010 選ばれた理由とは・・・
「まあ、とりあえずお茶でも飲んで落ち着こうか?」
管理者さんはお茶を注いで、俺に渡してくれた。
「あ、ありがとうございます。」
俺は一気に口に含んだ・・少し苦味?があるが飲めない
ことはなく、全部喉に流し込んだ。
ニヤっと笑う管理者は
「まあ、君を選んだ理由をまだ伝えていなかったね・・
実は君のことが面白いと思ったのにはいくつかの理由が
あるんじゃ」
「というと?」俺が返すと
「君はちょっつ変わっているんだ、だってパチンコ店で
店長しながら、パチンコに『はまっている』点、
負けているお客さんを自分の店でたくさん見てきた
くせに、自分も他所のパチンコ店に負けに行って
いるのは、普通いないからねぇ」
「いやいや、そんな奴結構いると思うんだけど・・」
と言い返し
「それに俺は競合パチンコ店の調査も兼ねているから」
と言った。
「嘘だね、楽しんでいるよ、しかも結構なお金を
使っておるじゃろ、めったに無い休みの日に
わざわざ早起きして行っておるじゃろ」
と管理者は言い、さらに
「それに仕事中も視察と行って、しょっちゅう
遊びに行っておるし、競合する地域じゃない
パチンコ店まで行って・・」
あっ、確かに言い返せない・・・
確かに俺はパチンコ・スロットが好きだ、遊技している
その時間が一番心が落ち着くというか、
生きてるって感じもするし、喜び、悲しみ、楽しみ、
悔しさ、と全てが凝縮している感じがたまらなく好きなの
かも知れない。
でもそれは「ギャンブル依存症」だと思い、結構な
人がなっていると思うんだけど・・・
管理者は、続けて
「しかも、君はパチンコだけではなく、
競馬、競艇、競輪オートレースもやってたよね・・
まあカジノは君の国ではなかったからやって
なかったみたいだけど、麻雀も友人たちと
やっていたよね?全て勝ててないみたいだけど」
管理者はまたニヤって笑って言った。
「まあ、そんなに勝てていないのは事実ではあるが、
でも、ここ10年はそんない負けていないぞ、
消費者金融のお金も返済して、結婚するときは
ちゃんと貯金もしていたぞ」
「いや、それは知っているよ、ただ店長をしながら、
まあギャンブル依存症を作る側でもある君が、
ギャンブル依存症なんて中々珍しいからの」
「よく、奥さんにはパチンコやめる!!って
宣言して、次の日にはパチンコ店に向かう君!」
「いや、そんな奴結構いると思うんだけど・・」
「競馬・競艇・競輪・オートレースでは
外れるたびに、もう二度と買わないと言ったり、
3着は全部抑えとけと言いながら、
買い目を増やしたくないから絞って外す君!!」
「いや、あるあるだと思うけど・・・」
「俺だけは勝てるっと思って、雨の土日、
回らない・高設定は絶対に無い、と分かっても
パチンコ店に向かう君!!!」
「いや、依存症あるあるじゃない??」
「そんな、負けても、負けても、立ち向かう姿!
たまに勝った余韻を忘れられず、脳汁という
ドーパミンに快楽を委ねたその姿勢
・・・・・
でも仕事は冷静に釘・設定を運用して自店の
パチンコ店の利益を出そうとする姿は稀な存在
だと私は思ったんじゃ、この男に賭けてみようと」
「ええと、褒められている?バカにされている?」
「褒めているんだよ!どうか私・・・が管理して
いる星の幸福度を上げてほしいんじゃ、
君に任せてみたいんだ」
真顔で言うその迫力に押されて
一言
「び・び・微力を尽くします」・・・