108 貴族街
マリーシャは最初に加工肉を売っている
専門店に連れて行ってくれた。
「ここは干し肉を中心に加工した食品を多く
取り揃えています。
特に塩漬け加減が絶妙で長期保存に適しています」
なるほど・・・
たくさんの肉が店の前に吊るされている
ソーセージに似た商品も多いな、
「こちらの商品はお湯で茹でて食べるもんだよ」
ソーセージらしきものを見ていた俺に
店員が声を掛けてくれた
「あっちに干している肉はナイフで削いで食べる
用だ、ワインにぴったりだよ」
あっちは生ハムの原木だな、
こっちの世界にも生ハムやソーセージの技術は
あるんだと認識できた
「後は干し肉だが、種類は豊富だよ、
牛・豚・馬・羊などが揃っているよ」
どれも美味しそうだけど、、
何が一番美味しいんだろう?
「一番の今日のオススメはありますか?」
マリーシャが聞いてくれる
「今日はビックボアの肉がオススメだよ、
肉と油の質が良くて保存にもぴったりだよ!」
ビックボア?
「ビックボアという魔獣がいます。
イノシシ系の魔獣でこの大陸では結構
有名な肉です」
「へぇー、美味しいんですか?」
「はい!味は保証できます。ちょっと値段は
高いですけど美味しさは間違いないです」
「ではそれを買いますね」
「分かりました。私に任せてください、
干し肉と生ハムでよろしいですか?」
「そうですね、
あと腸詰している肉もお願いします」
「分かりました。ではある程度買ってきます」
そう言ってマリーシャは店員に加工肉を
注文してくれた。
結構真剣な表情だな、
あれは、値交渉をしてくれているな・・・
そっとしておこう
俺は店の前でマリーシャをしばらく待っていた
「すみません、お待たせしました!」
マリーシャが走って店の外に出て来た
「いいえ、こっちがお願いしたことですから
ありがとうございました」
そう言ってマリーシャから大きい紙袋を受け取った
「おおっぅ・・・」
結構な重さだった、油断して持ったから
腰が曲がった
「あ、、大丈夫ですか?」
「ええ、結構な重さで驚きました」
マリーシャはこれを持って走って来た
やっぱり身体は細いとはいえ、
鍛えられているんだな・・と思った
俺たちはモールの外れに向かった
人がいないのを確認して
コインロッカーを召喚して肉を保管した
「改めて便利な召喚魔法ですね」
「そうですね、
これのおかげで旅がかなり楽になります」
コインロッカーを片付けて、
「次は野菜と果物ですね、お願いできますか?」
「もちろんです、野菜はあちらのエリアで
果物はこの市場の向かいで買うのが良いと
思います」
「分かりました。お任せします」
マリーシャの案内で野菜は、
・トマトみたいな感じ
・レタスのような葉野菜
・きゅうりのような瓜系の野菜
・人参のような根菜
このあたりを購入していった
その次に市場を出て、正面の露店で
果物を探して言った
今度もマリーシャの目利きで
・リンゴ的な赤い果物
・キウイのような緑色の果物
・柿のようなオレンジの果物
これらを購入していった
こっちの世界も野菜と果物は現世と似ている
「食料品はこれくらいで大丈夫でしょう、
次は日用品ですね」
マリーシャが次の店の案内をしてくれる
「まずは着替えですね、
下着・肌着・タオルが欲しいですね」
「分かりました、着替えなどは西側の
洋裁店の店が多くあると思います」
こっちの世界の服は着たことが無い、
俺が今、着用している服は
この世界に来た時の「魔の森」の家に
置いていた服を着ているのだ
これは結構、現世で来ていた服に近いので
違和感なく着用していた。
毎日、宿で手洗いをして着まわしているけど
さすがに長旅になるとストックの服が欲しい
ただ、この世界の服は結構着心地が
良さそうには見えなかった
「マリーシャさん、
値は張っても良いので、少し高級な洋裁店に
連れて行ってもらえますか?」
「は、はい、分かりました。
それですと、貴族街に行ったほうが早いかも
知れませんね」
「貴族街?」
「はい、この町には貴族は少ないのですが、
各国の代表者たちや大商人たちが住むので
この町に住んでいる我々が呼んでいる
地域の総称ですね」
なるほど、、金持ちが多く住む地域か
俺は金持ちの町には詳しくはないけど・・・
日本でいえば「田園調布」や「芦屋」
みたいな感じかな
田園調布・芦屋=金持ちは古いかな?
今はどこかな?港区のタワマン?
箕面、豊中あたりなのかな?
そんなことを考えた
「どうかしましたか?」
「いえ、ちょっとね、
貴族とはあんまり会いたくないなぁ、
なんて思いましたから」
「それなら大丈夫だと思います、人族の貴族は
商人を自宅に呼びつけて買いますから、
店舗で会うことはないと思います」
なるほど・・・
真の金持ちは買い物は行くものではなく
呼びつけて買うものなんだ・・・
「そうですか・・・では貴族街?
に行きましょうか?」
「分かりました。貴族街はここから南方面です。
歩いてそんなに時間は掛かりませんので」
市場の通りを横切って南側に向かって歩いた
街並みは少しさびれた感じがしていたが、
南側に向かうに連れて、建っている家が
どんどん大きくなっているのが分かる
「この先には多くの商人が住むエリアですね、
各国の大使の家もこの近辺に多くあります」
通りは人が少ない感じがする・・・
先ほどまでいた、市場がある地域には
たくさんの種族が歩いていたのだが、
この通りには高そうな服を着ている人たち
だけが、優雅に歩いている
通りには露店もない、
石畳みの通りにはゴミも落ちていない
通りにある店の前を歩いてみると
高級ブティック的な店が多いと感じる
「マリーシャさんはこの辺で買い物は
しているんですか?」
「ええーっと、、そうですね、、
立場上、パーティーなどに参加する時の
服はこの辺りで購入はしています、
しかし値段は普段来ている洋服の30倍
以上はするので、頻繁には買えません」
なるほどなぁ・・・
でも今の俺には多少のお金は残っている
多少高くてもなんとかなるだろう・・・
ショーウィンドウに飾っているコートの
値段を見てみると
「金貨10~ オーダメイドも受付中」
おおぅ・・・高けぇーーー!!
現世でいう10万円以上か・・・
服を10万円で買ったことなんてない
「最高級のブルーラビットの毛皮コートですね、
金貨10枚なら思った以上に安いですね」
安いのか??
ラビット=ウサギの毛皮か?
確かに良いコートには見えるけど・・・
コートで10万円かぁ・・・
やっぱり女性の感性と男性では違うみたいだ
まぁ、俺が買うのは下着や肌着だからな・・・
そんなに値が張るものではないだろう
そう願いつつ、マリーシャが案内してくれる
店の前に来た
ここまで来たんだ・・・
高くても買うしかない。
案内してくれたマリーシャに恥をかかせる
訳にはいかないからな、
覚悟を決めて店内に入って行った。
身内に不幸がありまして、少し更新が遅くなりました。




