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第92話:『祠の奪還、誇りの奪回』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

「まずは夜行族の戦力を分断し、内部から混乱を生む必要がある」


「・・・それなら、いい手がある」


 アクスが不敵に笑い、影猫を顎でしゃくった。影猫が「にゃっ」と短く鳴き、影に溶けるように消える。


(ノア、聞こえてるな?)


(はい。すでに夜行族の陣営に潜入を開始しています。・・・ああ、案の定。夜になると妙な取引や密会が活発になるようですね)


(だろうな)


 アクスは影猫とノアの連携で夜行族の裏取引を洗い出しつつ、影護族には夜明け前の奇襲準備を提案した。


 そして――夜。


 夜行族の本陣の影の中。影猫が尾をわずかに揺らし、まるで風に乗るように暗闇を移動していく。その瞳に映るのは、人間の商人と夜行族の戦士たちが密かに行っている取引の光景だった。


 木箱には金貨、宝石、そして・・・大量の“縛られた人間”。


(・・・こいつら、本当にクズだな)


 アクスはノアの共有映像を見ながら、吐き捨てるように言った。鬼人が人を襲う事例が極端に減ったのはこういうからくりだったようだ。クズは鬼人だけではない。


「夜行族には防衛の意思などなく、国から金を吸い上げるだけ。人間を攫い、恐怖を煽って護衛料を上乗せ・・・。そのくせ、封印が解けるのは影護族のせいだと吹聴している・・・か」


(まさに自作自演の二重構造ですね。これは徹底的に叩く必要があります)


(ああ・・・容赦はいらねぇ)


 そして翌朝――。


 鬼人島の海岸に、影護族の戦士たちがずらりと並んでいた。戦の前に張り詰めた空気が漂い、皆の目がひとつの方向を見ている。


 その先には、アクスとカグヤ、そしてキキカの姿があった。


 キキカは緊張で肩を震わせていたが、それでもしっかりと前を見据えていた。


「・・・キキカ」


 カグヤが名を呼ぶ。


「は、はいっ!」


「これから始まる戦いは、あなたたち影護族の誇りを取り戻す戦いです。恐れるな。胸を張って、前を向きなさい」


 キキカはぎゅっと拳を握り、深呼吸をして――力強く頷いた。


「はい・・・! 国母様!」


「ええっと、その・・・私の名はカグヤです。カグヤと呼んで下さい」


「え?アマミナカテルヌ――」


「カグヤです!」


「はっ、はい! カグヤ様!」


 アクスがふっと笑い、背を向ける。


「・・・よし、行くぞ。祠を取り戻して、あいつらの思惑を全部ぶち壊してやろうじゃねぇか」


 海風が吹き抜け、波が岩にぶつかって白い飛沫を上げた。


 夜行族とジバン軍との決戦――祠奪還作戦が、静かに幕を開けようとしていた。


 夜明け前。鬼人島の小さな入り江に、薄靄が立ち込めていた。


 船の帆が風をはらみ、影護族の戦士たちが慌ただしく出立の準備を進めている。目指すは本島――封印の祠がある海岸線だ。


「ここから先は我々だけで進軍します」


 影護族の長老がアクスに深く頭を下げる。


「貴殿方は打ち合わせ通り”我らの討伐軍”の一員として潜入し、夜行の内側から動きを見極めてくだされ」


「了解。そっちが正面から向かってくれた方が、あいつらの化けの皮も剥がしやすい」


 アクスは軽く頷き、カグヤと視線を交わす。


 キキカがその横に立ち、カグヤを見つめる瞳には決意の色が宿っていた。


「国b・・・カグヤ様、必ず・・・必ず祠を取り戻してみせます」


「焦らず、確実にね」


 カグヤは柔らかく微笑み、キキカの肩に手を置いた。


「あなたたちの戦いは、ただの奪還じゃない。この国の真実と、あなた方の誇りを取り戻す戦いでもある。胸を張って進みなさい」


「はいっ!」


 そうして、影護族の船団が海を渡っていく。白い靄の向こうへと消えていく帆を、アクスはしばらく無言で見送っていた。


(・・・さぁ、こっちも“芝居”の時間だな)


 数刻後――本島沿岸。


 転移したアクスとカグヤは討伐軍の傭兵として紛れ込み、海岸沿いに集結するジバン軍の陣営へと歩を進めていた。


 ジバン兵士たちは緊張と高揚が入り混じった面持ちで行軍の準備を進めている。周囲には見慣れぬ“鬼人”の姿もあったが――兵士たちと談笑しているその姿は異様な光景だった。


「・・・堂々としてやがるな、あいつら」


 アクスが小声で呟くと、カグヤも苦々しい表情で頷く。


「はい・・・影護族ではありません。夜行族です」


 その中央に、ひときわ目立つ存在がいた。


 夜行族族長・夜行玄真やこう・げんしん


 黒く長い外套を纏い、額には片方が折れた二本の白銀の角。鋭い目つきに、まるで人間の貴族のような堂々とした立ち居振る舞い。


 彼は人間の将官たちと肩を並べ、まるで“共闘の英雄”であるかのような顔で談笑している。


「まさか・・・ここまで公然と・・・!」


 カグヤの拳がわずかに震える。


「落ち着け」


 アクスは目だけで彼女を制した。


(あいつが“表の顔”ってやつだな・・・)

人物紹介:キキカ


 ジバン語(漢字)では鬼喜花。影護族の元族長であった鬼慈角キジカの娘。身長185cm、色黒で髪は白、金の瞳の美しい鬼人。顔立ちはカグヤにそっくりで、カグヤが島にいた頃はまだカグヤより小さかった。魔獣に襲われている所をカグヤに助けられ、その強く凛々しい姿に憧れを抱くようになる。急激に成長し、カグヤに背丈が追いつきそうになった所で修行を終えたカグヤが島を後にする。身長が揃った所で並び立つ日を待ち望んでいたキキカは泣いて悲しむが、キジカはキキカにカグヤとそっくりの袴と軽鎧をプレゼントする。カグヤが居なくなって空いた心を埋めるように、自身がカグヤのようになろうと願い続けた結果、見た目もカグヤそっくりになったが、鬼人故に身長は遥かに超えてしまい、それだけが不満。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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