第72話:『影猫の世界、女王と面会』
毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)
ダークエルフたちは無事だったが、彼らの里である洞窟は無残にも崩落してしまった。
「アクス様の配下になる」とまで言われてしまったが・・・。
(アークに乗せるか? いや・・・王国に仕える者がいるとなると、あまりバラしたくないんだよな)
心中で逡巡するアクス。
(ノア、どうしよう?)
(では、影猫がいる影の世界に住まわせましょう)
ノアの即答にアクスは目を瞬かせた。
影猫は複数存在しているが、一体に集約することもできる。「多」であり「個」でもある存在だ。その分体のいくつかはアクスや友人、知己の影に潜んでいるが、大半の控えは影の世界にいる。
その影の中は先が見えないほど広大な空間となっており、インベントリのように時間が止まっているわけではない。その代わり生きた存在であってもその中に入れる事はできる。
しかし影の世界というだけあって、光を発するものは入る事ができず、真っ暗なので何も見えない。闇に適性のある者だけが空間内を認識し、暮らすことができるという特異な性質を持っていた。
かつて王妃暗殺の際、一時的に王都の人員を影の世界へ取り込めたのも、この特性があったからだ。さらに出入口を自在に設定できるため、影のある場所ならどこからでも出入り可能。ただし、その権限を握っているのはノアである。
ノアは淡々と説明を続ける。
(魔力が高い生物は、魔力が満タンになると余剰分を体外に放出します。ハイエルフ並の魔力を持つダークネスエルフとなった彼らの余剰放出魔力は非常に有用です。全員に衣食住を提供しても、余裕でお釣りが来るほどですね。それに影猫と魔力の性質も一致しておりますので、まとめて運用するのに最適でしょう)
ここで一気にノアの口調が明るくなる
(・・・源泉の魔力をほとんど魔人と影猫に吸われた時は頭を抱えましたが、これでかなり取り返せますね♪)意外な収穫にノアは上機嫌であった。
ノアの提案を、アクスはダークネスエルフとなった長老に説明した。すると了承どころか「ぜひお願いしたい」と勢いよく頭を下げられ、逆に感謝されるほどだった。
ただし影の中では火を扱うことができないため、焚き火を焚くことはできない。そのため里の前にある広場は、今後も狩りの拠点や燻製作り、料理の場として保全することになった。割り当てについては後日決めればいいだろう。
「まずは森国に戻って、女王陛下に報告だな。その上で今後を考えるか」アクスは影猫の頭を軽く撫でながら小さく息を吐いた。
一行は森国に戻る。里にダークエルフを連れて行くはずが、逆に里の住人ごと連れてきてしまった。
(はぁ・・・女王になんて説明しよう・・・まぁそのまま説明するしかないか)
クライムサミットを容赦なく縛り上げ、里近くの広場までウルフで移動。元奴隷を乗せてきた護送車にまとめて放り込む。女たちは必死に抗弁していたが、誰も耳を貸す者はいなかった。
縛り上げたクライムサミットに代わり、護衛は新しく配下となったダークネスエルフの精鋭たち。兵士にバレないよう肌を黒くしなくても基礎能力は向上しているようで、進化した戦闘力をすぐにでも試したいとやる気満々だ。
そしてアクスは・・・帰りも王女の馬車に載せられる。
「あのー、殿下。私も護衛を・・・」
「ダークネスエルフさんの戦闘力があれば問題ないでしょう」
「・・・はい」
「それより、そのダークネスエルフさんの件です。王国の隠密にというお話だったではありませんか?」
「・・・そうなんですよね」
「そうですわ!父、いえ国王陛下と協議して、必要な人員を派遣して頂く、というのは如何でしょうか?」
「・・・それは良い考えですね」
「・・・アクス様?」
「はい」
「先程から私のお話を鵜呑みにするだけですわ。貴方様のご意見をお聞かせ下さいまし」
「・・・影猫は正式には私の配下ではなく四聖、この場合は四聖の主とでも言いましょうか、その者の配下になります」
「そういうお話でしたわね」
「四聖の主は王国の味方らしいですが、正体不明の人物の配下を隠密部隊に入れて良いものかと・・・」
「四聖の主様が我が国を裏切ると?」
「そうは言ってませんが、何かあった時は国王よりその主の命を優先するものかと、そんな存在を重要機密を扱う王の配下に置いて良いのかは少し疑問です」
「むぅ・・・」
王女は回答に困り、暫く考え込む。まぁアクスが言っている四聖の主の設定は全てフェイクなのだが、それをふまえた上で王国の重要機密を扱う部隊に得体の知れない新参者をホイホイと加入させるようであれば少し心配になる。
「・・・まぁ、その辺はお任せしましょう。国王陛下であればきっと素晴らしい判断を下して頂けますわ♪」
王女は国王に丸投げする事にした。そう来たか。まるでアクスの性格がうつったかのようだ
(そうか・・・国王にも説明しないといけないのか・・・)
森国に到着、宮殿へ行く。女王の予定が数刻後に空くらしいので、その時間まで各々客間で待機。王女はエルフの従者によって浴場に拉致されていった。
一人になったので、リオルと雷牙を連れて一旦アークに帰還する。
ラウンジのソファーに座る。影猫が出てきた。里での虎のようなサイズではなくなったが、子猫から一気に大人の猫サイズになった。
「影猫が魔力を大量に取り込み一気に成長しましたので、最小のサイズがそれになりました」
ノアがこちらに近づきながら説明する。
「にゃーん」影猫が膝の上に乗ってくる。少し重みが増えたが、美しい毛並みは変わらない、むしろ撫でる面積が増えた。
「わんわん!」雷牙も膝に前足をちょこんと乗せ、構ってほしそうな目でコチラを見ている。魔力で強化されたからなのか、影猫は雷牙に一切怯えなくなった。
他のメンバーも集まったので、今後の方針、特にダークエルフ達の扱い、王への話し方について考える。
メンバーに運用案を聞いてみた。言い方はあれど、要約するとこうだ。
・強いが美従士程ではない、森で狩りでもさせておく。
・黙ってアクス様の燻製肉を作っておけばいい。
・適当に魔獣や魔族と戦闘させ、強くなったら考える。
・各国に隠密として出向かせ、国家間情勢を把握する。
・新しい土地でアクス様の国を作り、国民になってもらう。
アクスの表向きの護衛や冒険者パーティーとする案も出してみたが、断固反対された。これ以上自分たちの仕事が取られるのが嫌らしい。
というか、アクスどころかアークから離す案ばかりで、あまり歓迎されていないようだ。初めてワガママを言われた気がするが、意思をはっきり出してくれるのは良い傾向だと評価しよう。
結論が出ないまま、客間のドアが鳴ったとノアから報告があり、アクスは急いで転移で戻る。
女王の反応、今回は少し楽しみだ。
アクス(人間)の強さ
人間は大分弱い部類です。個体差と言っても限界があり、種族の壁は厚いです。ただ人間の冒険者は戦闘スキルをバランスよく配置したパーティを組む事により無類の強さを発揮します。それでも下位の魔人は倒せても、ガルザ―1人倒すのは難しいでしょう。勇者でも現れない限り・・・。
そんな中、無能のソロAランク冒険者アクスの存在はかなり異質で異常です。本人は目立たないようにとか言ってますが、安心してください、めっちゃ目立ってますよ!
人物イメージ画像一覧はコチラ
https://ncode.syosetu.com/n1501lc/
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引き続き次回作もお楽しみ下さい♪




