058 早い昇進には裏がある
このギルドマスターはストーカーですか?
何故か俺が冒険者ギルドに来ると、
ほどんど会っている。それとも冒険者ギルドの
ギルドマスターは暇なのか?
「今日はどうしたんですか?」
俺はギルドマスターのロウケンに
少し嫌味っぽく言った
「そう嫌うなよ、お前さんを見かけたから声を
掛けただけだ」
「そうですか、じゃあ俺は行きますね」
俺は振り返り出口に向かおうとすると、
「ちょっと待て、すぐ終わるから」
「何です?」
「お前さんを青級に申請する予定だ!」
「ええ⁉」
俺よりメリーさんが驚いている
「マスター、お言葉ですが、、、、
コウキさんは確かに能力的にはかなり
優れているとは思いますが、まだ冒険者に
なって3,4日ですよ⁉」
「それは分かっている、しかしこの能力で白級は
ある種、詐欺だからな、それに早く昇級させれば
こちらとしても使いやすい、、いや役に立って
もらえるからな」
今、使いやすいって言いやがったな・・・
まあ現世でも昇進したら、責任ある仕事と
言って上司から色々と使われたからな、、
「それにしても、、、」
メリーさんはまだ戸惑っている
「お前さんはどうなんだ?」
「え?」
「昇級したほうが討伐依頼を受けやすくなる、
それに報酬額も増えるぞ」
「まあ、それは魅力的ですね、、」
「そうだろ!」
「何か怪しい感じはしますが、、」
「考えすぎだ!青級クラスはそれなりの
数の冒険者がいるぞ」
「本当ですか?メリーさん」
「ええ、まぁ青級クラスは冒険者になって1年から
3年で普通は昇級しますので、この冒険者ギルド
では青級と緑級が1番多いですね」
「なら昇級もありか、、」
俺はそう呟くと
「ただし!青級以上はギルドマスターからや、
種族会議からの緊急依頼時には断れない
仕組みになっています!」
メリーさんが重要なことを言った!
「はあーー!!」
俺はロウケンを見た!
ロウケンは白々しく目を反らす
「種族会議からの依頼なんてのはそれこそ、この町
に重要な危機がある時くらいしかないので、
コウキさんだけへの依頼なんて無いとは思います
ので大丈夫だとは思いますけど、、」
「問題はギルドマスターからの緊急依頼だ!」
「おいおい、俺はまだ青級のお前さんに緊急依頼
なんてするわけないだろ!」
ロウケンは慌てて言い返す
「本当ですか?」
「当たり前だ!俺が疑われる」
まだ完全な信用は出来ないけど、、
しょうがないな、
「分かりました、青級の昇級しますよ」
「そうか!!良かった、良かった」
なぜかホッとしているロウケン、、
「では昇級の証明書と身分証の更新が必要ですね」
メリーさんが席を立とうとする
「それ、明日で良いですか?」
「なんだ急ぎの用でもあるのか?」
「ええ、ちょっと人を待たしているので、、」
「明日でも私は構いませんけど、」
メリーさんはちらりとロウケンの方を見ると
「ああ、明日で良いぞ」
ロウケンも頷いた。
「では、明日でお願いします!」
俺は狸人族のナズモさんを待たせてるので
急いで冒険者ギルドを後にした。
時間を食ったな、早くナズモさんの店に行こう
俺はナズモさんの店がある商業ギルド方面に
急いだ。
商業ギルドを通り過ぎ、更に西側に進んで行った
この辺りは色々な店があるな。
多いのは食料品だが、民芸品や洋服店なども
見かけた。露店も結構な数が出ている。
「地図ではこの辺りの路地裏の店だな、、」
路地裏の道に入り、辺りを見渡した。
すると狸のマーク?がある看板を見つけた。
「あれだな、」
俺は店の前に着いた。
すると中から声が聞こえる
「何とかならないか?」
「大丈夫です、もうすぐ薬草は手に入ると」
「そうか、まだ渡してくれる奴がいるとは、」
ん、誰かいるのかな?
ドア越しなので、はっきりとは聞こえない
とりあえず店に入ろう、ドアノブを回した
「すみません、、ナズモさんの店でしょうか?」
俺はドアを半分開けて店の中をのぞいたら、
「ああ!待ってましたよ!!」
ナズモさんだ。待たせたみたいだな
俺は店の中に入った
「すみません。ちょっと遅くなりました」
「いえ、良いんですよ!!ちょっと遅いので
心配しましたけど、」
もう一人いる?お客かな?
「お前さん!コウキだったな」
お客だと思った人は、俺のことを知っている
俺は相手が顔を布で隠しているので分からない
「俺だ!!ああ、分からないか」
顔を覆ていた布を外すと
「ああ!この前、路地裏で」
「そうだ!あの時は世話になった」
以前路地裏で人間の貴族に絡まれていた魔族だ!
あの時は暗くてそこまで人相は分からなかったが
声は覚えている。
頭には左右に角が2本、髪は緑色の男前だ。
お互いに歩み寄り握手した。
「知り合いだったみたいですね?」
ナズモさんが魔族の男に尋ねた
「まあな、そういえば自己紹介がまだだったな、
俺の名はブルードだ、知っているとは思うが
デュランさんの配下だ」
「改めて、コウキです、
デュランさんや、マグール、バイガクさんは
元気ですか?」
「元気だ、みんな忙しく働いているよ」
自己紹介が終わると、ナズモさんが
「すみません、コウキさん、薬草の方は?」
「ああ、そうですね」
俺はこの2人なら大丈夫だと思い、少し
広いスペースでコインロッカーを召喚した
「こ、こ、、これは?」
「こいつがデュランさんから聞いた特殊な
召喚術か、、、スゲーな」
まあ、こいうい反応になるよな、、
「これは内密で、、ちょっと待って下さい、
確か、薬草は、、、」
俺はコインロッカーの中を探した。
「これだな、50本くらいですけど大丈夫ですか?」
俺は驚いているブルードを横にナズモさんに
薬草を渡した。
「え、ええ、ちょっと待ってください」
驚きから我を取り戻し、ナズモさんは
薬草の確認をした
「間違いありません。良い薬草です」
「良かった」
「本当に買い取らせてもらっていいんですか?」
「良いですよ、それに世話になった魔族の方の
ためになるなら」
「助かる、、俺たちに売ってくれる店がこの町
にはほとんど無くてな、、」
我に返った、ブルードが元気なく言う
「気にするな、また必要なら時間がある時に
採取すればいいだけだから」
薬草を持ってナズモさんは奥に行った。
「ところであの薬草はどうなるんだ?」
「ああ、それはナズモさんが葉、茎、根の状態を
見てそれから煎じたり、乾燥などを施して
回復薬に改良してくれるんだ」
「なるほど、、凄いな」
「ああ、ナズモさんの回復薬は効き目が良くてな、
俺たち魔族はどうしても怪我をしやすい種族
だからな、故郷では貴重品だ」
ナズモさんが裏から出て来た
「良い薬草だから腕がなります。ブルードさん
おそらく明後日には渡せると思いますよ」
「そうか!!間に合いそうだな」
「間に合う?」
「明後日、魔族の故郷に交易品が出航するからな、
どうしても間に合わせたかったんだ、今回の出航
に間に合わなければ2カ月以上遅れることになる」
そういう事情があったのか、、、
ナズモさんが聞いて来た
「買い取りの代金ですが、、」
ああ、そうだった。確か冒険者ギルドでは
薬草50本は銀貨5枚だったな、
「銀貨5枚くらいですか?」
「え!ええ!いやいや、安すぎでしょう!」
「でも依頼書では薬草50本で銀貨5枚ですが?」
驚愕の表情でナズモさんは言った
「いやいや、この品質の薬草なら1本で銀貨
1枚ですよ!
だって、しっかり根、茎、葉があります!」
あの冒険者ギルド!ぼったくりだな!




