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無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第9章:レオバルド獣王国編╭╯
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第76話:『受付嬢の苦悩、獣王国の普通』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 ギルドの扉を押して入ると、見慣れたカウンターの奥から大きな耳がぴょこんと揺れた。

 担当受付嬢のパルマが、ぱっと花が咲いたような笑顔で手を振ってくる。


「アクスさまぁ! ちょっとお時間いただけますぅ?」


 小走りで駆け寄ってきたその姿は、いつもの明るさに加えて、どこか緊張をはらんでいた。


「どうした、珍しいな。そんな慌てて」


「実はぁ・・・長期休暇を頂きましてぇ、故郷のレオバルド獣王国に帰ろうと思っているんですぅ」


 パルマは耳をしゅんと下げ、小声で続ける。


「でも・・・獣王国は弱肉強食の国。王国の中ならウサギでも安全ですけど、あちらでは・・・」


 不安そうに尻尾を丸める姿に、アクスは眉をひそめた。


「だから、アクスさまに“護衛兼付き添い”をお願いしたいんですぅ」


「俺か? ・・・獣王国なら、獣王のきばに頼めばいいんじゃないか?」


 パルマはぶんぶんと首を振る。


「肉食獣人は“強者こそ正義”という感覚なんですぅ。王国内は王国の法がありますが、獣王国に入った途端、何をされるかわからないんですぅ。・・・ライガルさんたちがそういう人物だとは言いませんけどぉ・・・でも、それが獣王国の“普通”なんですぅ」


(それは確かに、パルマみたいなウサギじゃ心配になるな)


「アクス様なら、ぜったい見下したり変なことしないって信じれるですぅ」


 すがるような目で懇願され、アクスはふぅとため息をついた。


「・・・まぁ、初めての獣王国の旅も悪くないか。わかった、護衛を引き受けるよ」


「本当ですかぁ! ありがとうございますですぅ!」


 ぱぁっと笑顔を弾けさせるパルマの耳が、嬉しさでピンと跳ねた。


 移動はアクスの馬車。御者はもちろんチャリオだ。馬車の中には、アクスとパルマ、そしてリオルに、子犬版の雷牙らいが


 パルマはリオルについてはよく知っている。Sランク冒険者ガルザ―の故郷である遠き竜人の国を守護する神竜、の子供・・・エリシュナでも大きな話題になった存在だ。しかし、足元で丸くなっている子狼については首をかしげた。


 雷牙の事はよく知らない。アクスの担当受付嬢として魔獣登録の対応はしたが、測定結果はただの子狼とは思えない異常な魔力量。


 エルフの開放奴隷を護送した際の他の冒険者からの報告では、アクスは背に乗れる程大きなウルフを操っていたと・・・こんな子狼の背中に乗る? ありえない。多種多様なウルフを従えているのか。そんな魔道具聞いた事もないし、そもそもアクスはテイマーではないのだ。


「あのぉー、アクス様ぁ」

「様なんて堅苦しいな、プライベートなんだからもう少し気楽でもいいんじゃないか?」

「はぁ、ではアクスさん、このワンちゃんはどうやってテイムしたんですぅ?」


 アクスは肩をすくめて笑った。


「雷牙か?テイムなんてしてないよ。ただ仲良くなっただけさ」

「そんなことあるんですかぁ?」

「そりゃ目の前にいるからな」

「・・・。」


 担当受付嬢として、アクスのほぼ全ての依頼を見てきたパルマは、頭を悩ませた。


 スキルなし、武器適性なし、魔力も魔道具を起動できる程度。かつては“無能”と呼ばれていた冒険者の少年。


 だが今や、依頼達成率100%、ギルド長を模擬戦で圧倒し、歴代最速でAランクに昇格、国王から名誉騎士爵を賜った超エリート。


 けれども目の前の少年からは、威圧のかけらも感じない。むしろ、兎人の女性である自分でも倒せてしまえそうな錯覚すら抱かせるほど。優しく柔和な雰囲気だけが漂う、街でも人気の“美少年”。


「アクスさんは不思議な人ですねぇ・・・でもギルドの職員としては、いつも完璧に依頼をこなしてくれるので助かっているですぅ。改めてありがとうございますですぅ」

「なんだよ、改めてって・・・気恥ずかしいなぁ」


 照れくさそうに笑うその横顔に、パルマは胸が温かくなる。


(この人の担当になれて、本当に良かった・・・)


 国境付近で、冒険者の一団に遭遇した。しかも寄りにも寄って獣王の牙だ。リーダーのライガルがアクスを見つけ、にやりと牙を覗かせる。


「おう無の・・・アクス、こんな所で会うとはな。嬢ちゃん(パルマ)を連れて獣王国か? ・・・丁度良い、俺達も故郷に用があって帰るところだ。同じ獣人のよしみで一緒に護衛してやるよ。タダでな!」


(・・・いや、お前ら向かって来た方向違ってただろ・・・それに護衛をタダで? さっきのパルマの話を聞いたばかりってのもあるが、かなり怪しいな)


「お、おう、それは心強いな、助かるぜ」


 アクスは平静を装い、同行を了承した。


 馬車の中で、パルマは不安そうに震えていた。


「心配するな、パルマの懸念もわかる。俺も確かに怪しいと思う。だから尚更、見える範囲で一度動向を探った方が良い。いきなり闇討ちされても面倒だからな。まぁそんな事しない奴らだと思ってるが」


 パルマの震えは収まったが、不安げな顔は拭いきれない。


「大丈夫だ。あいつら全員で掛かってきても余裕で弾き返せるさ。・・・担当冒険者を信じろ!」


 その力強い言葉に、パルマの表情がふっと和らぎ、いつもの元気な姿を取り戻した。


 一行は国境を越え、パルマの故郷を目指す。

 途中、野生の魔獣に遭遇したが、全て獣王の牙が仕留めた。本当に“タダで護衛”してくれているようだ。


「護衛はタダだがよぉ、狩った獲物は俺等のモンでいいよな?」

「あぁ、好きにしてくれ」


 獣王国は宿場町がほとんど無く、野宿が続いた。アクスは簡易テントで眠り、パルマは馬車で休ませる。馬車の中ならまず安全だ。


 最初は王都で買った中古の馬車だったが、改造と強化魔法を重ねて逆に本体の耐久性がおかしくなり、最終的にノアが一から造り直した。


 見た目は普通の馬車と全く変わらないが、強度は桁違い。竜に踏まれてもびくともしない、もはやアーク並の安全地帯だ。


 アクスは子獣たちとテントに入り、アークへ帰還した。


 空のテントを前に、夜警の為焚き火を囲む獣王の牙が影を作る。


「なぁリーダー、いつ”行く”んだよ」

「何だよいきなり」

「何ってパルマの事だよ、ずっと狙ってたんだろ?」

「うるせーな静かに話せ、聞こえるだろ」

「この距離なら大丈夫だろ。それより、どうすんだ?」

「別に今じゃなくてもいいだろ、アクスもいるし」

「アイツだって男だぜ、話せばこっちに付くんじゃないか?」

「そうだぜ、こんなチャンス滅多にないぜ!」

「・・・」

獣人について


 アルセイデアにも地球と同じような動物がいて、その動物の獣人がたくさん居ます。獣人の種類は様々で、少数ですが動物以外にも魔獣の獣人も確認されています。竜人がいるくらいですからね。強さの基準は元の動物の強さにほぼ比例しており、ゾウやサイ、カバ等肉食獣より強い草食獣も居ますので、完全に草食がやられっぱなしという訳ではありません。パルマは「肉色獣人は~」といっていますが、肉食に限らず草食、雑食全部含めて”弱肉強食”が絶対のルールになっています。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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