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第88話:『鬼人と親交、鬼人の侵攻』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 ――トウマたちからジバンの現状を聞いたあと、アクスは内心でため息をつきながら、ノアに念話を飛ばす。


(ノア、ジバン皇国の現状を調べてくれ。中央本島と周囲の島々、それから鬼ってやつらの動きも)

(承知しました。・・・ふむ、興味深い構造をしていますね。少々お待ちを)


 数秒も経たないうちに、ノアが膨大な情報を纏め上げる。ノアのサーチ能力に加え、天空要塞アークからの高高度偵察、影猫とダークネスエルフ達による現地潜入、情報収集魔法を複合的に使えば、国一つ程度の詳細な調査も一瞬だ。


(ご報告します。中央本島の北東部にて鬼人族と思われる集団が本島側に野営地を構築中。数は・・・五千を超えます)


(五千!?)


(はい。しかも・・・本島側の防衛線が異様に手薄です。国母とやらが居なくなってから、皇国軍は各島の防衛で手一杯。本島中央の皇都には、ほぼ戦力が残っていません)


(・・・マジかよ。本拠地手薄にするとかバカなの? そんな状態で国母に頼るって・・・)


(彼らの“国母信仰”が本気である証拠でしょう。加えて、各島の有力豪族間で利権争いが起き、各島が自分の島を守らせるために軍人を島から出さないよう画策しており、中央の治安が悪化、指揮系統も混乱しています。これは・・・放っておけば内乱と外敵のダブルパンチですね)


 アクスは額を押さえた。想像以上に面倒な状況だ。


(ただ・・・ジバン国内にも鬼人が多数存在しているようです)


(え、島の鬼がもう上陸してるのか! やばいじゃん!)


(そう単純な話ではなさそうです。実際の行動と表向きの情報が一致していません。戦力情勢は全て把握しましたが、人の思考まではここでは調査できないので、まずは現地へ行くことをお勧めします)


「そうか、今回来てもらった使者さん達には申し訳ないが――時間が無さそうだな」


 アクスは軽く伸びをしながら、甲板に立っていた。


(ノア、ジバン皇国に一気に転移する)


(承知しました、アクス様。”剣聖様”との関係が露見すれば、向こうもこちらも面倒なことになるでしょう)


(そうだな、剣聖様と親しいとバレるのはマズいよな)


(もう! お二人ともその呼び方やめて下さい!)カグヤが照れながら拗ねている。


(わかったわかった。国母さ(カグヤです!)


 次の瞬間、アーク全体が音もなく揺らめき、空間がねじれる。


 アクスとカグヤは東方連合国の中央本島――ジバン皇国へと転移した。


 到着したのは、本島の南岸、ヒノモの外れにある森の中だった。

 潮風と桜の香りが入り混じる独特の空気。

 すぐ近くには朱塗りの大門が見え、そこから石畳の道が都へと続いている。


「・・・来たな」


「ええ・・・懐かしい匂いです」


 カグヤは静かに目を細め、草履の足音を立てて一歩踏み出した。


 今回は護衛としてカグヤと影猫のみを同行。


 ミレイユ、ヴァネッサ、エマ、雷牙、リオルは派手すぎるためアークに残っている。赤髪・翼・竜――どう考えても目立ちすぎるのだ。


「それにしても・・・ここでお前、めっちゃ有名人なんじゃないの?」


「いえ・・・当時の私は、常に**編笠あみがさ**で顔を隠していました。直接顔を見た者はほとんどいないはずです」


「なるほど、覆面ヒーローってやつか」


 アクスが軽く笑い、二人と一匹は門をくぐった。


 ヒノモ都は、見た目こそ活気に満ちあふれていた。


 通りには行商人が並び、子どもたちの笑い声が響き、太鼓と笛の音が遠くから聞こえてくる。


 朱と白を基調にした家々が整然と並び、花が飾られた石畳の通りを人々が忙しなく行き交っていた。


 ・・・だが、その賑わいの奥に潜む「違和感」は、すぐに肌で感じ取れる。


 人々の視線は落ち着かず、通りの角ごとに武装兵士が立ち、巡回兵がやたら多い。


 市場には物資徴収のための兵士が立ち、農民や商人に声を荒げている姿もあった。


(・・・表面は平和でも、中は張り詰めてるな)


(はい。徴兵と物資供出が強行され、民の不満は限界寸前のようです)ノアの念話が冷静に分析する。


「・・・私が居なくなって、たった数か月で・・・ここまで・・・」


 カグヤが拳を握り、ほんの少しだけ震わせた。その横顔には、戦場では見せない“故郷を想う娘”の表情があった。


 都の中央に近づくほど、人々の噂話が増えていく。


「――やはり”夜光族やこうぞく”と手を組むべきだ!」


「ふざけるな!国母様を取り戻さずしてどうする!」


「そんな悠長なこと言ってる間に、悪い鬼人共に島を滅ぼされるぞ!」


 広場では、夜光族?と協力して防衛体制を強化すべきとする急進派と、国母の帰還を望む保守派が激しく言い争いをしていた。


 罵声と怒号、武士たちの睨み合い――その中心には、かつてカグヤが築いた“平穏”の欠片すらなかった。


「・・・私が居なくなっただけで、こんなにも・・・」


「カグヤが想像してるより、英雄ってやつは“支柱”になっていたみたいだな」アクスがぼそりと呟く。


 さらに異様だったのは――


 通りのあちこちに、鬼人が普通に歩いていることだった。しかも、周囲の人々と親しげに会話している。鬼人といえば敵のはず。なぜだ?


(ノア、どういうことだ?)


(はい、あれは“夜行族”と呼ばれる一派のようです。表向き人間と共存している鬼人ですね。こうの字をこうとして人間と接しているようですが、大外的なイメージ戦略のようです)


(夜行を夜光にね・・・何か裏がありそうだな)


―――


 その頃、北方の防衛線では、鬼人族の侵攻が本格化していた。荒れ狂う波を越え、白黒の旗を掲げた鬼人の軍勢が上陸。沿岸守備軍は圧倒的な膂力と統率力の前に蹂躙され、前線は瞬く間に崩壊した。


 関所まで敗走したジバン軍は必死に立て直し、援軍とともに一度は押し返したものの――夜が訪れた頃、鬼族は大軍を率いて再襲撃。状況は一変する。


「紅の角を持つ少女」が鬼人軍の中心に姿を現した。その咆哮は、まるで戦場そのものを揺るがす衝撃波。鬼人兵たちが一斉に雄叫びを上げ、士気が爆発。人の軍では到底対抗できない、ついに関所は陥落した――。

人物紹介:カグヤ②


 本人は人間を装ってジバンの正式建国前から島中の武術を学び極める旅をする傍ら、人助けや世直しをしていた所、建国時の神話的象徴として何故か神に持ち上げられていた只の生真面目なお人好し。全ての武術を極めたところで、ノアが素材として狩っていた魔獣に食われていた人を弔おうとしていた所に出くわし、ノアを人殺しと勘違いし挑んだが完全敗北し一度死亡。死の間際に誤解が解け、謝罪と共に己より強き者であるノアに弟子入りを条件に使役される事を望み、ノアが天女の肉体をベースにいろいろ強化して能力を付加して再構築した身体に魂を戻され復活、そのまま配下に入る。気力という体内エネルギーを使った魔力外の能力を持っているが、現状過剰戦力の為ノアが封印中。

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