109 履き心地
「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ~」
男性と女性の店員が笑顔で挨拶
やっぱり高級店だな、
笑顔が素晴らしい
俺もパチンコ店の店長時代は接客研修を
散々やってきた。
接客のコンサルタントが笑顔の作り方や
感じのいい挨拶の仕方、受け答え方などなど
嫌っていうくらい受講してきた。
「お久しぶりです、マリーシャ様」
女性店員がマリーシャに声を掛ける
「お久しぶりです、元気でしたか?」
「はい、
お気遣いいただきありがとうございます
今日はいかがされましたか?」
言葉遣いも一流だな・・・
「今日は私がお世話になっているコウキ殿の
服の購入に来ました。
男性用の下着や服はありますか?」
女性店員は俺の方を見た
「これは、挨拶が遅くなりました。
私はこの店の副店長、レイマスと言います
今日はご来店ありがとうございます」
丁寧な挨拶に戸惑ってしまう
「これはご丁寧に、、、
おれ・・いや私はカミヤ・コウキと言います。
マリーシャさんとは縁があり、現在は冒険者
パーティーを一緒に組んでいます」
「苗字・・・が?、、これは失礼しました」
おっと苗字を言ってしまった、
「すみません、
苗字があるからと言って
貴族とか王族ではありません。
たまたま苗字がある地域にいた、
だけですから」
「そうなのですか?」
レイマスさんはマリーシャの方を見ると
「はい、
珍しいと私も思いましたが、
コウキ殿は貴族や王族ではありません」
「かしこまりました。
王族や貴族の方であれば別室を用意する
必要もありますので、、、」
「そのような必要はいりませんので、、
それより履きやすい生地で作っている
下着や肌着はありますか?」
俺はレイマスさんに尋ねてみると
「はい、男性用でしたら、あちらの棚に
置いています。長旅用に商人の方たちが
よく購入していきますね」
「分かりました。私はそっちを見に行きますので
マリーシャさんも服を見ていてください」
さすがに下着は自分で決めるので
マリーシャさんには自分の服でも
見てもらっておこう
「分かりました。
それでは私も服を見て来ますので
ゆっくり選んできてください」
察してくれたのかな?
俺は男性用の下着コーナーを見て周った
やっぱりトランクスはないよなぁ・・・
ボクサーパンツもないよね・・・
パンツはどれも紐で止める下着しかない
それでも生地は良い物を使っているのだろう
触った感じが高そうだと思う・・・
値段は・・・1枚・・・
銀貨5枚から金貨1枚ですね・・・
仕方ないな・・
まずは下着を5枚・・そしてシャツを5枚
寝巻に使いたい上着とズボンを1着ずつ
これだけあれば大丈夫かな?
全部で金貨15枚くらいかな
両手に服を持って支払いカウンターを探した
「決まりましたか?」
レイマスさんは俺が選んでいる時は
少し遠くから見ていてくれていた
さすが高級店だね、
グイグイとお勧めを押しては来ない
ところは素晴らしい
「はい、とりあえずこれを購入します」
「ありがとうございます。
それではこちらでお預かりしますね」
俺が持っていた服を受け取り、
カウンターに案内してくれる
「決まりましたか?」
服を見ていたマリーシャがこっちに来た
「ええ、
とりあえずは必要分だけは買えたと思います」
マリーシャは買わないのかな?
「マリーシャさんは良い服は見つかりましたか?」
「はい、
私も上着を1着購入しようと思います」
持っていたのは薄い青色のジャケットだな、
「その色は似合うと思いますよ」
俺は素直にそう思ったことを言った
「あ、、ありがとうございます」
少し照れているのかな?
顔をこっちに向けずに返事をしてくれた
支払いカウンターでレイマスさんは
待っていてくれた。
俺が持っていた服は全部、
紙袋に入れてくれていた。
「これもお願いします」
俺はマリーシャさんが持っていた
ジャケットの支払いもお願いした。
「そんな!!だめです、、、
自分で支払いますので!!」
「こういう時は男性に支払わせるのが
私の世界ではルールなんですよ、、、
ここは私に恥を欠かせないためにも
支払わせて下さいね」
マリーシャは絶対に断ると思ったので
少しだけ「圧」をかけて支払いを
譲ってもらう、
でも笑顔は忘れずにね・・・
「分かりました、、、その、、、
本当に、ありがとうございます」
値段は全部で金貨20枚だった、
少し負けてくれたみたいで、切りのいい所で
値段を設定してくれたみたいだ。
・・・・・
「素晴らしい男性ですね、マリーシャ様」
レイマスが小声でマリーシャに言うと
「あ、ありがとうございます」
マリーシャは顔が真っ赤だ
「ああいう、
殿方が増えると女性はもっと喜ぶのに」
レイマスが呟くと
「コウキ殿は特別です。
おそらくこの大陸では見かけることは無い
貴重な殿方です」
マリーシャは答える
「あのマリーシャ様がここまで男性を褒める
なんて・・・」
レイマスが驚くと
「そうですか?」
「そうですよ、マリーシャ様が認めている男性
なんて、、ニルヴァースの隊長のヴァイン様
くらいだと私は思っていましたから」
「確かに、、、そうかもしれません。
でもコウキ殿はヴァイン隊長とは違う、、、
何か、、うまく説明はできませんけど・・」
マリーシャは以前は敵対していた
コウキを目で追った
この方はこれから何をなさるんだろう?
自由に生きているように見えて、、
何か大きな使命をもって行動しているようにも
見える。
私には分からないが、自分の力を隠してまで
大きなことを成し遂げようとしている
私は・・・本当はそれを見て見たい・・・
ニルヴァースの仕事が嫌になった訳ではない
エルフの大陸で腕を磨き、
冒険者としては「赤級」のクラスになれた
ニルヴァースの副隊長という地位も手に入れた
エルフのエリート家に生まれて、
自分の腕を磨いてきたつもりだ。
だけど・・・・
・・・・・
何かマリーシャとレイマスがひそひそ話を
しているな?
ここは聞かない方がいいだろ、
俺は店の外に先に出た。
これである程度の買い物は出来たな、
後は・・・・長い船旅ならば?
コップや皿、石鹸やタオルくらいが欲しいかな
髭剃りなんかも本当は欲しいけど
この体に生まれ変わってから、髭はほとんど
伸びて来ない、、、
20代に生まれ変わったのなら髭は生えて来る
とは思ったんだけど、、、
まあ髭は無い方が楽でいいからな、
「すみません、お待たせしました」
マリーシャとレイマスさんが
慌てて店から出て来た
「まだ、時間は全然ありますから大丈夫ですよ
もう少しレイマスさんと話をしても良かった
んですけど?」
「いえいえ、もう大丈夫です。
今度来た時にゆっくり話をしますので」
「申し訳ございません、久しぶりに会えたので
少しお話をしていました」
レイマスさんが頭を下げるので
「全然平気ですから、、、気にしないでください。
私もまた服を買いに来ますから」
「はい、お待ちしております、
本日はありがとうございました」
そう言ってレイマスさんと別れた
この後は日用品だけだね、
今度は高級品じゃなくてもいいかな?
財布が少し軽くなっているのを
ちょっと気になった自分がいた。




