表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第7章:ディアドラ竜国編╭╯
60/96

第60話:『10の階乗回、竜人の改造体』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 竜人騎士団に別れを告げたその翌朝、アクスは竜国王都を出ていた。


「さぁて・・・暇のついでに竜骸の魔導士とやらを潰してきますか」


アクスが言葉を口にすると、アクスはアークに戻り、美従士たちを呼び集めていた。


 ノアが静かに目を閉じ、サーチを開始する。


「呪いの発生源、位置、特定完了しました。王都から南西二百二十リーグ。転移陣、即時展開可能です」

「さすがノア。じゃあ一気に行くぞ。・・・お前ら、準備はいいか?」


「もちろん」カグヤが刀の柄に手を置き、鋭く答える。

「ええ、燃やす準備は万端よぉ」ミレイユが妖艶に微笑む。

「思えばアクス様と全員での冒険は初めてです」ヴァネッサが期待の眼差しを向ける。

「私、ぜーったい怪我させないから!」エマは胸を張って元気に答えた。


 アクスは軽く頷くと、ノアが展開した転移陣に足を踏み入れる。次の瞬間、光が弾け、景色が切り替わった。


 彼らが到達したのは、鬱蒼うっそうとした森の中に佇む不気味な建物だった。外見は古びた小屋のように見える。だが屋根は鋭角に歪み、窓は黒く閉ざされ、昼間だというのに厚い雲が空を覆い、陽光を一切通さない。まるで建物そのものが周囲の大気を蝕んでいるようだった。


「・・・随分と小ぢんまりした城、ってとこか」アクスが首を鳴らす。

「ですが、この気配・・・ただの城じゃなさそうね」ヴァネッサが弓を構えつつ周囲を警戒する。

「もう、絶対ろくな奴じゃないですぅ」エマがむっとした表情で言った。


 扉を押し開けると、そこは広間のような空間だった。壁の向こうに一枚の扉がある。さらにその扉を開けると、また扉が二つ。片方を開くと今度は三つ・・・開ける扉を選択すると、他の扉はロックされる。


「・・・なんだこれ、扉ばっかりじゃねぇか」アクスが舌打ちする。

「空間操作の術式だわぁ・・・迷宮化させているのかもねぇ」ミレイユが分析した。


 ノアの声が響く。(注意。私の索敵も扉を開くまでは干渉できません。注意して進んでください。)


 とうとう扉の数が10個になり、1つの扉を開けた瞬間、一行は外に出た「・・・あれ?」入口の扉に逆戻りしていたのだ。全員が出ると背後の扉が勝手に閉じる。どうやら、ルートを間違えると振り出しに戻る仕掛けらしい。


「おいおい、これ根気勝負かよ・・・」アクスが頭を抱える。


(一度通ったルートは私が記録できます。パターンを潰していけば、効率は上がります)ノアが淡々と補足した。

「よし、それなら潰していくしかないな。・・・面倒だが」


 幾つもの扉を開けるたびにわかったことは、扉を開ける数は決まって10回。10回目で外に出ている事から、10回連続で正解の扉を開けないと先に進めないようだ。


 しかも部屋には時々魔獣や仕掛けが待ち受けていた。


 ある部屋では、頭部が2つある狼が群れで襲い掛かってきた。


「斬り裂け!斬り裂け!骨まで斬り裂け!連閃・鬼爪おにづめ」カグヤの素早い一太刀、しかしその斬撃は3つ、まるで魔獣が爪で引き裂いたように狼を屠る。

「ファイヤー・ショットガン!」ミレイユが炎の連弾を解き放つ。轟音と共に群れは灰と化した。


 ある部屋に足を踏み入れた瞬間、赤い霧が床から立ち込め、血の匂いで意識を奪おうとしてきた。


「くっ・・・体が重い・・・」カグヤがふらつく。

「任せて、解呪は私が」エマがワンドを地に立て、浄化を発動。霧は一瞬で晴れ、消滅した。


 次の扉の先では、竜人の骨を無理やり組み合わせたような巨大な骸骨兵が待ち構えていた。


「ガシャアァァァ!」

「おいおい、サイズでかいぞ!」アクスが驚愕している間にカグヤが斬り込み、ヴァネッサの銃が急所を射抜く。


 最後はエマが聖光を放ち、巨体は崩れ落ちた。


 一度は、床が崩れ、底なしの奈落へと吸い込まれそうになった。


「きゃあああっ!」エマの悲鳴。

「掴まれ!」カグヤがエマを抱えた瞬間、ノアが転移で強制回収。気付けばまた入口に立っていた。


 次の部屋では、竜人を模した石像が並んでいた。

 だが一歩踏み込んだ瞬間、石像が動き出し、石の槌を振り下ろしてきた。


「ただの石なら・・・バリアハンマぁー!」


 エマが結界を叩きつけ、石像を次々と砕いていく。最後はカグヤがコアを真っ二つに斬った。


 別の部屋では、床一面に鋭い槍が突き出し、触れた瞬間に全身を貫く即死の罠が仕掛けられていた。その瞬間、ノアが強制転移を発動し、全員を入り口に戻す。


「・・・あぶねぇ!」アクスが冷や汗を拭った。

「侵入者を排除するというより、わざともてあそんでいるみたいね」ヴァネッサが低く言う。


 時間だけが無情に過ぎていった。攻略と戦闘の繰り返しに、美従士たちも苛立ちを隠せない。


「ちっ・・・終わりが見えねぇ」アクスが毒づく。

「出てくるモンスターも強敵ばかり・・・」カグヤの声音も硬い。

「退屈を超えて、もうムカついてきたわぁ!」ミレイユの炎が荒々しく燃え盛る。

「・・・アクス様、もう少しですから一緒に頑張ろう!…‥ですぅ」エマだけが必死に笑顔を作るが、その声もやや疲れていた。


 こうして二日が過ぎ、ようやく三日目。十個目の扉を潜った先に、これまでとは異なる部屋が現れた。そこには扉が一つだけ。しかも、禍々しい装飾が施され、今までのものとは明らかに違う不気味な気配を放っていた。


「・・・これがゴールか、もう三百通りくらいやったんじゃないか?随分かかったな」アクスが呟く。

「連続十回正解とは、随分いやらしい仕掛けです。トラップも敵も面倒なものばかりですし」ヴァネッサが険しい顔をする。


(ノア、もし全部の通り数を計算すると・・・?)アクスが問うと、ノアの声が返った。

(10の階乗ですので、3,628,800通りです)


 一瞬、沈黙。「・・・あー、それ考えると意外と早かったな」アクスは頭をかいた。


(トラップや敵のいるルートはハズレと仮定した結果です。スムーズに通れるルートに絞った結果、意外と数は減らせました)

(あぁ、そうか、ここの主も通る度にトラップにかかる訳にいかないもんな。さすがだぜノア)

(お褒めに預かり光栄です)


 皆の緊張が高まる中、その扉を開いた。中は異様な空気に包まれていた。そこは研究室――いや、拷問場のようだった。


 檻の中には、竜人たちが囚われ、肉体を改造されていた。鱗は剥がれ、骨は捻じ曲げられ、もはや原型を留めていない。呻き声さえ出せず、ただ生きながら苦しんでいる。


「・・・なんだよ、これ」アクスが低く唸る。


 ポッドの中には、既に命を落とした竜人の躰が液体に浸され、標本のように保存されていた。

 カグヤが憤怒の表情で檻を切断する。「ふざけるな・・・っ!」鋼の斬撃が鉄格子を断ち割る。

 エマが急いで駆け寄り、回復魔法を施す。「大丈夫、大丈夫だからね!」彼女の掌が光り、傷が癒えていく。


「ノア、保護を!」アクスが叫ぶ。

(畏まりました。外に転送致します)


 ノアが次々と転移魔法陣を展開し、囚われた竜人たちとポッドを安全な場所へと送った。


 静まり返る室内。だがその先には、なお一つの扉が待ち構えていた。黒いもやをまとい、先ほどまで以上に禍々しい気配を放っている。


「・・・いよいよ、ここからが本番か」アクスが唇を噛んだ。

10の階乗


 階乗かいじょうとは、1から指定の正の整数(自然数)までのすべての整数をかけ合わせる計算のことです。記号「!」を使って表されます。例えば今回のように、10の階乗(10!)は、10! =1×2×3×4×・・・・×9×10 = 3,628,800と計算されます。


 これだけなら正解ルートを引き当てるなんてほぼ不可能です。しかし今回はハズレルートにトラップやモンスターが配置されていたので、その先のルートを排除する事ができ、結果的に早くたどり着く事ができてしまいました。このトラップ作った奴は能力が高いけど性格の悪さで損をするタイプのバカですね。さてどんな奴が作ったのか・・・次回をお楽しみに。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

当作品を閲覧頂きありがとうございます。宜しければ


・☆評価

・ご感想(一言でも嬉しいです)

・グッドリアクション

・ブックマーク登録


の4つをご協力お願い致します。m(_ _)m

皆様の反応が今後の執筆活動の励みになります。


引き続き次回作もお楽しみ下さい♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ