037 港町へ向けて
1時間後の出発と聞いて俺は準備に取り掛かった。
とは言ってもテントに置いてある、ひのきの棒を
取りに行っただけだ。
外では慌ただしく、準備に取り掛かっている。
大きな荷車には大量の穀物類の
袋が積まれている。
この荷車を運ぶ馬たちもいる。
馬?俺が知っている馬の2倍は大きい。
俺が大好きなサラブレッド系ではない。
でも見たことはある・・どこだ・・
・・・ばんえい競馬だ!!!
北海道の帯広で唯一行われている、重種馬だ。
迫力が凄い!
いつか帯広に行って、生でレースを見たかった。
そう思いながら馬を見ていた。
「この馬を知っているのか?」
後ろからデュランに声をかけられた。
「ええ、昔の記憶で見たような気がしました。」
「そうか?でもこれは我々の大陸にしかいない
いわゆる魔獣だ」
「馬ではないのですか?」
「そうだ、魔獣と言っても大人しい部類だ、
人や動物などを襲うことは無い」
そう言ってデュランは魔獣の頭を撫でた。
「ところで、この大量の穀物類は?」
「これは交易で仕入れた穀物だ、我らの住む地域は
穀物が少ない。これは人族やエルフ族から仕入れた
ものだ。今日港に我らの船が来るのでそれに乗せて
我らの大陸に輸送するのが今日の任務だ」
続けてデュランは説明してくれた。
「我らは商品として、魔獣の肉や魚・毛皮・魔石
などを商品として扱っている」
そしてデュランの話では
・人族=穀物類・乳製品・加工品
・エルフ=果物類・豆類・野菜
・龍=宝石類・装飾品
・ドワーフ=武器・防具・鉱石
・魔族=肉・魚・毛皮・魔石など
これ以外にも様々な種族が自分たちの特産品を
持ち寄って交易をしているみたいだ。
どうやら魔族は「何かを作るの」は苦手な種族
みたいだ。なので狩猟が基本であり、加工品
や穀物は交易に頼っているそうだ。
「そろそろ出発しよう」
入口前では、今回輸送に付いてくる魔族たちが
待っている。
「前方はマグール、後方はバイガクが付いてくれ。
俺は中間にいる。コウキは俺と一緒に
付いてきてくれ」
「分かりました」
そして大きな荷車が8台、集落から街道に出た。
街道の道幅いっぱいを使い、北側に向かって
進み始めた。
かなりの量を積み込んでいるので、進む
ペースはゆっくりだ。
「この辺りはモンスターなどのに襲われること
はあるのですか?」
俺は隣を歩くデュランに聞いた。
「そこまで襲われることはない。そもそも我ら
魔族を襲う魔獣は少ない。知能が低い
ゴブリンくらいが群れで来ることはまれに
あるが、危険はない・・」
と言ったが
「まあ、滅多に無いが盗賊の方がやっかいだ」
「盗賊・・・」
異世界で定番の盗賊団だ!やっぱりいるんだな。
「あいつらは襲撃するときは、罠を仕掛けて来る、
それに弓矢や魔法も使って襲ってくるからな」
「戦いたくない相手ですね・・・」
「そうだ、それに戦いの最中に俺たちの仲間を
人質に取ったりもする。そして逃げる時も
山の中や洞窟、また町の中にも逃げる。
追いかけても姿を変えてやがるから、
捕まえるのも難しいのだ」
「盗賊は人間が多いのですか?」
「いや、色々だ、魔族もエルフも人もいる。
まあ龍族やドワーフの盗賊は見たことはないな」
そう言いながらでも周りの警戒は怠らない。
そのあたりは何度も経験をしているのだろう。
「今回は、貴重な食料の輸送だから護衛は多く
している。本来ならバイガクかマグールの
どちらかには留守をしてもらうのだが、
集落には今、交易品は無いから安全のため
こっちについてきてもらった」
歩き始めて1時間くらいかな?
ペースはゆっくりだが、大きなトラブルは
今のところはない。
こういう時は定番の盗賊団の襲来や
大量のモンスターに襲われるってことが
あるはずなんだが・・・
そういえばデュランに魔物と魔獣の
違いに聞いた。
デュラン達などの魔族は
魔物=知能があり、人やエルフまた魔族にも
襲撃することがある。
(ゴブリン・オーク・コボルトなど)
ただし言葉での会話が難しい
魔獣=獣系の知能が低い、元は野生の動物が
魔力や狂暴性を持つことがある。
(イノシシ・熊・虎など)
と区別して使っている。
俺が使っているモンスターという言葉は、
魔獣や魔物の総称として、人族だけが
使っている言葉らしい。
人間を襲う全てをモンスターと・・・
「1度、休憩にしよう!」
デュランが先頭にいるマグールに聞こえる
ように大きな声で伝えた。
「あと1時間くらいで着くかな?半分は
きたと思うぞ」
デュランが俺に教えてくれた。
「そういえば、コウキは町についてからは
どうするんだ?」
そうだ、俺はどうしたら良いだろうか?
魔の森を脱出してからのことはあんまり
考えていなかった。
まずは生活基盤を整えることが第一だな。
多少のお金を持っている。
それにゴブリンの魔石やスライムの核
ウサギの角、魔犬の牙などを売ることで
生活費の足しにはなるだろう。
「まずは宿を探して、しばらくは滞在しようと
思っています。何か仕事でもあれば就きたい
とは考えていますが・・」
「なるほど、宿屋なら俺も使っていたところを
紹介しよう。仕事はそうだな・・・
まずはギルドに登録してからだな」
ギルド!!!異世界でのハローワーク
職業安定所、兼、職業訓練校
「あ、あるんですか、、そのギ、ギルドが」
「あ、ああ、そんなに驚くこ・・と?
・・・まあ知らないからか・・・
今から行く町には冒険者ギルド、商業ギルド
があるぞ」
「ようやく、ようやく、異世界に来たと実感
した。」
小さな声で俺は呟いた。




