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無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第6章:ドラヴァルト王族編╭╯
43/96

第43話:『セレフィナ王妃暗殺事件 事件編』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 ギルド長ガルドとの談話中、ノアから念話が響いた。


(アクス様、緊急のお知らせです。セレフィナ王妃が……暗殺されました)

「ぶっ……はぁ~!!?」


 アクスは飲みかけの茶を盛大に吹き出し、目を見開いて声を上げた。


「んだよいきなりきったねぇな! 帳簿が汚れるだろ!」


 目の前のガルドが眉をひそめ、胡乱うろんな目を向ける。

 アクスは慌てて袖で口元を拭き取りながら、無理やり笑みを作った。


「い、いやいや、ちょっと熱くて。茶が喉に引っかかっただけだよ」

「……ふん、ならいいけどよ。ったく、落ち着きがねぇな」


 何でも無いと取り繕いつつ、ガルドとの談話を早々に切り上げたアクスは、ギルドを後にすると人気のない路地裏に入り、アークへと転移した。


 数日前――昼下がり。


 柔らかな陽光がステンドグラスから差し込み、王城の白い石壁を彩る。セレフィナ王妃は侍女を下がらせ、自室に戻るため長い廊下をゆっくり歩いていた。


 途中、ルーシェリア王女が声をかけてきた。


「母上様、是非お見せしたいものがございますわ」と、彼女はうやうやしく振る舞い、控えめに視線を伏せている。

「よろしければお部屋までお持ち致しますわ」


 そう言われ、王妃は特に疑念を抱かず、そのまま王女を伴って自室へと入った。部屋の扉が閉ざされ、二人きりになる。王妃が微笑みながら言葉をかける。


「それで、見せたいものって何かし、あらっ?――」


 王女はゆっくりと振り返り、怪しげな笑顔で王妃を見つめる。王妃は真っ直ぐな目で微笑を浮かべ、王女を見つめる。お互い見つめ合う二人――。


 突然、王女が王妃の頭を両腕で強く掴んだ。驚く暇もなく、首が不自然な角度に捻られる。ゴキリ――鈍い音が響き、セレフィナ王妃はその場に崩れ落ちた。王女は何事もなかったかのように衣服を整え、扉を開けて廊下へ出る。人影のない時を見計らい、静かに歩み去っていった。しばらくして、王妃を呼びに来た侍女が扉を開く。


「王妃様、そろそろお時間でございま……」


 言葉の途中で視界に飛び込んだのは、床に倒れ、動かぬ主の姿。


「きゃああああああああああっ!!」


 甲高い悲鳴が王城に響き渡った。


 ――王城内の安置所。白布に包まれた王妃の亡骸が横たわっている。


「お母様ぁっ・・・ママぁっ・・・!」


 ”ルーシェリア王女”は母の手を握り、泣き崩れた。アルディス王子は呆然と立ち尽くし、声を失ったまま静かに涙を流す。国王エリオスは目を閉じ、己の悲しみと怒りを必死に抑え込んでいた。


「……泣くな、アルディス。今は、しっかりと見届けよ」


 息子の肩に手を置き、震える声で諭す。王妃を慕う侍女や近衛たちも次々に集まり、嗚咽が絶え間なく響いた。


 事件現場には犯人からメッセージがあり


「アルケシア国王へ告ぐ、本日より10日以内に貴様の愛する王子と王女を王妃暗殺の犯人として公開の場にて処刑せよ、自らの手で王族の血を絶やし、孤独な余生を過ごすがいい。さもなくば城内の人間を一人ずつ殺し、最後に貴様も殺す。さぁ選べ、愛か、保身か」


 この内容だけでは王権簒奪おうけんさんだつを狙った国内の者か、国力をぎたい国外の者か、判断がつかない。


 現在アルケシアには公開処刑の制度は無い。が、処刑台はある。過去にはその制度があり、王都のとある広場には未だ公開処刑台が残っている。そこには苔が生え、蔓が巻かれ、鉄は錆び、木はボロボロに腐りかけている。この”使われない処刑台”こそ現在公開処刑のような野蛮な行為が行われていない平和な国である事と、過去にこのような悲惨な行為が行われていた歴史を忘れないという意志の象徴として遺されており、今では観光名所の一つになっている。


「我が子らが己の母を害するとは・・・そんな事あるわけ無かろう!」


 国王は当然王子と王女を公開処刑する……はずもなく、王城にて厳戒態勢で守られている。希望する使用人にはいとまを出し、覚悟のある者だけが城内に残り、最低限の人員で維持されていた。


「なぜ・・・誰がこんな酷い事を・・・」王女は悲しみに暮れている。

「母上を殺した犯人、必ず見つけ出して殺してやる!」王子は怒りと決意をあらわにする。


 国王は民の混乱を避けるため一時的に城内に箝口令かんこうれいを敷き、城外の国民には王妃が体調不良の為、しばらく公務を休止すると公表。王家総出で暗殺者を探し出すことを決意した。推定死亡時刻の前後に廊下や部屋付近を通った者たちを洗い出し、徹底的にアリバイを調べる。だが、不審者の目撃証言は一切なく、殺害に魔法を使った痕跡も残されていなかった。


 この世界には憲兵(警察)や隠密は存在するが、刑事や探偵のような職はなく、事件の捜査は宮廷魔法士か、一部の冒険者に依頼されるのが常である。だが今回は魔法の痕跡すら無い。完全に「人の手」で行われた暗殺。その分だけ、魔法士でのの追跡は困難であった。


 王都ギルドに記録されている冒険者の実績を洗い直した結果、遺失物の捜索や原因不明の事件解決の成功率、そして成功数――どちらも群を抜いていたのは、よりにもよって「無能」と言われる冒険者、アクスだった。


「……アクスを呼べ」


 国王の一言で決まり、アクスに依頼する事が決まった。

 ノアのサーチで簡単に依頼達成出来たので受注しまくっていたツケがここにきて回ってきた。

 アクスは急遽、王城に召喚されることになった。

 せっかくエリシュナに戻ったのに・・・蜻蛉とんぼ返りからの――蜻蛉とんぼ返りである。


 5日後――。

 アクスは再び王城へ、緊急事態の為直接謁見の間へ、アクスは礼装に着替える間もなく冒険者装備のまま赴く。

 謁見の間。国王エリオスは険しい面持ちで玉座に座っていた。周囲には宰相、近衛、王子アルディス、王女ルーシェリアも揃っている。


「アクスよ――この度は急な召喚、許してくれ」

「いえ、事態が事態ですから」


 エリオスは重々しく事件の概要を語る。王妃が暗殺された事、犯人のメッセージ、その日周囲の証言や調査は進められたが決定的な証拠は見つからなかった事。王都ギルドで”原因不明の難事を幾度も解決した冒険者”として真っ先に名が上がったのが、アクスであったことを伝える。


「ゆえに……王妃暗殺の真相を、そなたに託したい」


 謁見の間が静まり返る。アクスは少し視線を伏せてから、口を開いた。


「お引き受けする前に……陛下。二人きりでお話しする時間を頂けませんか」

「なっ!? この非常時に、そんな非常識が通ると思うのか!」と宰相が声を荒げる。


 だが国王はアクスをじっと見つめ、数秒の沈黙の後、頷いた。


「……よかろう。我が私室へ参れ」

「父上! 私もご一緒します!」アルディスが前へ出る。

「わ、私も!」ルーシェリアも強く訴えた。

「これは王にのみお伝えしなければならないお話です。どうか、ご容赦ください」アクスは首を振る。

「アルディス、ルーシェ。今は命に従え」国王も厳しい口調で二人を制する。


 不服そうな顔をしつつも、二人は従い、謁見の間を後にする。


 ――場面は王の私室。

 扉が閉ざされ、王とアクスだけが対面する。だがノアによると部屋の隅にはまだ気配があるらしい。隠密が控えているのだ。


「……陛下。影の者たちも下がらせて頂きたい」

「……なるほど。怪しまれるのも無理はないな」


 王が短く命を下すと、わずかな風の揺らぎと共に気配が消えた。

 さらに王は机の引き出しから銀細工の魔道具を取り出し、魔力を込める。


「遮音結界だ。これで我ら以外には声は届かぬ。――さて、何を話すつもりだ?」


 アクスは深呼吸をひとつ置き、影に視線を落とした。

 その瞬間、床に落ちたアクスの影がぐにゃりと膨れ上がり――一匹の影猫が姿を現す。


「にゃーん」


 影猫の影がゆらりと大きく広がり、闇の絨毯のように床を覆う。その影から一人の女性が現れた。

第6章最終局面

ドラヴァルト王族編も佳境に入って参りました。何だか扉の音とサックスの曲が流れてきそうな展開になってきましたが、次回から新しい敵勢力が片鱗を見せ、長い因縁の戦いが始まります。果たしてセレフィナ王妃を害したにも関わらず、遺体の前で泣いていたルーシェリア王女は一体?そしてアクスの影から出てきた女性とは??謎は深まるばかりですが、アクス――いやノアなら必ず解決してくれるはずです。真実はいつもひとつ!(言っちゃった・・・)


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

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皆様の反応が今後の執筆活動の励みになります。


引き続き次回作もお楽しみ下さい♪

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