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あなたの未練は何ですか?7
ウメノさんは、窓際の席を選び、スカーフを整えながら腰を下ろした。
私はそっとお茶を差し出す。
「ありがとう、ヒューさん。気が利くね。」
「ありがとうございます。」
彼女は自身のルリーブルを開き、数ページ読み進める。
時折、扉の方をちらりと見る。その視線は、祈りにも期待にも似ているように感じられた。
「……来るのが遅いわねぇ。」
そんな彼女の声は弾んでいた。
「きっと、寄り道しているんですよ。」
「方向音痴だったしね、あの人は。」
笑いながら、彼女はページを一枚めくった。
そこには、待つ人だけが持つ静かな時間が確かに存在している。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
二章完結です!
また続き考えます。