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無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第6章:ドラヴァルト王族編╭╯
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第45話:『セレフィナ王妃暗殺事件 解決編』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 感動の再会の渦の中――

 一歩前に進み出たのは、威圧感を放つ老獪な男だった。


「あ、あなたは、いえ、あなた様は、まさか、四聖様の――」王が前に立ち男に尋ねる。

「あぁ、ワシはお主らに四聖とか呼ばれとる者たちの主である。古き王家との約定に従い、この国を陰ながら護ってきた」


 ざわめきが広がる。王の背後で、民はその存在に圧倒されるばかりだった。


「親愛なるアルケシアの民よ、安心するが良い。今頃ワシの配下らが犯人を討伐しておる頃じゃ」


 一方、空となった王都には影猫たちが民の姿を真似て立ち尽くしていた。そこへ再び魔人が現れる。


「……ククク。なるほど、欺いたか。しかし大胆な手に出たな、中々やるではないか」魔人は称賛を浴びせるも余裕の態度だ。

「一体何のつもりだ!魔人がなぜ人間を襲う」カグヤが問い詰める

「何故って……負の感情さ!悲劇!理不尽!苦悩!絶望!その感情と人間の魂が魔人の力の糧となるのだ!」


 魔人は更に得意気に語り出す。


「特に王族のそれは極上さ!母は子に殺され!子は母を殺され!その上理不尽な冤罪で父に殺され!父は無力と苦悩の中でもがきながら子を殺し!罪悪感に飲まれたところでじっくり殺す!幸福で高貴な人間が絶望に落ちるのが最高の負のエネルギーになるのさ!ゲハハハハハハ!」


 魔人は両手を広げ高らかにあざけり笑う。


「なぁーにが力の糧よ、序列第345691位のザコのく・せ・にぃ」ミレイユが魔人を煽る。

「そうですぅ!ざぁこ!ざぁこ!……なのですぅ。」エマも続くが何か語気が弱い。

「ぐっ、なぜそれを……だが残念だったな。我は既に多くの人間を喰らった。今の我が魔界に戻れば序列は更に引き上げられよう。今ここでその力を解き放ち、貴様らを屠る!」


 黒き霧が爆ぜ、異形の魔人が姿を現す。

 四聖が武器を構え、王都決戦の幕が切って落とされた。

 夜の帳を裂くように、魔人が咆哮を放った。


「我が名は魔人ドゥムナス! 姿を変え、絶望を啜り、幾百の魂を喰らい、力を増す者! 人間どもよ、恐怖に震えよぉぉぉぉぉ!」


 その声とともに地面がひび割れ、黒い腕が地から生え出す。

 兵士の姿を模したもの、侍女の顔を持つもの、ありとあらゆる“影の人間”が次々と現れた。


「……なんて悪趣味なのかしらぁ、そんなんじゃ女の子にモテないわよぉ?」ミレイユが杖に魔力を込め、魔法を即時発動する。

「チェインマジック・ライトニングフラーッシュ!」轟音とともに雷光が奔り、魔人と黒き軍勢をまとめて焼き尽くす。

「祈りの詩は偽りを拒む。あなたは人ではないから、消えるの――ソングオブ・ホーリープレシャス」広範囲の祈りの歌とともに白光が奔流となり、魔人の身体を焦がした。

「グ……グアアアア!おい!クソ人間の魂共!もっと怯えろ!絶望しろ!負のエネルギーをもっと俺様に……寄越せぇぇぇ!!!」


 魔人は喰らった魂から絶望を絞り出し、エネルギーを吸い出す。魂の怨嗟と共に、その身は怒り狂ったように巨躯へと変じる。六本の腕を持つ異形。太く長い尾が地を打ち、足元のカグヤを周囲ごと薙ぎ払う。


「ゲハハハハ……この力!素晴らしい!貴様ら!楽に死ねると思うな!」戦いは熾烈を極めた。


 魔人の身体から無数の針が飛び出す、カグヤは剣でいなし、ヴァネッサは高速で回避、エマは結界で防御、しかしミレイユが被弾する。


「あぁ~ん、ママから貰ったドレスがぁ……こいつ殺すわぁ」竜人の皮膚は固い。

「目標補足……ここっ!」ヴァネッサの威力を落とした仮のスナイパーライフルで放った光線が魔人の胸を射抜く。だが肉体はぐにゃりと歪み、傷は瞬時に塞がった。

「……今度は柔らかすぎる敵ですか、一点貫通は意味がないようですね」彼女の額に汗が滲む。

「こんのゴミ人間どもめがぁぁぁ」魔人は6本の腕を高速で伸縮させ、そこかしこを殴りつける、予測不可能な巨拳の連打に、4人はじわじわとダメージを蓄積させる。


 カグヤが斬り裂き、ミレイユが雷で焼き、ヴァネッサが動きを封じ、エマが光で浄化する。

 しかし魔人は喰らった人々の力を糧に、何度でも立ち上がる。


「……不死身か」カグヤが息を吐いたその時――

「遊びは終いじゃ。行け」背後から老獪な男――四聖の主が空中に現れる。


 主は特別なバフをかけ、四人の従者の身体が光り、瞳が燃えるように輝いた。


「廻れ!廻れ!死ぬまで廻れ!連閃れんせん刃車はぐるま」カグヤは巨大化した魔人の背後に飛び、剣を構えて全力で横回転、そのまま魔人の首元から足元まで落ちながらザクザクと螺旋のように斬り裂いていく。

「撃ち抜け!メテオシャワー・ブラスター!」ヴァネッサの二丁拳銃から連射された光弾が前方に弾け、更に加速した無数の魔弾が魔人の体をハチの巣にする。

「グワァァ……何故だ……王族の高貴な魂を奪い、城の人間も街の人間もたくさん殺した!なのに……なぜこの程度の力しか出んのだぁぁ!!!」


 王都で害した人間は全て影猫の擬態なので、魂は奪えていない。さすがの負傷の数に魔人の体は修復が追い付かず、魔人は動きを止めた。


「さっきのお返しよ!ナチュラルマジック・ソーンツリー!」魔人の体に大木が巻き付き、大量の棘が生え、魔人の身体を串刺しにして動きを完全に封じる。

「アクス様直伝!バリア・ハンマぁー!」エマは防御を解き、杖の数m先に巨大な結界球を展開、魔人の頭目掛けて思いっきり振り落とす

「ハンマー!ハンマー!ハンマぁー!……」エマが防御結界で魔人の脳天を叩き潰す度に、魔人はみるみる小さくなり、ついに人間サイズまでに戻った。

「グフゥ、力を使い切ってしまった!おのれ!ここまでか…‥‥覚えてろよ人間!」魔人は逃げの姿勢を見せるも、背後に立っていたのはカグヤ。

「悪なる所業の代償を、命で払え、一閃・山分やまわけ」カグヤの早すぎる縦一閃。


 魔人は何をされたのかわからない。直後、魔人の身体は真っ二つに割れ、べしゃりと地に倒れる。切り口も斬られた事に気付かず再生もしない。断面からはグジュグジュした何かと、喰われた幾百の人間の魂、割れた魔核石が溢れ出てきた。

「……馬鹿な。我は序列を……まだ……上げ……」消えゆく声が風に溶け、ドゥムナスは完全に消滅した。


 ノアは街の壊滅した部分をある程度修復、丘から戦いを見守っていた民は無事王都に戻され、王妃セレフィナも再び家族と共に姿を現した。王女と王子は母に寄り添い、民は安堵の涙を流した。


(お楽しみ頂けましたでしょうか)(あぁ、壮大で大迫力だった!最高だ!)


 謁見の間、王は玉座に座し、前に進み出た四聖とその主を見据えた。


「……感謝する。王都を救い、我らを救ってくれた。そなたらの功は、王国の歴史に刻まれるであろう」


 老獪な男は首を横に振った。


「礼には及ばん。古の約束を果たしただけのことよ」


 そう言い残すと、背を向けて歩み去ろうとする。王は呼び止めた。


「待たれよ。一つだけ、答えてほしい。貴殿とあの男……アクスとは、どういう関係なのだ?」


 男は立ち止まり、振り返り様に薄く笑った。


「……はて、誰じゃ?そいつは」


 そして影に溶け、姿を消した。


 事件の翌日、玉座の間。アクスは王の前に立ち、深々と頭を下げていた。


「ここ数日、王都近くの森まで痕跡を辿っていたのですが、途中で消えてしまいました。もう手がかりもありません。そもそも犯人が魔人の時点で無能力の自分には荷が重すぎます。依頼は失敗扱いで結構ですので、どうかキャンセルしてください」


 国王はしばし沈黙し、懐からひとつの魔道具を取り出した。

 真実の宝珠――向けた者が嘘をつけば光を放つ真偽判定の魔道具である。

 王はそれをアクスに向け、重々しく口を開いた。


「事件は――すでに解決している」

「えっ!? いつの間に!? あれ、そういえば王妃様も戻って……じゃなかった、生き返ってるー!」


 アクスがわざとらしく驚いて両手を広げる。宝珠が淡く光を放つ。


「……ハァ、何を白々しい」国王は深くため息をついた。が、その問いは魔道具の効能を確かめただけに過ぎなかった。2人は目を合わせ、少しだけにやけ合う。玉座に手をついた王は、大げさに諦めたように頭を振り、改めてアクスに事件の顛末を語った。……説明を終えた国王は、再びアクスを見据える。


「……念のため聞くが。四聖様と、その主と名乗る者。お前には本当に関係がないのだな?」


 アクスはきょとんとした顔で首をかしげる。


「四聖ならたまに会いますけど……主? そんな人いるんですか?」


 魔道具は沈黙したまま、光らない。王はしばらく見つめ、そして諦めたように肩を落とした。


「……わかった。今回はそういうことにしておこう」


 その場にいた王妃セレフィナが一歩進み出る。


「アクス様……ひとつお願いがあります。あの拠点の設備を、王城にも持ち込めないでしょうか」


 アクスは少し困った顔をして頭をかく。


「いやぁ……実は王妃様を送った拠点というのは、”自分が”創ったわけじゃないんです。四聖がいたのなら、恐らくその“主”とやらが創ったんじゃないですかね」


 魔道具は、やはり光らなかった。


「そう、ですか……」王妃は残念そうに目を伏せた。

「以上で報告は終わりです。依頼は……まぁ、失敗ということで」

「そういう訳にはいかん。とりあえず犯人までは特定したのだからな。結果四聖とその主に助けられたが、やはりお主と四聖様の日頃の交友が全く無関係とも思えん。依頼は成功で構わない、褒章も用意しよう」

「いやいや、俺は何もしてませんから、でもまぁ、貰えるもんは貰っておきますよ」アクスがそう言って頭を下げると、王は苦笑しながら椅子に背を預けた。

「……お前という男は、いつもそうだな。だが、お主の近くにいる者たちがいつも救われている。まったく、不思議なものだな」


 王妃もまた微笑みを浮かべた。

 王子と王女は、首をかしげながらも、謁見場を後にするアクスに向かって深く頭を下げた。

 こうして、王妃暗殺未遂から始まった魔人襲撃事件は完全に幕を下ろした。

 ただひとつ、「無能」と呼ばれた男の名だけが、王都に広まっていくことになる。

魔人が地上界で人族を襲う理由

 魔人という呼び方をしていますが、要は”悪魔”なのでベースとなる生物のテーマに沿った悪の結果により、その力を増し、序列を上げられるというボーナス特性を持っています。ドッペルゲンガーの本来の悪用方法としては、親しい人に化けて悪いことをし、関係を悪化させ、最終的に互いに争わせ、同士討ちで力果てた魂を奪うというもの。うまく立ち回れば王都どころか地上界すべてを怒りと恨みで互いに争わせ、壊滅状態にする事も可能でした。それをしなかったのは・・・まぁ序列が低いザコだったからという事で。というかノアのサーチがある時点で何もできないんですがね。

 ただ、何者かが王都周辺のいくつかの村で人命を奪っていたのをノアは見逃していました。理由はアクスと関係ないから。実は四聖を通じて人命を助けているのもアクスが依頼を受けた地域や団体、その関係者に限定されています。その辺ノアさんはドライです。ノア自体は救世主ではなく、アクスの為のただの力。アクスの意思とノアの力が揃って初めて世界が救われるのです。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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引き続き次回作もお楽しみ下さい♪

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