060 この魚は鮭です
どうやら尾行している連中は巻けたみたいだな、
俺は前回、昼飯で食べに来た「デカ盛り野郎」の
店に着いた。
ド直球な店の名前は素敵だが、本当にヤバい
くらいの大盛りだからな、気合を入れて
食べないといけない。
中に入るとほぼ満席状態だ!
「相変わらず賑っているなぁ」
「らっしゃい!!、ってこの前来たやつじゃ
ねえか!!」
「覚えていてくれたんですか?」
狼族で店主の『メトロ』さんだったな、
「2日前に来た奴を忘れるようなら、俺は
引退しなければいならないだろう‼
それに人族が俺の料理をしっかり完食
したんだ、忘れる方が難しいぜ!」
「今日もしっかり食べに来ました」
「そうか、あっちのカウンター席に座りな」
「ありがとうございます」
俺は前回も座ったカウンター席に座った。
メニューは決まっている。
「今日はどうする?」
「魚丸焼きとパンをお願いします。」
「今日は魚か?」
「ええ、この町に来てまだ本格的な魚料理を
食べてないものですから」
「そうか、ならうまい魚を食わせてやる!」
そう言って厨房に入っていった。
先ほど串焼きで肉を食べたから肉を食べたい
とは言えないからな、、
それに魚のスープはアリーの宿で食べたけど、
やはり日本人なら焼き魚が恋しくなる。
本当は「米」があったらいいんだけどな、、
しばらく待った。
魚を焼くから時間が掛かるのは分かっている。
「はいよ!待たせたな!」
おお!やっぱり1匹丸ごとだな!
大きさは1メートルぐらいだ!
それにスープとパンが来た。
「ありがとうございます、それでは頂きます」
「おう!ゆっくり食いな!良い魚だからな!」
身を割いて見た。色は薄いピンク色だね
やはり鮭だな。
一口食べた、
うん、味も鮭だ!
これはうまい!
俺は久しぶりに食べる異世界の「鮭」を
一心不乱に食べた、
これは日本人の俺なら食べきれる。
半身を食べて一休み、、、そして裏返して
更に食べた、、パンもスープもうまい、、
30分くらいで完食出来た!
今日も良い戦いだった!
「今日も完食しやがったな!」
厨房から出て来たメトロさんが言った
「はい、ギリギリでしたけど、」
「お前本当に人族か⁉この量を
こんなに早く食えるのは滅多にいねぇぞ」
俺は苦笑いを浮かべて
「人ですよ、、今日の魚は俺が食べたことが
ある懐かしい味がしたんで、完食できました」
「今日の魚はここから南の森にある川で獲れた
魚でな、たまたま市場に置いてあったよ」
魔の森から脱出するときに下って来た川だな、
そんなに美味しい魚がいたんだ、
「お前さん、冒険者だろ、魚が美味しいからって
あんまり南の森には近づくなよ、あの辺は
危険なモンスターがたくさんいるからな」
「分かりました。俺も命が大事なんで近づかない
ようにしますね」
ま、俺はその森に住んでいたんだけどな、、
さてと、宿に戻るか、、
俺は代金の銀貨2枚を支払って
店を出ようとすると
「また来いよ‼」
厨房から声が聞こえた
「はい、また来ますね!」
店を出て、左右を確かめた。
どうやら尾行者はいないようだ。
一応警戒しつつ、俺は宿に向かった。
宿の近くまで来た。もう一度周囲を確認した。
どうやら諦めたみたいだな、
俺は素早く宿の中に入った。
宿の受付嬢が俺に気付いた。
「今日は遅かったですね」
「ええ、ちょっと手間取った仕事がありまして」
「今から夕食にしますか、今はレストランは
かなり混雑していると思いますが、」
「いえ、夕食は済ませて来たので大丈夫ですよ」
そう言って部屋に戻った。
部屋に入ってすぐに窓から外を確認した。
尾行者はいないな、
「ああー、疲れた」
そう言ってベッドに倒れこんだ。
今日も疲れたよ、
このまま寝たい、でも服を着たままではなぁ
結局、ちゃんと服を脱いで体を拭いて
寝ることにした。
・・・・・・・・
朝だ。
今日も廊下が騒がしい、朝早くに
冒険者ギルドに行くパーティーたちだな、
俺は眠い目をこすりながら今日一日をどうするか
考えた。
4日前にこの町に来た
3日前はニルヴァースに連行、その後は町を散策
一昨日は「薬草採取」
昨日は「大ネズミ討伐」
今日は・・・・・
そうだ!「ビーグルの店」に行こう!
依頼している『スリングショット』が気になる。
2~3日ほど考えさせてくれ、って言ってたしな
今日で3日目だからな。
ただ、朝から行くのも迷惑かもしれない、
午前中は冒険者ギルドに行って
良い仕事があれば引き受けて、午後から
様子を見に行ってみよう。
今日の予定は出来た。
まずは朝飯をレストランで食べて、
冒険者ギルドに行こう、
そう決めたら、素早く用意を済ませて
レストランに向かった。
今日も朝からレストランは大盛況ですね
昨日よりも多いな、30人くらいが列を
作って開店を待っている。
「今日も気合入れていくぞ!!」
「メリーさんは彼氏とかいるのかな?」
「昨日、飲みすぎたね」
「最近、回復薬が値上がりしているな」
「西側はトレントが出たみたいだから紫級以上
じゃないと依頼は無いらしいよ」
「マジかよ!じゃあ東側の依頼が人気出るな」
なるほど、西側は俺も無理そうだな、
トレントは俺のせいではないからね。
あ!俺そういえば今日「青級」になる、
なら早く行かないとな、
昇級の手続きしている時に依頼が減る。
レストランが開店して、急いで食事を済ませた。
おそらく一番早かったと思う、
口にパンを詰め込んで宿を飛び出して行った。
昨日は尾行者がいたけど、今日は流石に
いないだろう、こんな朝早くからだと
人通りもまだまだ少ないから、すぐに分かる。
ちょっと早歩きで冒険者ギルドに向かった、
こんなに朝早いけど、冒険者ギルドに向かうと
どんどん人が増えていくな、
入口はやっぱり混雑している。
おそらく冒険者ギルドも開いて間もない頃だ、
人をかき分けて中に入った。
「おはようございます」
受付にいたメリーさんに挨拶した
「おはようございます、コウキさん
今日は昨日よりも更に早いですね」
「ええ、まあ今日は青級に、」
「そうでしたね!早くしないといけないですね
身分証を貸して頂けますか?」
「はい、お願いします」
俺はバックの中から身分証を渡した
「すぐ済みますので、ちょっと待っててくださいね」
メリーさんは慌てて席を立つ
「そうだ!今のうちに青級も含めて依頼を
見てきてください。その間に済ませて
おきますから!」
「もう青級も良いんですか?」
「はい、大丈夫です」
そう言ってメリーさんは階段を上がっていった
ならば、、青級の依頼も含めて見に行くか
あの人込みの中に行くのは躊躇するが、、、
覚悟を決めて人をかき分けて行く
こんな時に【負のオーラ】を使いたい
なんとか足を踏んだり踏まれたりしながらも
掲示板の前に来た
青級を中心に探して行こう。
・門の修繕手伝い1日(銀貨8枚)
・港の警備員1日 (銀貨8枚)
・スライムの核 2個(銀貨6枚)
青級だとこんな所か、目ぼしいのは?
討伐はスライムだけか、、
どうしようか?他も見てみると
・毒消し草 20本(銀貨2枚)
白級だが毒消し草の依頼がある、
そういえばナズナさんも魔族のブルードが
欲しいと言ってたな。
報酬は安いが毒消し草の情報も手に入るから
これを受けるか、、
今日持っていけば、明日の出航には間に合う
かもしれないしな。
俺もお人よしだと思うが、世話になった魔族には
倍にして恩を返したい。
俺は毒消し草採取の依頼書を剥がして
受付に向かった。




