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弾切れ

 山県昌景を見つけた徳川家康は、総退却を指示。

「遅い。」

と追撃を指示する山県昌景。両者の距離はみるみる縮まり

「撃て!」

の号令と同時に山県昌景の鉄砲隊が発砲。

「長槍!!」

撃ち終えたばかりで丸腰状態の鉄砲隊を守るべく槍隊が前進。逃げ遅れた徳川の部隊を掻き乱した後、

「突撃!!!」

の大音声と同時に赤備えの騎馬隊が徳川勢を蹂躙。


「殿は急ぎ退却為されよ。」

としんがりを名乗り出たのは本多忠勝。

「忠勝か!一言坂での働き。馬場より聞いておる。だが今回は逃がさぬ!!」

と弾込めを終えた鉄砲隊が発砲し、長槍。そして騎馬隊が、再び徳川勢に襲い掛かる山県昌景。

「敵の騎馬が速過ぎる……。しかし今、ここを離れるわけには行かぬ。」

と覚悟を決めた本多忠勝に対し、

「よぉし!これで十分だ!!引き上げるぞ!!!」

と下知する山県昌景。徳川勢は浜松へ。山県昌景は長篠城へそれぞれ帰還。


三枝昌貞「義父上。見事でありました。」

山県昌景「敵も物見半分であったのであろう。ただ備えを見る限り……。」


 長篠城奪還に動いていた可能性が高い。


山県昌景「もし長篠城に籠るように指示し、私が古宮から後詰めする態勢を採っていたらどうなっていたかわからぬ。恐らく家康は、武田が動く事が出来るか否かを測っていたのかも知れない。見付に高天神。そして二俣のように地場の者しか動く事が出来ない状況であったら間違いなく……。」


 三河の国衆は徳川に帰属していたと見て間違いない。


三枝昌貞「彼らは徳川に?」

山県昌景「通じているかどうかはわからぬ。しかし誘いがあると見て間違いない。今後の織田徳川とのいくさで、彼らを用いる事は難しい。本来であれば、徳川を追い立て修築中の野田城に居を移そうと考えていた。さすれば貞能の不満も収まるであろうから。しかし野田への補給は、三河の国衆の協力が必要不可欠。ただ彼らの本心がわからぬ以上、古宮を離れる事は出来ぬ。」

三枝昌貞「確かに。」

山県昌景「しかしこのいくさ……。相手が徳川単体であって良かった……。」

三枝昌貞「と言われますと?」

山県昌景「鉄砲奉行から言われた。

『個以上撃つと、万が一反撃された場合。川を渡まるまでの弾が無くなる恐れがあります。これ以上の攻勢は控えて下さい。』

と。今の徳川が相手であれば、まだそれでも良い。経済規模ではこちらが上。用意出来る兵の数。鉄砲の弾についてもこちらが優位。」

三枝昌貞「はい。」

山県昌景「しかしここに……。」


 織田信長が加わったらどうなる?

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