057 狸の里
狸人族のナズモさんと一緒にプロストンの町に
戻ることにした。
今回の討伐依頼、大ネズミの尻尾は2本持って
いるから問題はない。まだ陽は高いから正午
くらいだろう。ゆっくり戻っても夕方までには
町には間に合うだろう。
「それにしてもコウキさんは強いですね」
「そうですか?」
「ええ、普通はあの大ネズミに矢を当てる
のはエルフか、紫級クラスじゃないと
難しいですよ」
まあ、俺の場合はチート能力だからな、
「たしかに逃げ足は速かったですからね」
「その実力で白級なんて、最近冒険者に
なったってことですか?」
「はい、3日前に冒険者登録をしたばかりです」
「すぐに青、いや緑級以上にはなれると思いますよ」
「そうですか?まあ頑張って見ますね」
冒険者もランクが重要みたいだ。
「そういえば、コウキさんは魔族の方に知り合いが
いるのですか?」
「ええ、以前お世話になりまして」
「なるほど、、」
まあナズモさんなら話しても大丈夫だろう、
「プロストンの町から南側にある魔族の集積地で
1晩宿泊させてもらいました。その時にリーダー
のデュランさんやマグール、バイガクさんと
知り合いました。」
「鬼人族のデュランさんですか、良い方ですよね、
面倒見が良くて、部下からも慕われていますね」
「彼らが悪いやつらには見えないんですよ、
どうしてそこまで人間は魔族を嫌っているん
ですか?」
「難しい問題ですね、人族の国の中でも神聖国は
完全に敵対していますからね、特に人族には
宗教が絡んでいますから」
宗教か、俺は無宗教だったから何とも思わないが
現世ではたしかに世界では宗教問題があったもんな、
少し先に冒険者や商人の姿が見えた。
どうやら街道に戻って来たみたいだ。
「ここまで来れば大丈夫ですね」
「ええ、助かりました。ありがとうございます」
「良いんですよ、私も町に戻るところだったので」
少し歩くと、来た時に見えた港が見えてきた
「それにしても凄いですね、この港は」
「そうですね、この世界では5本の指に入る港
だと私は思います」
小高い丘の上から港を見下ろす。まだ船は
10隻以上は停泊している。
歩き続けると、町の門が見えて来た。
「そういえば、薬草や毒消し草は今日は採取できた
のですか?」
「いえ、今日は見つけることが出来なかったです」
「大丈夫なんですか?」
「まあ、そうですね。魔族の方からもう少し
仕入れを増やしてほしいとお願いされては
いるんですが、、」
「そんなに必要なんですか?」
「魔族が住む、南西の国は薬草や毒消し草が
無いですからね、それにまだ紛争も続いている
地域もあるので、需要が高いんですよ」
「なるほど」
「それに南西地域は有毒な瘴気が出る地域が
あるので、毒消し草などは必須なんです、
それに鬼人族が住む地域は特に瘴気が
強いので、なんとか手配してあげたいん
ですが、、」
「魔族ということで他は売ってくれない、、」
「ええ、人族が圧力をかけているんですよ」
「圧力?」
「魔族に品物を売った場合は今後の取引をしない」
「情けない、、」
「そう言ってくれる人は中々いないですよ、、」
「そうなんですか?」
「建前上、露骨な圧力はかけてはいないので、
エルフ族や獣人族、龍族も観て見ぬふりを
しています」
どこの世界も一緒だな、
似てはいないかも知れないが・・・
パチンコ業界でも新台を買うのに機歴という
ものがあった。
欲しくもない新台を購入しないと、次の新台
は購入できない、という露骨な販売方法が
新台を売るメーカーの言い分も分かるのだが、
売り方が露骨な場合はたくさんある。
20年前なんて、このメーカーの機種を買うなら
あなたの店には今後新台を売らないという
営業マンは確かにいたからな、、、
そのいらない新台の購入費の負担は、
結局のところお客から回収しなければいけない。
そんな昔のことを思い出した。
「薬草なら多少はありますが、いりますか?」
俺はコインロッカーにまだ大量の薬草が
残っていることを思い出した。
おそらく100本近くはあったはずだ。
「本当ですか?」
「ええ、ここにはありませんが100本はあると
思います」
「お願いします。代金は支払うので是非!」
「ええーっと、分かりました。町に着いたら
とりあえず、討伐依頼の報告をしてきます。
その後でナズモさんの店に持っていきます」
「分かりました!!そういうことなら
急ぎましょう!」
あれ!まだそんな体力が残っていたんだ
先までゆっくり歩いていたのに・・・
そう思いながら、
駆け足で町に向かう羽目になった。
20分ほどで町の門に着いた。
「珍しい組み合わせだな」
朝の門番に声を掛けられた。
「ええ、途中で知り合って」
「助けていただきました!」
「おお、そうか、、」
「このコウキさんは強い方なんですよ、
その辺の冒険者なんて比較になら、、」
俺は割り込んだ、
「まぁまぁ、その辺で、急ぎましょう」
「そうでした!では私の店の場所を教えますので」
「はい、」
「商業ギルドから少し外れたところですが」
そう言って簡単な地図を書いてもらった
場所は商業ギルドから更に西側の路地だな
俺が泊っている宿からはそんなに遠くない
「分かると思います。店の名前は『狸の里』と
言うんですか?」
少し笑いそうな店の名だな、、
「はい、では私は店に戻っていますので
コウキさんが来るのを待っています」
「分かりました。俺もなるべく早く向かえる
ようにしますので、」
そう言って、俺たちは大通りで別れた。
早く冒険者ギルドに行って、依頼達成の
報告だな、
・・・・・・・・・・
冒険者ギルドに着いた。
俺はメリーさんに大ネズミの尻尾2本を渡した
「は、早かったですね、、凄いです、」
メリーさんがちょっと引いてる、
「そうですか?」
「まだ昼過ぎですよ、こんなに早く大ネズミを
討伐したのは初めてですよ」
「運が良かったんですよ」
「そう、、です、ね、、
どうしますか?依頼は1本ですけど、もう1本
も買取しますか?」
どうしようか?1本が銀貨5枚だもんな
「いえ、持って帰ります、何か他に使える?
かもしれないので、」
「分かりました。それではお返しします。
それと報酬の銀貨5枚です」
「ありがとうございます、それでは」
「え?もう行く、、のですか?」
「ここにいるとギルドマスターに捕まり
そうなんで、、」
「誰に捕まるって」
また、背後から!!
「!!!!」
「あれ?マスター、どうしたんですか?」
「本当にたまたまだよ」
絶対嘘だ!!顔が笑っている!!




