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無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第9章:レオバルド獣王国編╭╯
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第83話:『猫人の真意、兎人の決意』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 アクスは本来決闘によって殺されるはずだった獣王の命すら救った。だが、レオングラードの瞳にはまだ鋭い光が残っていた。


「・・・覚えておけ、アクス。今日の負けは認める。だが俺はまだ獣王だ。いずれ必ず、この屈辱を晴らす」


 アクスは小さく笑った。


「それならその時まで強くなっててくれよ。こっちも鍛えておくからさ」


 互いの視線が交錯し、火花が散る。――敵ではなく、しかし決して馴れ合いではない。


 それは“獣王と冒険者”の間に生まれた、奇妙な縁の始まりだった。


 夜。王都の混乱はようやく鎮まり、広場の篝火かがりびが静かに燃えていた。


 兵たちは撤収し、草食獣人たちは家族の無事を確認しあって涙を流し、王城は不気味なほど静まり返っている。


 アクスは宿舎の一室に腰を下ろし、雷牙が丸くなって眠る横でリオルを膝に乗せていた。


 そこに――扉がノックされる。


「・・・兄貴、入ってもいいでしょうか?」


 低い声。ライガルだ。


 アクスは怪訝そうに眉をひそめつつ「どうぞ」と答える。


 入ってきたライガルは、いつもの豪快さが嘘のように肩を落とし、妙に真面目な顔をしていた。


「お前がそんな顔するの、初めて見たな」


「・・・茶化さないでくだせぇ、兄貴」


 ライガルは壁に背を預け、しばらく黙り込む。


「・・・ところで、何で草食獣人の味方を?」


「へい、兄貴、実は俺・・・ずっとパルマ嬢の事を狙ってたんでさぁ」


「あ? お前もかよ! いくら何でもギルドの仲間を食う・・・え、狙うってまさか」


 ライガルは顔を赤くし、爪をガリガリと壁に立てた。


「い、いえ、その・・・惚れちまったもんで・・・それで、告白するタイミングを狙ってたんでさぁ」


 部屋の空気が一瞬止まる。アクスは思わずリオルを落としそうになった。


「・・・はぁ、そんなんアリなのか?」


「パルマ嬢ちゃんが受付嬢してる頃から、ずっと気になってたんでさぁ。・・・ですが、俺ら猫系の肉食獣人が兎人に惚れるなんざ、笑いものでしょ?」


 ライガルは苦々しい笑みを浮かべた。


「だからって、あんな怪しい行動取るなよな・・・こっちはずっと警戒してたんだぞ」


「わ、悪かったっすよ!・・・でも、俺なりに必死だったんでさぁ。護衛料なんかより、命張ってでも守りたかったんでさぁ」


「あ! そうか! 王都で食刑廃止しようとか草食獣人に反乱止めさせようとかしてたのって・・・」


「あ、はい。別に善意とかじゃなくて、そういうの無くなったらもうちょっと距離が縮まるかなぁー・・・なんて・・・へへへ」


 アクスは深いため息をつき、呆れたように肩をすくめる。


「お前・・・もっと普通に言えよ。回りくどすぎてパルマも困惑するだろ」


 その時、部屋の隅から「ですぅ・・・」と小さな声が聞こえた。


 ――パルマが、扉の影で聞いていた。


「パ、パルマ嬢ちゃん!?」


「・・・ライガルさん。そんなふうに思っててくれたなんて、知らなかったですぅ」


 パルマは真っ赤にした顔を覆い隠すように、耳を前に垂らしてうつむいた。


「でも・・・私、アクスさんに護衛お願いして良かったですぅ。でなきゃ、こんな本当の気持ちを聞けなかったですから・・・誤解して避けたりして申し訳なかったですぅ」


「い、いや、いーんだよ! 兎人が猫人を怖がるのは当然だ! 気にしなくて良い!」


 ライガルは狼狽し、アクスは頭を抱える。リオルは「ぴぃぴぃ!」と笑うように鳴き、雷牙は「フン」と鼻を鳴らして丸くなっている。


「・・・はぁ、やれやれ。恋愛相談の依頼を受けた覚えはないんだがなぁ」


「ち、違うっす! 相談じゃなくて、兄貴に覚悟の宣言っす!・・・嬢ちゃんがいるの知らなかったんで結果的に告白になっちまったっすが・・・。」


「結果的に俺が立ち会い人みたいになってるんだが・・・」


 ライガルは耳まで真っ赤にしているが、アクスは気にせず言葉を続けた。


「なんだ、そんなオチかよ・・・で、さっきから何だ、兄貴って」


 アクスが腕を組んで待つと、ライガルは少し気まずそうに目を逸らした。


「俺たち獣人にとっちゃ、“最強”に従うのが本能的な生き方です。誰が強いか、誰が上か、それが全てを決める。・・・で、あのフェンリル様ですよ」


「あぁ、雷牙か?」


 ライガルは雷牙をちらりと見やる。雷牙は眠そうにあくびをし、子犬サイズのまま尻尾を振っている。


「はい、この国じゃ、フェンリル様は『獣の王の王』って伝説になってる。そいつに堂々と指示出して、平然と従えてるアンタを見て・・・もう、認めざるを得ねぇっすよ。俺らにとっちゃ命懸けで付いていく価値のある“兄貴”なんすよ」


「・・・」


 アクスは一瞬、言葉を失った。


「媚びてるわけじゃねぇんです。ただ本能が勝手にそう呼ばせるんでさぁ!」


「・・・はぁ。いや、お前の気持ちはわかったよ。でもな・・・俺、ただの人間だぞ?」


「ただの人間がフェンリル様や竜の赤子を従えませんて!」


 ライガルは声を荒げた後、ふっと照れ隠しのように笑った。


「だから兄貴、なんでさぁ。獣王国で一番のフェンリル様の主、俺たち獣人にとっちゃ“格”が違い過ぎまさぁ」


 アクスは苦笑し、丸くなる雷牙を撫でながら呟いた。


「あー、その雷牙だが・・・コイツは”王国では”かわいい子犬なんだ、わかるな?」


「へ、へい!ギルドにも誰にも何も言いやせん!」


「よし、あと少なくともあっちでは普通にしろよ?」


「え、それは・・・は、はい!」


 雷牙は「クゥン」と満足げに鳴き、リオルはもう眠そうにあくびをしている。


 ――こうして、“兄貴呼び”が定着し、妙な絆がまた一つ加わったのだった。


 アクスは苦笑しながら二人を見やる。


 獣王国における混乱と圧政――それは一旦幕を下ろした。だが、その余波の中で芽吹いたものがある。それは確かに、希望の種だった。


 パルマは胸の前でぎゅっと拳を握りしめた。震えてはいたが、瞳の奥は確かな光を宿していた。


「私・・・ずっと怖かったですぅ。弱い兎人だから、何もできなくて、見て見ぬふりばかりで・・・。でも、アクスさんと一緒にこの国を見て、村の人を守って・・・気づいたんですぅ」


「気づいたって?」


「弱くたって・・・“守りたい”って気持ちは、諦めちゃいけないんだって」


 そう言ったパルマの目から、大粒の涙がつーっと零れ落ちた。けれどその顔には、もう怯えではなく決意の色が浮かんでいる。


「アクスさん。私、ギルドの受付嬢として働いてきたの、全部無駄じゃなかったんですねぇ。人をつなぐことも、声を届けることも・・・弱い私にもできることがあるんだって、やっとわかったんですぅ」


 アクスは静かに彼女の頭に手を置いた。


「そうだよ。強い奴にしか出来ないことはある。だが弱い奴にだって出来ることはある。どっちが上とか下とかじゃない。・・・自分が出来ることを精一杯やったら、後は胸張ってていいんだよ」


 口から出た言葉はパルマに向けていたが、同時に自分自身にも向けられていた。弱いアクスは強いノアや美従士達に戦わせている。だが誰と戦い、誰を守るかは自分の良心に基づいて適正に判断してきたつもりだ。結果多くの人が助かっている。その結果に胸を張ってもバチは当たらないだろう。


 パルマは涙を拭い、うさ耳をぴんと立てて頷いた。


「はいっ!私、もう逃げないですぅ!」

異種族の交配について


 基本的に獣人は同じ種類の獣人と番になる事が多いですが、様々な環境や事情により、別の種類の獣人と番になる事もあり、それでも子供は産まれます。しかしその子供は親のどちらかの獣人として産まれ、ミックスのような獣人は確認されていません。一応他の亜人や人間とも交配は可能ですが、その場合もどちらかの人種になります。ハーフミックスになるのは亜人と人間だけですね。ハーフエルフはいますが、ハーフドワーフは・・・お互い好みが合いそうにないですね。ちなみに竜人は卵生なので番えません。


 つまり何が言いたいのかと言うと、パルマとライガルの番はアルセイデアの生物学的にはアリ。ということです。パルマが受け入れるかは知りませんけど・・・。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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