018 眠れない夜
異世界に転移した場合、最初によくある
パターンはモンスターに襲われる・もしくわ
襲われている人を助けるってのがある。
でも家にいるところを襲うパターンはあったか?
突然、近く壁から大きな音が聞こえた。
あ・・これ、家にモンスターの襲来だ・・・
やばいやばいやばいやばい・・・
落ち着けって落ち着けないよ!
取り合えず、火を消そう。
俺はランプに付けて火を吹き消してた。部屋の
中は暗くなった。おそらく陽が落ちていたのだろ
夜になっているのに気が付いていなかった。
「何か武器、それと防具は」
周囲を見たが見当たらない・・・
それくらい初心者パックに着けといてくれよ、
流し台の方からは壁にぶつかるような音、
玄関側からは何か引っかく音、
トイレ方向からは何かの棒だ叩いている音、
何らかしらのモンスターがこの家を囲んで
襲っているのは明白だ。
窓は開けれない、玄関は以ての外だ!
落ち着け・・落ち着け・・上司に怒鳴られること
はよくあったはずだ。怖いお客さんに囲まれてこと
も1度や2度ではない。昔のパチンコのお客さんは
一般人じゃない人も多かった。
それに比べれば・・
冷静になるまでには時間はかからなかった。
家には強力な加護がついている。家の中までは
モンスターは入れないわけだ。
今はまだレベルも低い、
戦って勝てる可能性なんて
ゼロだ。今日はこのまま引きこもろう・・・
大丈夫。大丈夫。
取り合えず、一服しようと思った。これが
ヘビースモーカーの俺には鎮静剤だよ。
セカンドバックからタバコとライターを取り出し
火をつけた。そして深く煙を吸い込み吐き出した。
相変わらず壁からの衝撃音は続いている・・
何か獣の鳴き声?犬?狼?も聞こえてくる。
甲高い声も聞こえてきた。
襲撃したモンスターは2~3種類と判断できる。
タバコを吸い始めて頭がクリアになってきている。
今一度、部屋の周りをもう一度見渡した。
すると最初は薄暗くて気づかなかったが
ソファーベットの近くに木の棒が立てかけてある
のを見つけた。またソファーベットの上には
服と下着が置いてあった。
質素な服・・しかし分厚い・・「旅人の服」だ。
そして木の棒・・「ひのきの棒」だ。
初期設定だ!!!!!そうだよね!!!!!
最初にこれくらいはもらわないと無理だよ。
ってことは、テーブルの上にあるのはお金!!
革袋の中は開けていないがある程度ありそうだ。
今はモンスターの襲来中だが・・お金は大事
これは明日の朝にでも中身を確認しよう。
相変わらず壁に襲撃音は響き渡るが最初ほどでは
ない。モンスターもこれを壊すのは無理だと
分かってきたのかな?
それならば・・・
よし、腹ごしらえだ。俺は流し台にあった木の箱
から、干し肉と硬い
パン(フランスパンだよな、これ)そしてリンゴ
的なものを取り出した。
本当は明かりを付けて食べたいが、また
モンスター共が興奮して壁を殴打するのは
精神的に良くはない。
かなり薄暗い中ではあるが、テーブルの上に食材を
置いて取り合えず腹ごしらえをしよう。
味は想像通りである。美味しくはないが食べれない
わけでもない。贅沢は言えない。果物は普通に
美味しかった。
腹ごしらえを済んだ俺はスーツ・Yシャツ・
ネクタイを脱いで、旅人の服に着替えた。
まあ可もなく不可もなくってところだ。
やっぱり社会人だからスーツは汚したくはない。
いずれ売れるかもしれない。
大事にとっておこう。
そしてひのきの棒、本当にただの棒。持ち手に白い
布が付いているから助かる。盾はない。
この棒が今の俺には『エクスカリバー』だ。
振れないことはない。19歳の体だからそこそこ
振れる。剣道の経験はないが、小学校は
ソフトボール、中学も少しだけ野球部にいたから
まあスイングはできる。
よしイケる。夜は危険だが、朝になればとりあえず
半径10メートル前後にいるモンスターを
討伐してみよう。
そうなれば寝るしかない・・まだ眠くはないが、
やることが無い。とりあえずソファーで横に
なろう。付属であった下着は明日、体を拭いて
履いてみよう。そんなことを考えて目を閉じた
・・・・が・・・・・
そんなに甘くはない。1時間起きに壁を激しく
叩く音
そしてたまに「ウォーー」って聞こえる雄たけび
犬の遠吠え・甲高い声・家の扉を擦る音
絶対に寝れないやつだ・・・でも大丈夫
大きな音にはパチンコ店勤務だから多少は慣れて
いる。以前勤務していたホールはパチンコ店
の2階が社員寮だったから下からよく音が
聞こえた。
「寝れなくても大丈夫、だってブラック企業で
働いていたから・・・大量新台入替の日なんて
深夜5時に帰宅、朝7時出社をよくやった」
給料変わらないけど、残業代なんてない。
店長=管理監督者だからと言われた。
言い返しても良いことはない。
そう思って仕事てきたんだ・・・
社畜とはこういう生き物だよ。
これくらい耐えられる。そう自分に言い聞かせた。




