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無能転生者、何もせず遊んでたら異世界救ってました。  作者: 真理衣ごーるど
╰╮第6章:ドラヴァルト王族編╭╯
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第40話:『王子達の帰還、国王への苦言』

毎日18時投稿!・・・予定です(なるべくがんばります)

 やがて王都に到着。凱旋パレードが開かれ、民衆がエールを送っている。どうやら王子は国民にはそれなりに人気があるらしい。そのまま王城へ向かい、いつもの待合室に通され、謁見の時間を待つ。今回は鋼鉄の誓いも同行しているため、一応衝立の裏で着替えたふりをする。


 礼服に着替えたアクスを見て、ドワーフ三兄弟が目を丸くする。


「おお……冒険者が国王との謁見で礼装なんて、初めて見たぞ」

「普通はそのまんまの格好で行くもんだぜ?」

「まぁそうなんだが…ハッタリが状況を有利にする場合もあるんだよ」アクスは肩をすくめる。


 時間になり、謁見場へ。会場の扉の前で王子が待っていた。


「おぉ、師匠! 素晴らしい礼装です!」


 アクスは一瞬眉を上げる。(…一度謁見の場で顔を合わせてるんだがな。あぁ、あの時は影武者だったか。だとしても、どんな奴が来たかくらいは影武者から把握しておけよ、配下に聞かれてるぞ?)

 謁見の間の扉が静かに開き、王子が堂々とした足取りで進み出る。背後にはアクスと鋼鉄の誓いが続いた。


 玉座の間の冷たい空気が王子の肌を撫でる。高い天井、まっすぐに伸びる赤い絨毯、その先に座するは己の父――現国王エリオス。


 幼い頃は、遠くから眺めることしかできず、今でも真正面から目を合わせた記憶はほとんどない。

 玉座の間には国王エリオスと王妃セレフィナ、ルーシェも居る。無事王城に帰っていたようだ、

 そして側面には貴族や廷臣たちが整列している。


 王子が玉座の前で跪く、後ろの4人も王子に合わせる。


「皆面を上げよ、アルディス、まずはよくぞ無事で帰った。後ろの4人も、護衛任務ご苦労であった」

「はっ、父上、この度の遠征におきまして、我が国の威信を高めるべく全力を尽くしました。移民を無事送還し、ノルガルム洞国と正式に条約を締結し、鉄鋼材の供給も確保いたしました…」


 胸の奥がきゅうっと締めつけられる。滅多にない機会だ。直接、褒めてもらえるかもしれない。いや、今日こそは――褒められたい。口は流れるように成果を並べ立てる。言えば言うほど、父の視線が自分に向けられているような錯覚が広がる。心臓が早鐘を打つ。


(今、このまま“自分の功績”として話せば…国王…父上はもっと喜んでくれる)


 だが、道中の思い出が脳裏に蘇る。盗賊から助けられた夜の焚き火、殺意沸き立つ窮地に追い詰められた状況で、顔一つ見せただけで一変した交渉の場、一晩語り明かした夜、族長の前で土下座する自分を、何も言わず見守った姿、飲み会の笑い声。


 ―自分は、あの人を裏切るのか?


「……」


 一瞬、言葉が途切れた。玉座の間が静まり返る。


「どうした、続けよ」国王の目が細められる。


 喉が焼けつくように熱い。けれど、王子はゆっくりと、深く息を吸い込んだ。


「――この成果は、私の力ではございません!」声が震える。だが、止まらない。

「アクス殿と、鋼鉄の誓いの皆様の協力がなければ…私は、何も成し遂げられなかったのです!」


 廷臣たちがざわめく。


「私は…私は…何もできず足を引っ張り、皆を危険な目に合わせてしまいました。それでも、彼らはそんな私を見捨てず、最後まで導いてくれました!」


 視界がにじむ。頬を伝う熱い雫を止められない。


「父上…どうか、彼らにこそ褒美を。私は…褒美など要りません、むしろ!迷惑ばかりかけてしまったこの私に罰を!罰をお与え下さい!!」


 玉座から立ち上がった国王が、ゆっくりと歩み寄る。王子の目の前に立ち、その肩に大きな手を置いた。


「……よく言った」その声は驚くほど優しかった。

「己の未熟を認め、人の功を称える……それが王の器だ」


 王子の体から力が抜け、その場に両膝をつく。ただ、父の言葉が胸の奥に沁み渡り、涙が止まらなかった。後ろでアクスは静かに腕を組み、視線を逸らしていた。


(…まぁ、成長したんじゃないか?今はそれで十分だ。まぁ、王子の件はこんなもんだろ、あとは…)


 王子の言葉に場が静まり返り、国王エリオスの「よく言った」という言葉で謁見は一度、温かな空気に包まれた。しかし、その背後で腕を組んでいたアクスは、ゆっくりと一歩前に出る。


「…宜しいでしょうか、陛下」


 場の空気が少し緊張する。国王は玉座に戻り、アクスに目を向けた。


「何だ、アクスよ」

「陛下に対し、無礼を承知で苦言を呈したく」アクスは玉座をまっすぐに見据えた。

「今回の件――俺…私に拒否権なしの護衛依頼を押し付けた件です」


 ざわめく廷臣たち。


「前に王女殿下の護衛をした時は、さんざん本音の理由まで話し合って受注を決めました。国王からの指名依頼とはいえ命がけの仕事です、請けるかどうかの吟味は重要でしょう」


 国王は黙って聞いている。アクスは続けた。


「しかし今回は違いました。護衛対象は王子殿下。依頼の仕方は雑ですし、王女護衛の依頼を途中で切り上げて、そのまま連続で王族護衛ってのはどういう了見ですか?休みも無く二連続で王族護衛はさすがにやりすぎです」

「…確かに急ではあった」


エリオスの眉がわずかに動く。


「急どころじゃありません。そもそも私があの場に居たのは、たまたま日程をショートカットできたからで、本来あの場に居ない事は王も承知のはずです」

「おぉ、そうだ、それもお主に聞きたかったのだ、なぜサンドラに居た?どう考えても場所と日程が会わん。ルーシェの説明ではよくわからなくてな」


国王の言葉にルーシェがふくれている。


「リュミエール森国から直接南へ抜け王国に戻るルートで、森で転移させて頂きました。彼らは限定的ですが転移魔法が使えます。おかげで森の移動はほぼ一瞬、予定より大分早く戻れました」

「て、転移魔法だと!?」

「実在するのか…」


 廷臣たちが顔を見合わせてざわざわしている。


「そこへ、陛下が先の依頼をねじ込んできました。……陛下、あれは“依頼”ではなくただの“押し付け”です。」


 空気が再びぴんと張りつめる。だが、アクスは怯まない。


「別に陛下と喧嘩しに来たわけではないのです。ただ――仕事をする以上、やり方はちゃんとして頂きたい。次からで結構ですので」


 短い沈黙の後、エリオスは息をつき、わずかに口元をゆるめた。


「…心得よう。確かに、あの時は私も性急だった」


 その声音には、ほんの少しだけ非を認める色があった。

 文句も一通り終わったところで、場の空気が静まり、次は報奨の話に移った。

 王がゆっくりと玉座に身を預け、口を開く。

人物紹介 


長男、斧鎌ふれんのザンガ:斧と鎌、両方の武器適正を持つ希少な”ダブル”。元々鎌と斧、両方を持って戦うスタイルで、それでも戦闘力が高く、Aランクに上り詰める。アクスの提案で表に斧、裏に鎌が付いている新しい両手武器を使い、硬い敵に斧で叩き割り、しなる敵は鎌で切り裂く。破壊力を殺傷力を兼ね備えた理想的な戦闘スタイルを確立し、Sランクを目指す。外の世界に憧れて、単身で国を出ようとしたところ、弟たちも付いてくると言ったので、一緒に国を出て冒険者になった。


次男、ドンガ(二つ名なし):3兄弟の中で最も大柄で怪力、知らない人には年長と思われている、重撃のスキルを持つ戦士。大きな戦鎚に体重を乗せ、一撃の破壊力は3兄弟で一番だが、命中率と戦鎚の持ち運びに難がある。アクスの提案で持ち運び問題は解決したが・・・


※次回登場時、バンガの新武器はセグウェイ式ではなく意外な超絶進化を遂げて大活躍します。


三男、刺拳のバンガ(現在自称):刺突強化のスキルを持つ戦士。元々短槍で戦っていたが、本人のやりたいスタイルとはかみ合わず悶々としていたところ、アクスの提案で拳にスパイクを溶接し、殴るだけで刺突効果が発生。槍で突くより両手で連打した方が早く、戦力は5倍、本人の体質とモチベーションも相まって実質戦闘力は10倍近くなった。槍を手放して身軽になったので、遊撃や斥候も請負い、チームに貢献する。特に冒険には興味なかったが、兄貴達のやる事は大体面白いので、ノリで付いて行く事にした。


人物イメージ画像一覧はコチラ

https://ncode.syosetu.com/n1501lc/

当作品を閲覧頂きありがとうございます。宜しければ


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引き続き次回作もお楽しみ下さい♪

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