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第87話:『母国の危機、国母の帰還』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 東方のジバン皇国からの使者。ジバンでアクス宛ってことはつまり・・・


(カグヤ、お前の事だろ?)


(うっ・・・はい、そうです)


(あんな長い名前だったんだな)


(違います!ジバンの民が勝手につけて勝手に神格化して勝手に信仰していただけです!私はただ・・・)


(まぁ、その話は後で聞くとして、まずは・・・)


「そのアマミ何とかってのはよくわかりませんが、ジバン皇国に関係ありそうな人物なら心当たりがあります」


「真ですか!その御方とは一体・・・」


「ん? 何だアクス、剣聖様の事言ってんのか?」


 突然のガルドの指摘。こういう所でこのおっさんは鋭い。


「あぁ・・・えーっとヤサカ、さん? 今この国には四聖と呼ばれる4人の英雄がいます。その内の一人の容姿がジバン皇国の方の特徴と似ているので、恐らくその方かと」


「その御方が剣聖様であると・・・?」


「はい、そうです。黒髪で袴に軽鎧――丁度後ろの、アンズさん?と似たような感じですので」


「私と・・・母神様が・・・似ている・・・!」


 アンズが顔を真っ赤にして倒れそうになっている。


「その、剣聖様と是非お会いしたいのですが」


(さて困った。遠路はるばる来ていただいたのに手ぶらで返すのも忍びないが、会わせたらカグヤ連れて行かれそうだし、そもそも四聖を簡単に呼び出せるとか思われるのも面倒だな・・・)


「いえ、知ってるだけで簡単に呼び出せる訳ではないのです。神出鬼没で普段どこで何をしているかもよくわかりません」


「そう・・・ですか・・・」


 ヤサカはアクスの回答にがっくりと肩を落とす。


「ちなみにスタンピードを静めたのはその剣聖様です。私はただ近くに居合わせただけですので」


「やはり! そうでしたか! ただの人間には不可能な芸当だと思っておりました! そのような事が出来るのは母神様以外に考えられません!」


 全体的にジバンの人たちは母神様の話になると人が変わるようだ。


「剣聖様がその国母様かどうかはわかりませんが、今度会った時に一応要件は伝えておきますよ。ただ、理由も無しに“帰ってこい”と言われても困ると思うので、事情を教えて下さい」


 アクスがソファーの背にもたれながらそう告げると、ヤサカは一度静かに息を吸い込み、背筋を正した。背後に立つソウジとアンズも神妙な面持ちに変わる。先ほどまでの柔らかな空気は消え、部屋の中には凛とした緊張が漂った。


「・・・承知しました。拙者らがここへ来た本当の理由を、包み隠さずお話しいたします」


 トウマの声は低く、しかしはっきりと響いた。


「我らがジバン皇国は、中央にひときわ大きな本島を抱え、その周囲を大小の島々が囲む――いわば、諸島の連合国にございます。島ごとに文化も生態も異なり、風も潮も、島ごとの気質すら違う。まるでひとつの国というより、性格の違う兄弟たちを無理やりひとつの屋根の下に置いたようなもの・・・」


 トウマはゆっくりと手を広げ、海原をなぞるような仕草をした。異国の情景がそのまま浮かぶような語り口だった。


「その中核に位置するのが、我らの本島――ジバン皇国です。建国の祖の血を引く“皇王”がその象徴。名は王といえど、実権は才ある者、信頼されし者たちが担っております。ですが・・・」


 トウマはそこで一拍置き、アクスを見据える。


「対外的には、一国としての“顔”が必要なのです。島々が勝手に動けば、周辺諸国からすぐに付け入られる。実際、歴史上幾度も外敵が海を越えて攻め込もうとしました。だからこそ、中央の皇国と周囲の島々をまとめ上げ、“東方連合国”という一枚岩の体裁を保っているのです」


「ふむ・・・なるほど、連合国ってそういう事情なのか」


 アクスは腕を組み、少しだけ興味深そうに呟いた。島国特有の生存戦略というやつだろうか。


「さらに、我が連合国の上空には――天界への“ゲート”が存在します。その領域には天使ではなく、“天人”と呼ばれる存在が棲まうと伝えられています。彼らは地上を見守る存在とされ、空を飛び回る姿はしばしば目撃されます。しかし・・・記録に残る限り、彼らが地上に干渉したことは、一度もないのです」


「天人・・・」アクスの脳裏に、羽根を持たない天上人の姿がぼんやりと浮かぶ。カグヤは天人の女性版、即ち天女。同じ天界とはいえ別エリア出身のヴァネッサとはまた違う存在、ということなのだろう。


「・・・そして、問題はそこではありません」


 トウマの表情が一層険しくなる。背後のソウジも眉をひそめ、アンズはぎゅっと拳を握った。


「周囲の島々の一部には、“鬼人きじん”が棲まう島がございます。連合国発足の折、彼らとは“不戦の盟約”が交わされました。しかし・・・」


「あー、たまに関係なく攻めてくるとか?」アクスが先回りして言うと、トウマは苦笑いを浮かべ、頷いた。


「ええ、その通り。気まぐれに、あるいは力を誇示するためか・・・彼らは時折本島へ攻め入ってきます。ですが、その度に“国母様”が追い返してくださっていたのです」


 トウマの声には、ほんの少し憧憬の色が混じった。彼にとってその“国母様”は伝説の存在なのだろう。


「しかし――その国母様が忽然と姿を消してから、事態は一変しました。鬼人たちはそれを嗅ぎつけ、侵攻を激化させています。しかも・・・国母様は元天人だという噂があるのに、今の天人たちは一向に助ける気配を見せない。今の我が国は、まさに崩壊の危機にございます」


 静まり返る室内。トウマは立ち上がり、深々と頭を下げた。


「どうか・・・どうか国母様にお伝えください。我らは、再びその御力を必要としております。鬼人共の侵攻から民を守れるのは――あの方しかいないのです」


 その声音は、単なる政治的な要請ではなく、民の悲鳴を代弁するような切実さに満ちていた。


(カグヤ・・・お前、めちゃくちゃ重要人物じゃないか)


 アクスは心の中でため息をつく。カグヤはというと、アクスの背後で気まずそうに俯いていた。


(・・・やっぱり、放ってはおけないか)


「お話はわかりました。今度剣聖様にお会いした時にこの話はお伝えしておきますよ」


 アクスが柔らかくそう告げると、トウマの顔に一瞬、ほっとしたような安堵あんどの色が浮かんだ。だがすぐに、真剣な表情へと戻る。


「感謝致します。・・・母神様には、ぜひともご帰還きかん頂かねばなりません」

人物紹介:カグヤ①


 美従士の一人、世間では剣聖と呼ばれる天女。


 日本刀一本のみで戦い、攻防バランスの取れた和風剣士。日本人風で艶のある黒髪ストレートの小柄な女性。黙して語らぬタイプだが、アクスには一応敬意を払っている。剣士であるアクスのアーク外での行動に唯一同行し、完全不可知の状態でアクスの背後に常に控え、アクスの護衛及び戦闘の代行を行う。東方式の剣術・武術を全て極めている。本気を出せば刀の一振りで半径数キロの斬撃を飛ばせるほど。


 日本とほぼ同じ文化風習を持つ東方連合国という複数の島国が纏まった連合国の中央本島”ジバン皇国”建国神話にて、世界を創世しヒトという存在をこの世に産み落とした全人類の祖とされている母神”天御中照主アマミナカテルヌシ輝雅神カグミヤビノカミ”と呼ばれ神扱いされているが、種族としてはただの天女の一人である。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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