表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第9章:レオバルド獣王国編╭╯
81/96

第81話:『獣王の全力、戦獣の暗躍』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

「こうなったら直接対決しか無いな」

「クク・・・面白い、いいだろう。そういえば・・・まだ人間は食ったことが無かったな」


 闘技場に場を移す。観客席には肉食獣人の群れが集まり、血を求める歓声が渦巻いていた。


 開始の合図と同時に、レオングラードの肉体が膨れ上がった。筋肉が隆起し、体躯が三倍にまで巨大化する。鬣は燃えるように広がり、黄金の眼は闘志で紅く染まる。


「ガアアアアアア!!」


 轟音の咆哮と共に、大地が割れんばかりに揺れた。


 その巨体に比べれば、アクスは小鼠のようだ。観衆からも嘲笑が漏れる。


「人間が勝てるかよ!」

「ひと噛みで終わりだ!」


 だがアクスは、短く言葉を発しただけだった。


「雷牙、見せてやれ」


 次の瞬間、子犬だった雷牙の姿がみるみるうちに膨張していく。

 白銀の毛並みが光を弾き、全身に雷の紋様が走る。

 瞬きする間に闘技場の半分を覆い尽くす巨体となり、その頭は馬車ほどもあった。


「ギ・・・ギャアア・・・!」


 観客席からどよめきが広がり、次いで悲鳴に変わった。

 その圧倒的な存在感に、肉食獣人ですら無意識に膝を折り、耳を伏せる。


 余裕でにやけていたレオングラードの顔がみるみる引きつり、青ざめていく。


「・・・フェンリル様・・・だと・・・?」


 雷牙は牙を剥き出し、雷光を纏った咆哮を放つ。


「ガアアアオオオオォォォン!」


 空気が震え、天が揺れ、稲妻が空から奔る。


 その瞬間、レオングラードの顔から戦意が抜け落ちた。


「・・・勝負ありだ」


 重苦しい声でそう呟き、膝を折る。

 歓声も嘲笑も止み、ただ静寂だけが支配した。

 雷牙が闘技場を埋め尽くす姿は、まさに絶対的な王の風格を帯びていた。


 アクスは肩を竦める。


「・・・戦うまでもなかったな」


 だがその直後。


「陛下ッ!報告ですッ!」


 伝令の兵士が駆け込んできた。


「王都周辺で・・・草食獣人共の反乱が勃発!既に兵士と交戦中です!」


 広間にざわめきが走る。兵士の報告は続いた。


「ゾウ、サイ、ゴリラ、カバ・・・強靭な種族が中心で、しかも本来戦闘に不向きな草食獣人までもが、黒い鎧を纏い狂ったように戦っております!」


 その言葉に、アクスの隣でノアの声が念話で響いた。


(序列第961461位、魔人:カーステッドアーマー、今回は単体としてはかなり弱いですが、数がかなりいますね。鎧に取り付き、着た者の戦闘衝動を強制し、戦闘による血と使者の魂を吸い力を増す寄生呪具型の魔人が草食獣人達をそそのかし、無理やり戦闘に駆り立てているようです)


 アクスの目が鋭く細まる。


(やっぱり魔人か!序列低いけど・・・魔人なのかそれ?)


(王都の書物には魔界には魔人しか居ないと記述がありましたが、どうやら魔界に存在するすべての意識体は魔人と定義され、漏れなく序列が付いているようです)


(そういやダークエルフの里を潰した魔人も蛇だったな)


 遠くで火の手が上がり、悲鳴が風に乗って届く。

 雷牙が「グルル・・・」と低く唸るが、リオルは「ぴぃ~・・・」と不安そうに鳴いている。

 アクスは一歩前に出て、獣王を睨んだ。


「・・・これがアンタのやってきた結果だ。ここで黙ってたら、王都ごと滅ぶぞ」


 王都の外――血と炎が夜空を赤黒く染めていた。


 ゾウの獣人が巨大な戦鎚せんついを振り回し、城壁を砕き割る。サイの獣人は鎧ごと兵士を突き砕き、ゴリラの獣人は雷鳴のような雄叫びを上げながら兵士たちを次々と叩き割っていく。


 本来なら農耕や力仕事に従事するはずの彼らが、今は狂戦士と化して肉食兵を蹂躙していた。


 だが、その目には理性の光がなかった。黒い鎧が体を覆い、隙間からは禍々しい紫色の霧が滲み出している。


 その動きはまるで糸に操られる傀儡のようだが、力は確かに獣そのものの破壊力を増幅させていた。


「があああっ!」


 豹人の兵士が反乱軍の槍に貫かれ、喉から血を吐く。


「ひぃぃ・・・やめろぉぉぉっ!」


 狐人の平民兵が逃げ惑うも、背中から鎧に覆われたカバの獣人に押し潰され、悲鳴ごと地面に叩き潰された。


 街の静寂は悲鳴に掻き消され、混乱は頂点に達していた。


「もう・・・止められない・・・終わりだ」獣王の牙は諦めた表情で膝を折る。


「何だ、反乱の事知ってたのか?」アクスがライガルに問う。


 ライガルによると、先立って王都に来ていたのは、獣王から獣人の冒険者として活躍し、獣人の地位を高めたことで報奨を貰う為だったが、その報奨の代わりに食刑を廃止してほしいと嘆願した所、即却下された上、金だけ掴まされて城から追い出されたという。


 草食の反乱の噂も把握していて、確証が無かった為獣王には報告出来なかったが、草食の実力者達に、もしそんな事を考えているのなら止めるよう説得して回っていたらしい。


 肉食獣人なのに何でだ?アクスは疑問に思うが、やっていることは間違ってはいないし、今はそれどころじゃないのであえて深くは聞かなかった。

運命の分かれ道


 アクスが別の理由で王都に直行し、パルマのガイドが無かったら、何も知らないアクスは食刑をその場で止め、その勢いで獣王を制圧し、魔人も先だって排除し、草食獣人の暴走も止められたかもしれません。今回はパルマの村に行き、パルマの護衛にリソースを取られたことで事件に対し遅れを取ってしまいました。しかしパルマの護衛以外で獣王国に行く用事は無かったですし、パルマがアクスに護衛を依頼しなければ、獣王国は最悪の結末を迎えた事でしょう。


 ちなみにノアは草食の反乱を察知していましたが、無駄に首を突っ込んで主を危険に晒してまで止める義理は無かったので無視していました。相変わらずノアは異世界救済の為ではなく、アクスに尽くす事だけを考えているのです。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

当作品を閲覧頂きありがとうございます。宜しければ


・☆評価

・ご感想(一言でも嬉しいです)

・グッドリアクション

・ブックマーク登録


の4つをご協力お願い致します。m(_ _)m

皆様の反応が今後の執筆活動の励みになります。


引き続き次回作もお楽しみ下さい♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ