038 プロストンの町
「そういえば町の名前は何と言うのですか?」
俺は今から行く港町の名を知らなかった。
「町の名は『プロストン』という、この
中央大陸で最大の港町だ。」
一緒に休憩をしていたマグールが答えてくれた。
「町には各々の大陸から代表者が来ている。
北西大陸の人族はたしか、『王国』からだ。
あとは南西大陸からエルフが代表で、
北東大陸からは龍族の代表もいる」
「そして、魔族は私が現在
代表者としてこの地にいる。」
デュランが教えてくれた。
どんな町なんだろうか?
やはりこの世界の定番である西洋風かな?
海を見るのも久しぶりだ。
大きな荷車を引いて来た、大型重種馬にも
水を与えて休憩時間を過ごしている。
休憩時間が終わり、また街道を進み始めた。
周辺の景色も木々が少なくなり、草原が
広がり始めた。軽い山道を登り切った時
正面に「海」が見えた。
そして山から見下ろしたところに・・・
港町が見えた。
凄い!完全に西洋風の港町だ。
町の周りを高い城壁が囲んでいる。港は大きく
多くの交易船が停泊している。
現在いる小高い山頂から1本の道が城壁の
入口に向かって伸びている。
山からの壮大な景色を眺めていると、、、
「ここでお別れだな」
デュランが言った。
「俺たちは、町には入らず海沿いから港に
向かって荷物を積み込む」
「そうですか」
「まあ、この町にいるのなら会うことも
あるだろう」
「ここまで、本当にお世話になりました。
何かお礼をしたいのですが、」
「気にするな、困った時はお互い様だ」
笑顔でデュランは答えてくれる。
いい魔族だ。俺は魔族の認識を改めた。
差し出された右手に握手した。
そうだ、バナナはまだ残っている。
今日一緒に来た、魔族全員分はあるはずだ。
「これ、帰りにみなさんで食べてください。
疲れをとるには良い果物ですから」
「これは、、確かバナナと言ったな、
良いのか?」
「ええ、構いません。これだけでは足りない
くらいです」
「そうか、それでは頂くことにしよう」
そう言ってデュランは大量のバナナを
受け取ってくれた。
俺は世話になった、マグール、バイガクにも
お別れの挨拶をした。
「お金は持っているか?確か町に入るには
通行税で銅貨3枚が必要なはずだ」
バイガクが教えてくれた。
「はい、お金はある程度は持っているので
大丈夫です」
「そしたら、門番には『身分証』を聞かれる
と思う」
「身分証ですか?」
ああ、そうだな。確かギルドで登録したら
もらえる身分証か・・・
「そうだ、身分証は魔獣に襲われてなくした、
と伝えれば良い、人族に対しては門番もそこまで
疑われたりはしないだろう」
「分かりました。言われた通り身分証を無くした
形で中に入ります」
「気を付けてな」
「ありがとうございます」
俺は魔族と別れを済ませて坂道を下り町の
入口に向かった。
さすがに少し歩くのが早くなる・・・・
この世界に来て、初めての町だ。
先に来ている2人の転移者もこの町に
きたのかな?もしかするとまだ町に
住んでいるかも知れない。
そういう情報も集めて行こう。
入口のまえでは何名かの人が並んで
検問を受けていた。
待て!
並んでいる人たちを見た。
耳が・・・耳が長い、
いた。本当だった。
エルフだ。金髪のエルフが3名並んでいる。
他にも、背が低い、おそらくド、ドワーフだ。
サインが欲しくなる。いや写メが欲しい。
今、スマホを持っていない自分が恨めしい・・・
並んでいる人たちを見ながら興奮している自分
を変な感じで見ている。門番・・・
怪しまれてる・・・
マズイ、ちゃんとしよう。
俺は落ち着きを取り戻し、列で大人しく
順番を待った。
しばらくたって、俺の順番だ。
「次の方」
「はい」
俺はひのきの棒を持って検問所に向かった。
検問所と言っても野外で門番2名に
詰問を受ける感じだ。
「身分証は?」
「すみません。ここに来る途中で魔獣に襲われて
身分証を無くしました」
「どこで襲われたのだ?」
「あの山の向こうの街道です。」
「襲った魔獣は?」
「ウサギのような魔獣です。」
「そうか、一角ウサギか・・珍しいな」
「お前は冒険者か?」
「いえ、商業ギルドです。」
「そうか、怪しい物はないな・・」
門番2人は人間である。そして俺の周りを
1周見て、2人は頷いた。
「では通行料で銅貨3枚だ」
おお、これで通れるぞ、、、
「はい、こちらです」
俺は門番に銅貨を3枚渡した。
「早くギルドに行って、身分証を再発行するように」
「分かりました。お手数をお掛けしました」
「通ってよし!」
ついに町に入る。俺の本当の異世界生活が
スタートする。
「俺の異世界はこれからだ!」
と小さく呟いて、プロストンの町に入った。




