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元パチンコ店長の異世界奮闘記  作者: ナガタエモン
第1章 プロローグ
3/42

002 2008年春

 入社して早8年、俺は順調に出世して

 店長になっていた。


 入れ替わりが多いこの業界で8年は凄く

 頑張っている方だと俺は思っていた。

 同期で入社した3名はとっくに退職しており

 残っているのは俺だけだった。


 何せ当時のパチンコ店は暴力・暴言は当たり前の

 世界であり、役員・店長が事務所にいるだけで

 ホールで働いているスタッフは

 常に緊張感があった。店長が本部で会議があり、

 ホール不在の時はみんなが楽しそうに

 仕事をしたものだ・・・


 この業界のパチンコ店舗での役職順位は

 ・スタッフ、アルバイト(一般的な接客)

 ・リーダー(ホールでの管理)

 ・主任(ホールでの責任者・トラブル対応など)

 ・副店長(店長不在時の責任者)

 ・店長(店舗責任者)


 という役職順位がついている。

 俺はスタッフを1年、

 リーダーを2年

 主任を2年、

 副店長を3年経験した。


 特にリーダー、主任は大変な業務である、

 店長からの罵声が一番多いのも

 この役職であり、給料は手取りで24万円と

 低いのにかなり重労働であった。

 だいたいの新卒で入社した人間は、

 このリーダーか主任で辞めるのが圧倒的に

 多いのである。理由は簡単である、

 やってられないからだ・・・


 スタッフは時代はまだ優しい方である。

 新卒だからという理由で失敗も

 多めに見てもらえることが多い、しかしリーダーに

 出世した途端アルバイトの教育から、ホールでの

 お客とのトラブル対応、また機械トラブル

 など様々な問題を一気に抱えることになる。

 またアルバイトやスタッフの

 問題も全て、リーダー・主任に押し付けられる

 ことが多くあった。

 

 だいたい23~24歳の若造が

 50代クラスのお客からのクレームに対処する

 方が無理なような気がした。

 それでもなんとか我慢できる人間だけが、

 副店長というポジションを狙うことができた。


 副店長クラスになると給料は手取りで30万円を

 超えてくるので、一つの目標とする役職の地位

 でもあった。しかしこの副店長になるには

 特殊技術が必要となる。


 いわゆるパチンコの「釘」である・・・


 俺は釘調整が得意な方であった、当時の店長に

 可愛がってもらったのが大きいが、釘のイロハに

 ついて色々と教えてもらった、また会社が用意した

 外部の講師からの指導もあり、その講師の会社が

 設定している「釘検定1級」なんてパチンコ業界

 以外では絶対に役に立たない資格も会社の中で唯一

 20代で取得することができた。


 その資格?が役に立ったのかどうかは

 分からないが、2008年の春いきなり店長への

 昇進が言い渡されたのだ。

 当時働いていた店舗の店長が退職する

 ことで偶然に空いたポストを若い俺にしてみようと

 役員会議で決まったと社長から聞いた。


 何度も会社を辞めようと考えていたが、

 ようやくこの会社に踏みとどまって良かったと

 思えた唯一の瞬間であった。当時付き合っていた

 彼女も喜んでくれた。消費者金融で借りていた

 お金も返済が終わり、余ったお金も

 貯金に回せれるようになった、都会に住む両親も

「よくここまで堪えた」と

 ようやく認めてくれるようになった。


 しかしまだこのパチンコ業界は2008年時点

 では絶好調であり、まだまだ

 大きくなれる業界だと思っていた。

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