、
「あ、ありがとうござます。
では飲み物を頂けますか?」
「はい、
その、私たちエルフが良く飲むものですが、
よろしいですか?」
「ええ、大丈夫だと思いますよ」
「それでは、、」
そう言ってマリーシャは担いできた
リュックから水筒を取り出して
コップに注いでくれた
「どうぞ」
俺は受け取ると匂いを嗅いでみた
これは、、「紅茶」、、に近い
飲んでみると、、
無糖の紅茶だな、結構濃ゆい味だが、
「美味しい、、、
これは美味しいですね」
そう感想を伝えるとマリーシャは
嬉しい?感じだ
「良かったです!これは私たちの大陸では
良く飲むお茶でして、、
私はこればかりを飲んでいます」
「高いんじゃ、、ないですか?」
「そうですね、確かに値段は高いと思います。
しかし私は故郷から定期的に送って
貰っていますので、
その、、、気にしないで
たくさん召し上がってください!」
「あ、ありがとうございますね」
そんなにたくさん飲んだら、
尿意がね、、、
そんな感じで小休憩を取り終えて
いよいよ川沿いに下りた。
川を登れば魔の森か、、
ということは川を下ってウッドタートルを
探すのがベストだな。
「では川沿いを下りながら、ウッドタートルを
探しましょうか?」
「分かりました、気を付けて進みましょう」
周囲を警戒しながら川沿いを下っていく
周囲には特にモンスターはいない
鬱蒼と茂る木々が辺りを薄暗くしている
聞こえてくるのは川が流れる音と鳥の鳴き声
街道を逸れるとやっぱり緊張感が増してくる
そう思いながら進んで行くと、、
「止まってください!」
マリーシャが小声で言った
木々が揺れている、、
俺たちがいる川の反対側から、、
そいつは現れた!
サイズは・・・・・
デカい!
現世で言うなら、車のミニバンのサイズだな
あれが「ウッドタートル」だな




