015 新たな世界へ・・・
「は?」
「だから、タピオカ屋と高級生食パン屋」
ゼウスはドヤ顔で言い返す。
「何で?その職種・・・ですか?」
「流行ってた、じゃろ」
一時期にな!本当に一時期には凄かったよ!
だって俺も買いに行ったもん。
でも異世界に転移していい職業じゃねえよ!
ってかそれで異世界生活できんの?生きて
いけるの?すげーな異世界はやっぱり!
「あの、それはモンスターを倒す凄い能力とか
いやタピオカじゃ無理か・・・」
いやでも
「それは町中の人々を虜にするとか・・あと、
そう・・実は魔物の大好物で眷族に
なってくれるとか、
王族・貴族が凄いお金を出して召し抱えてくれる、
またはS級冒険者とチームを組めるくらいの
能力を秘めている可能性は?」
「いやー、分からん」
「分からんって、・・じゃあなんで」
「いや、だってみんな嬉しそうな顔して並んで
いたよ、長ーい行列ができても、なんか幸せ
そうに食パン買って帰っているの見たらさー
これイケるかも、って思ったんじゃ」
「タピオカもちょっと見た目はカエルの卵みたい
に見えるけど、若い女性がみんな嬉しそうに
飲んでたんじゃよ」
まあ、確かに食パンは俺も並んで買ったことも
あるし、タピオカは当時いた店の若いアルバイト
が買って帰ろう、って聞いたことはあるけど
「それ見てな、閃いたんじゃ、食を通してなら
幸福度が爆上がりするかもって」
「だから最初は慎重に選んだんじゃ。そしたら
タピオカドリンクを見つけたんじゃ」
(もう今はあんまり見かけねえよ・・)
「何かテレビでもすごい話題になってたんじゃよ
一時期凄かったじゃろ、流行語にもなったんじゃ
『事務所総出で行きます』って」
おーーいそれって
「それ違うタピオカの話だけど・・」
「そうなんかの?でもタピオカじゃろ」
「全く関係ないです」
「う・うん、でもそれくらいタピオカの
力は凄いと思ったんじゃ」
(コイツやべーよ、マジでやべーよ、
よくこの管理者で
地球は幸福度100点だよな、
俺たち人類ってすげーよ
ある意味頑張ったと心から思えるよ)
「まあ、高級生食パンもそんな感じで選ばれたって
いう訳ですね」と俺はゼウスに聞くと
「まあ否定は出来ん」
出来んのかい!
「とにかく先に行った二人と出来ることなら
合流して、なんとしてでも幸福度を上げれる
ようにしてほしいんじゃ」
溜息をつきたい気持ちを抑えて俺も
「まあ、他に選択肢が無いのでやれるだけは
やってみますよ」
「うむ、頼んだぞ」
パチンコでその星の住民を幸せにねえ・・
出来るかって、思うけど
どちらかというと不幸な人を作ることが
多い仕事だからねえ、依存症とかどうしよう
そもそもパチンコ店作れるか?競馬や競輪の
方がまだ開催は出来そうな気もするが・・・
と、ここで考えても何も始まらないか・・・
まずは生き残る、そして衣・食・住
「先も言ったが、初心者パックは君の核に
入れたから安心しなさい、マニュアルは住居の
方に用意してあるから、まずはそれの確認を
忘れないように」
「それでは行きますか・・・」
そう言って俺は立ち上がった
「そうじゃな、名残りおしいが、時間じゃな」
ゼウスは右手に持っていた俺の『核』を
そっと俺の胸の前かざした。核は俺の胸の中に
スーっと入っていくのを俺は黙って見ていた。
「これで大丈夫じゃ」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、送るとしよう」
そう言ってゼウスはスクリーンを出して
何かを打ち込み始めた。
「これでよし」
何かのボタンをキーボタンを押した瞬間
俺はゆっくりと目の前が暗くなっていった。
「気を付けてな、まずは自分の幸せを見つける
ことから始めるのじゃ、慣れるには時間は
掛かると思うがゆっくりで良い、
せっかくの異世界生活じゃ・・・
それくらいのノリで楽しんで来なさい」
最後にちょっと良いこと言うね、ゼウス様
「ありがとうございます。とりあえず前向きに
俺らしく・・行ってきます・・・」
そう伝えると、
目の前が完全に暗闇の世界になっていた。




