012 転生能力向上?
「で、俺はゼウス様の管理している星の幸福度を
上げるために、持っている経験を活かしてほしい
ということですね。」
ゼウスはお茶を飲み干し
「うむ、とりあえず君の持っている知識を使って
そこに住んでいる民の幸福度を上げてほしい
と思っているんじゃ」
俺は返答した
「でも、俺中年の人ですよ、この手のパターンから
想像するには魔物やら、魔族なんてのがいて、襲われる
のがあるんじゃないんですか?」
「まあ、あると思う・・・だってカオスだもん・・」
「だもん、、って」
「死にますよ。たぶんすぐにここに戻ってきますよ」
ゼウスはニヤリと笑って
「大丈夫、この手のパターンを知っているのなら、
分かっておるのじゃろ・・お主」
そう、俺はこの展開を待っていた、
異世界に行くのは良い
もう、それしかなさそうだから・・・
なら能力だ!!!
絶対に必要な【転生チート能力】だよ!!
強い魔法!!強い肉体強化!!ハンサムな顔!!
なんなら勇者クラス?いや賢者も悪くない?
竜騎士ってのも
聖騎士?いや魔法戦士ってのもありだ!!
俺は少し顔が笑っているの・・・
「さすがはゼウス様、俺もパチンコ台である程度の
異世界ものについては勉強しました。
『転生したらスライムベスだ』
『無職な転生』
『リー・ゼロ』なんてのはパチンコや
スロットになると分かって、一応はアニメを
全部見ましたから少しは役に立てると思います。
どんな感じで転生しますか?」
「君が言ったのは良く分からんが、
転生ではなく転移じゃよ」
「ああ、そうですね」
ってことは『リー・ゼロ』や『オーバーブロード』の
パターンか・・・まあ悪くはない
ある程度は能力向上はしないとな・・・
「さて、能力はこの初心者パックは転移者には
渡せるようになっている。
これはその星の言語や文字などが分かると
いう能力が備わっている、あとは多少のお金と食料、
住むところは都市部では無い場所に提供できることに
なっている」
「これを君の『核』に注入しておこう」と言って
俺の?核を持って光を注入していった
「ありがとうございます」
まあ初歩的なやつだな・・これは最低限だよ・・
次だよ、次
・・・・
・・・・
・・・・
微妙な沈黙
・・・・
・・・・
・・・・
「ん、以上じゃ、じゃあ行こうか?」
「????」
「いやいやいやいや!!無理無理無理!!」
「ああ、でもそうじゃな、中年で行くのはしんどいかも
しれん、よし、一番君が輝いていた年齢に若返らせよう」
ゼウスは机の前にスクリーンを出して見せた。
それをタブレットを扱うような手つきで
スクロールさせて、
「ここじゃ!!
20歳!君が一番輝いていた時期、そう初めて
パチンコを打って、ビギナーズラックで勝ち、
焼肉をみんなにご馳走していたこの時!!」
いや次の日にボロ負けしてそこから沼にはまっていた
んだけど・・・
「よし、終わり」
ゼウスは俺の『核』になにかしらの祈りを込めていた。
「って終わりじゃないですよね」
「いや、以上じゃよ」
「いや、魔法は?肉体強化は?」
「ないよ・・・」
「いやいや、せめて魔法くらいはくださいよ、
じゃないとせっかくの異世界転移が・・・」
言葉が出ない、
まさかこれだけだとは思っていなかった。
「でもさあ、君の『核』にこれ以上は厳しいんだよ」
「せめて回復系魔法なんてくれたら・・」
「君が医者とか科学者なら『核』に書き込めないことは
ないけど・・」
「いや、でも、なにかしらの攻撃系魔法の
一つでもないと無理っすよ」
ここは俺も引き下がれない、
少しでも楽な異世界生活をするためにも
多少はわがままを言わないといけないと考えた。
「けどねえ、これ以上は君の『核』に書き込むのは・・
もう少し、前世で能力でも備わっていれば出来ない
こともないけど。医者なら回復系、消防士などは
水・火、大工なら土系などの魔法を
使えるようにはできるけど君の職種の
経験値は・・・」
「じゃあ、そっち系呼べばよかったじゃないですか?
俺だって異世界に行くなら、子供の頃からそっち系
の勉強してましたよ」
「まあ、そうじゃよな、なんか悪かったね」
微妙な空気だけが支配していた・・・




