第91話:『ジバンの国母、キキカの憧慕』
毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)
「悪霊鬼が・・・復活する」
カグヤの声が低く震えた。
「・・・族長が暗殺され、戦力は激減。祠の近辺は夜行族とジバン軍が守っているとされていますが、実際には“待っている”だけ。奴らが本気で防衛しているわけがありません」
アクスは顎に手を当て、ゆっくりと考え込む。
(・・・夜行族は影護を悪に仕立て上げ、国に“必要な守護者”として居座り続けている。封印が解ければ責任を影護に押し付け、混乱に乗じて国を掌握する・・・って事も考えられるか)
「・・・つまり、アンタたちがこの島に閉じ込められている間にも、封印は少しずつ壊れつつあるってことか」
「その通りです」長老は頷く。
「夜行はそれを影護族の仕業に仕立て上げ、ジバンの民心を掌握するつもりでしょう・・・」
アクスは溜息をつき、火を見つめながら呟いた。
「・・・なかなかに、腐ってるな」
その時――
集落の奥から、少女のひときわ高い声が響いた。
「長老様っ!」
勢いよく戸が開き、角を生やした大柄な少女が駆け込んでくる。漆黒の髪を高く結い上げ、袴姿に軽鎧、背中に編笠を背負っている――その姿を見た瞬間、カグヤの目が見開かれた。
「・・・あ・・・」
少女の顔立ちは――驚くほど、カグヤに似ていた。いや、それだけではない。表情、立ち姿、所作の一つひとつが“国母”カグヤを真似ている。
影護族たちの間にざわめきが広がる。
「キキカ様・・・」
「姫様・・・!」
少女――影護族の姫、キキカは、囲炉裏の前で座るアクスとカグヤに目を向け、息を呑んだ。
「・・・こ、国母様・・・?」
震える声。尊敬と憧憬と、少しの驚きが混じっている。
「・・・あなた、キキカなの?」
カグヤが問いかけると、キキカは顔を真っ赤にしながら、深々と頭を下げた。
「はいっ! ご、影護族族長、鬼慈角の娘、鬼喜花ですっ!」
姿勢を正し、緊張で声が裏返る。
長老が微笑みながら補足する。
「幼い頃、国母様が魔獣からこの子を守って頂いた事があったでしょう。その時の姿に憧慕し・・・ずっと、あなた様のようになりたいと努力してきたのです」
「・・・なるほど、だから俺が見ても似てると思ったわけだ」
アクスが苦笑する。キキカは顔を真っ赤にしている。
カグヤは少し目を見開いたまま、キキカを見つめた。自分を模して育った少女――まるで、昔の自分を見るようだった。
「キキカ・・・貴女には族長の娘、いえ、族長として戦う覚悟はある?」
カグヤの声が、囲炉裏の火を背に静かに響いた。
キキカは一瞬たじろいだが、拳を握りしめ、真っ直ぐにカグヤの瞳を見返す。そして震える声で、それでもはっきりと答えた。
「・・・あります。私は・・・この国を、護りたい! 国母様のように!」
その瞬間、囲炉裏の炎がぱっと高く揺れたように見えた。
夜も更け、影護族の集落に静けさが戻ったころ。アクスたちは長老と数人の幹部たち、そしてキキカと共に囲炉裏を囲み、今後の方針を練っていた。
「・・・つまり、封印の祠は本島にある。そこを夜行族とジバン軍が“防衛”していると見せかけて、実際は誰も封印を維持していない・・・」
アクスの言葉に、長老が深く頷く。
「はい。祠の維持は我ら影護族にしかできません。だが我らは島に追いやられ、祠に近づくことすら許されぬ。封印の弱体化はもはや時間の問題・・・」
「夜行族の目的は、その封印を解き、〈悪霊鬼〉を復活させることだな」
「・・・恐らくは。しかし何のために復活させるのか、その真意までは分かりませぬ」
アクスは顎に手をやり、少し黙り込む。
(封印が解ければ、影護族に罪を擦りつけ、混乱に乗じて国を支配する・・・それくらいは予想できるが、わざわざ古代の化け物を解き放つなんて、自分たちの首を絞めるようなもんだ。・・・まだ裏があるな)
そんな中、カグヤが静かに立ち上がる。
「――ならば、封印の祠を奪還しましょう」
その一言に、影護族たちがどよめいた。
「なっ・・・! 奪還だと!?」
「祠は本島の関所の奥地・・・ジバン軍と夜行族の連合防衛線が張られている場所だぞ!」
「奪還など・・・今の戦力では到底・・・」
長老も険しい表情で首を振る。
「カグヤ様、お気持ちはありがたいのですが・・・影護族の戦力は、もう昔の半分にも及びません。族長暗殺のあと、主だった戦士の多くが討たれました。いくら貴女でも――」
カグヤはそれを静かに遮った。
「・・・私一人でも構いません」
その瞳には、微塵の迷いもない。
その横でアクスが肩をすくめて立ち上がる。
「ま、俺も行くけどな」
「アクス様・・・!」
「いいじゃねぇか。派手にやれば、夜行族の裏も見えてくるだろ」
影護族たちは互いに顔を見合わせ、沈黙した。やがて長老が静かに口を開く。
「・・・わかりました。祠奪還のための戦力を集めましょう。だが、正面から攻めても勝ち目はありません。まずは夜行族の戦力を分断し、内部から混乱を生む必要がある」
「・・・それなら、いい手がある」
夜行族の歴史
鬼人の一部にジバンの人間を好んで食う者が現れ、その是非について意見が二分しました。人喰い派は少数で、ジバンの人間を食わないよう誓約を強要されますが、一部の鬼人が拒否し、群れから逃げ出します。散り散りになった鬼人たちは好き勝手人間を食い始めますが、カグヤの活躍により数が激減。危機感を感じた人喰い鬼人達は徒党を組み、闇に潜みます。
カグヤがいなくなって以降、人喰い鬼人のリーダーが、影護族のリーダー(キジカ)に和解を申し入れます。「このままでは生きていけない為、群れに戻してほしい。その代わり人を食わない誓約を立てると共に、祠を守る役目も負う」と・・・その調印の義にてキジカを暗殺、封印の祠も制圧し、反抗すれば即座に封印を破壊すると影護族を脅します。キジカの首を皇国に献上、鬼人の悪事の全てを影護族になすりつけ、自分たちは人喰い鬼人から人間を守れる、夜を照らす光の部族”夜光族”として人間に取り入ったのが今の現状です。
人物イメージ画像一覧はコチラ
https://ncode.syosetu.com/n1501lc/
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