027 ボス戦
さてと、
「待たせたな」
と一言、ボス犬に向かって言った。
風が吹き抜ける。辺りは静まり返っている。
カッコいいーーー、自分でそう思った。
本来なら、こんなセリフはシラフで言えない。
森の奥のモンスター相手じゃないと・・・
誰も見ていない所じゃないと恥ずかしくて
言えないよ。俺は・・・
見た目は20歳だが、中身は47歳です。
冷静に自分を俯瞰して見れています。
睨み合いが続いている・・・
改めてボス犬を見ると以外とデカい。
体長は1メートルくらいはある。
どうしよう?こちらから仕掛けるか?
まずは【負のオーラ】
ボス犬は10メートル先、まずはこのオーラで
弱らせるのがお決まりだが、こいつには
あまり効いていない。それでも何もしない
よりはマシだと思った。
俺も精神的に辛い。先から連発している。
それでも俺はオーラを身にまとい
まずは先制攻撃を仕掛けた。
「くそったれ」
まずは挨拶代わりに10玉くらいを投げてみた。
結構早い玉だが、ボス犬は素早く左側に避けて
いた。
「ッチ」思わず舌打ちした。
やはり全部避けるか。
もっと多めに持って、範囲を広げるような感じで
投げるか?最後に玉を手から離す瞬間に、
手のひらをパーの形で放れば、少しは広角に
玉は飛ぶだろう。
そう考えている瞬間!
ボス犬は俺の背後に回ってきた。
「しまった」
家への退路を断ちに来やがった。
玄関と俺の間にボス犬が割り込んできた。
やはりコイツは知能が高い・・・
どうする、俺はじりじりと後ずさりをした。
ボス犬は玄関を背にして
ゆっくりと一直線に俺の方に向かってくる。
俺が左右のどちらかに行き、ボス犬の後ろに
回り込むにはスピードが違いすぎる。
正面から突破するしかない。まだオーラの
効力は切れていない。怒りがまだ湧き出る。
互いの距離が5メートル以内になった時
俺は覚悟を決めた。あの技を使う時だ・・・
ボス犬は口を開けて飛び掛かってくる。
右手に持っていた、パチンコ玉を地面に捨てた。
そして唱えた!
【台パン】
俺は右フックを放った!左手はボス犬の牙から
体を守るようにした。
左手が牙に挟まれた瞬間。
俺の渾身の【台パン】はボス犬の左側面に当たった
ボス犬の口は俺の左腕から離れた、
少しよろけたが、そんなにダメージがなさそうだな。
こちらは左腕が負傷だ。血が流れている。
まずいな。回復薬なんてない。血は多くは流れては
いないが早く止血したい。
それにしても俺の【台パン】は弱いな・・怒りが
足りないのか?負けた時のイメージが弱いからか?
もっと震えるような怒り・・・
あの尊敬する覇王のような赤いオーラが出るくらいの。
ただ実際に負けていないから、どうしてもイメージ
が沸いてこないのか?
実際にイメージ・・・
実際に
実際
出来る。やりたくは無いが出来る。
もったいないがこれしかない。
やる前から想像しただけで、少し腹が立つ。
だが・・・
・・・・・この方法しかない。
俺は唱えた・・【サンド】
ボス犬はこちらを様子見している。
やつも少しダメージがあるのか??
まあいい。トドメを刺してやる。
俺はサンドに後ろのポケットに入れた
大事な大事な「金貨」を取り出した。
投入口にいれるのを一瞬だけ躊躇ったが・・
入れた。入れたよ。「金貨」を
パチンコ玉が出てくる。まだまだ出てくる。
2,500発分だ。
玉が出てくるノズルに右手で抑えて玉を
握りしめた。離すと地面にまた玉が
こぼれていく。
貴重な金貨を使わせやがった。
俺の精神安定剤を・・・
【負のオーラ】
無表情で唱えた。
更に怒りが増していってる。この後の反動なんて
どうでもいい。ただこの怒りをこのボス犬に
全てぶつける。
怒りはあるが、おそらく表情は「無」の状態
ただ右手で握った玉をボス犬に渾身の力で
投げつけた。ボス犬も最初はかわした。
それでも玉はまだ出てくる。
俺は何度も何度も何度も投げた。
何回目か分からない。ボス犬の足に当たった。
動きが鈍い、そんなことはお構いなし。
俺はただひたすらに投げた。
ノズルから玉が全て出きった。
俺は無表情で地面に大量に落ちている玉を拾い
更に投げつけた。
何回投げたか分からない。オーラが消えかかった
時、ボス犬は動いていなかった。
「倒したか」
動かなくなったボス犬に更にトドメの玉を上から
投げつけた。
家に帰ろう・・・絶望感が俺を襲っている。
でも、
心の中で誓った。明日必ず落ちた玉は拾いに行く。
レベルが上がったみたいだ。
さきほど、レベルUPの声が響いた。
でも今日は見る気力がない。
玄関前に置いていたランプを回収して家に入った。
早く切り上げたのが良かったのか、それ以降は
モンスターの襲来は無かった。
俺は1枚減った金貨を悲しんだが、残り4枚の金貨
を見て、精神回復に努めた。
まだ大丈夫と自分に言い聞かせて・・・




