052 変な魔物
プロストンの町の門に来た。町の外に出るには
たしかこの依頼書を見せればいいんだな。
「採取依頼に行きます」
門番の男性に見せた。
「薬草採取か、ここから西に向かうとそこそこ
生えていると思うぞ、西側は魔物は少ないが、
それでも林の中で迷う奴もいるからな。」
「ありがとうございます」
「なに、気をつけてな」
いい門番だな、優しい笑顔で送り出してくれた。
年季のはいった鎧だが手入れが良き届いている。
この町に初めて来たときは南の山側から来たが
今回は西側に向かう、北側は海、東側には草原だ。
西側は海岸から離れていけば林になっている。
林の中に薬草の群生地があるみたいだから、
まずはそれを手掛かりに探してみよう。
少し歩くと林の入口に着いた。
「さてと、この林の中だな」
モンスターがいる気配はないと思う。
林の中に入り群生地を探してみた。
・・・・・そう簡単には見つからないよな。
そう思い林の奥に向かって歩いた。
こんな時に他の冒険者に出会って情報を
もらったりするのかな?
異世界あるあるなら、ここで女性の悲鳴でも
聞こえて、助けに向かってそこから関係が
深まる・・・なんてあるけどなぁ。
その他にも
・貴族の女性が魔獣に襲われている!
・盗賊団が商人を襲っている!
・王国の姫が暗殺者に狙われている!
・ドラゴンが冒険者と戦って苦戦している!
・有名冒険者パーティーが魔物に襲われている!
この辺りが王道パターンだよな?
王国の姫様って誰や⁉って突っ込みたくなるが
そんなバカなことを考えながら、更に林の
奥に進んで行った。
「群生地はまだ先か?」
けっこう歩いたな、もう1時間は歩いている。
「少し休憩だな、これは」
ちょうどいい切り株がある。そこに座って休憩だ。
周りには誰もいないし、
冷蔵コインロッカーを出そう。少し腹が減ったな。
何が残っているかな?
中には少しだけ果物が残っていた。
魔の森を抜けた時に魔族の連中に果物を
たくさん渡したからな。
中からバナナを2本取り出して食べた。
次からはお弁当と飲み物を持って来るようにしよう。
この世界には自販機なんて無いから飲み物が
いるな。
こんなに薬草採取に時間がかかるとは思って
いなかった。舐めていたな。
夕方までに戻らないと依頼が失敗になる。
さてと、ちょうど正午くらいか?
更に奥に進んで探してみよう。
更に奥に進むと、草の丈が高くなり始めた。
草が俺の腰くらいの位置まである。
とりあえず行けるところまでとは
思っていたが、引き返すか・・・
そう考えて進むと、100メートルくらい先に
小さい川が見えた。その川岸に図鑑で見た感じの
草が生えている。
「あれか!!」
急いで川に向かった。
川幅は1メートルくらいだが水は凄く
澄んでいた。
どうやら薬草だな。川岸にびっしり生えている。
「これなら50本は楽勝だな」
俺は依頼書の特徴をもう一度確認して、薬草
採取を始めた。
「えーっと、根まできれいに抜けばいいのか」
草抜きみたいに適当にやるわけにはいかない。
1本1本丁寧に薬草を抜いて行った。
採取した薬草はコインロッカーに保管だな、
別に冷やす必要はないから冷蔵じゃなくて
いいだろう。
川の水で水分補給をしながら薬草50本を採取した。
どうしよっかな?川岸には薬草が生えている。
まだ時間も余裕がある。
ここはあと100本くらい採取して持っておこうか。
いつ何があるか分からない世界だしな。
ロールプレイングの主人公なら薬草は
4~5本くらいしか持って歩けないけど
俺にはコインロッカーがある。
「よし、目標はあと100本」
ここから俺は一心に薬草採取をした。
こういう作業は嫌いじゃない。
今後のために必要な物は根こそぎ持って
行くものだ!
・・・・それから2時間くらい・・・・
「よし、この辺で終わろう」
おそらく100本以上はあるはずだ。
川岸にあった薬草はまだあるが半分以上は
採取した。
コインロッカーにはまだ余裕がある。
薬草は3つに分けて閉まった。
1つは今日の依頼分だ。
「さてと、それでは帰るか」
コインロッカーを閉まった。川岸を後にして
草むらを抜けて、林に戻った。
陽はまだ高い、普通に帰れば日暮れまでには
町に戻れるだろう。
林の中を来た道を戻っていく。
途中、休憩した切り株を通り過ぎた。
あと1時間くらいだな、
けど帰りは行きより早いと言うからな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ???
20分くらい歩いたが、、、
これは??
また休憩した切り株の所だ?
真っすぐ歩いたはずだが??
違う切り株か?
いや、違う。
バナナの皮が置いてある。
先ほどもこのバナナの皮を見た。
1周まわって来たのだ!
どういう事?
もう一度、真っすぐ歩くか?
いや、何かがおかしい。
ここは異世界だ。何が起きても不思議ではない。
考えろ!!考えるんだ!!
俺は歩いている時、変なことは無かったか?
無い!
そうすると進んだ道がおかしいのだ。
何が・・・
!!
そうだ、目印だ。この林では「木」を目印に
その方向に向かって歩いた。
ということは「木」がおかしいのか?
しかし襲われてはいない。
何故だ?
疲れるのを待っているのか?
ここで迷って疲れた所を襲うパターンか、
どうする?
この辺りの「木」を叩いて行くか?
いや、めんどくさい。
どの「木」が動いているか分からない。
ならやることは一つだ。
「殺る」
だんだん腹が立ってきた。こっちは
早く帰りたいのに・・・
【負のオーラ】
俺の早く帰りたい怒りが黒いオーラに
なって出て行く。
「どこにいやがる」
黒いオーラが周辺に充満すると、、、
奥の1本の「木」がうごめいている。
「あいつか!」
いやまだ、いる!
3.4.5本か、、5本の「木」が
ざわついている。木の根が動いている。
これが『トレント』という
木のモンスターか⁉
さて、どうやって倒そうか?
動いている「木」に向かって行った。
とりあえずひのきの棒を構えていく。
ただ打撃で倒せるのか?
やはり「木」のモンスターには『火』が
有効だと思うけど。持っているのは
ライターしかない。
かなり近づいた。この「木」は苦しそうだな。
高さは2.5メートルくらいの「木」だ。
一発、ひのきの棒で思いっきり振り抜いてみた。
「「ガン!」」
おおー!「木」がよろめいた。1メートルくらい
横に移動している。
しかし、こっちも手が痛い。
それでも構わずひのきの棒で振り抜く!!
「「ガン!」」 「「ガン!」」
3発目を振り抜いた時に「木」が倒れた。
倒れた「木」がどんどん枯れていく。
根が外れると枯れるのかな?
枯れた「木」から1本の綺麗な枝が出た。
これが戦利品か?
とりあえず残りを全部駆逐しよう。
この【負のオーラ】のおかげなのか「木」
からの攻撃は全くない。
ならば入れ食い状態だ!!
俺は残りの「木」いわゆる『トレント』を
全部倒した。
「よし!終了」
戦利品の綺麗な枝は5本回収した。
その時
「レベルアーーーーップ」
久しぶりに聞いた。レベル上がったんだ。




