桜音霞
七海が帰ってから俺は、明日の学校の準備をしていた。七海に聞いた内容だとどうやら色々と準備する物があるみたいなので、今確認している。
まず制服は、クローゼットに入っていたので大丈夫だろう。それと明日は、体育があると言ってたから体操服と明日の授業の教科書をバッグに入れる。
明日の一限目には特別な授業があると言ってたので楽しみだ。
そうこうしていると、姉さんが帰って来た。
「ただいまー」
「おかえりー」
「華恋ちゃんが返事くれるなんて珍しい〜。それで今日の朝はあの後結局どうしたの?」
「今日はそのまま休んで七海とお喋りしたぐらいかなぁ」
「えっ!?華恋ちゃん!?その七海って子は誰!?お姉ちゃん知らないんだけど!?も、もしかして恋人?」
姉さんは急に慌てた様子で七海のことを聞いてきた。
「いや、違うよ?うーん、仲の良い友達なのかな?」
(・・実際そう言われると俺と七海の関係ってどうなんだろう?今は友達かも知れないけど、以前の関係を全然知らないんだよな)
そう言うと姉さんは急に青ざめ始めた。
「大丈夫だった?襲われてない?2人きりで何話してたの?」
「大丈夫だったけど、2人きりだと何かあるの?」
すると、霞姉さんは呆れた顔で僕を見つつ大きな溜息を吐いた。
「まあ、無事なら良いわ。・・今度うちに呼ぶ時は絶対お姉ちゃんに紹介してからにして」
「うん、分かった」
なぜそんなことをするのかはよく分からないが、取り合えず頷いておく。
「それじゃあお風呂入ってくる」
「はーい。晩御飯作っておくから早く入ってらっしゃい」
「それと、言い忘れてたけど明日は七海と一緒に学校行くから」
「えっ!?ちょっと華恋ちゃん!?それはどういうこと!?」
(なんか姉さんが騒いでるけど早くお風呂に入って寝よう。明日が今から楽しみだなぁ〜)
お風呂は、男の時とは勝手が違って結構苦労した。肌を強く擦ると赤くなって痛かったし、髪の毛は長くて乾かすのにかなり時間がかかった。ただお風呂も含めて、家の勝手は特に変わっていなかったのでそこはかなり助かった。
「ふうっ。お風呂空いたよー姉さん」
お風呂が終わったのでリビングのソファに横たわっていた姉さんに声をかける。
振り返った姉さんは此方を見るなり飛び起きて信じられない物を見たかのように目を全開にして顎が外れるぐらい口を開けたまま静止していた。
「姉さんどうしたの?お風呂上がったよ?大丈夫?おーい!姉さーん!」
姉さんの目の前で手を振って呼びかけていると漸く気付いたのか、やっと再起動し始めた。
「どうしたの?さっきまでぼーっとしてたけど」
そう尋ねると「ねぇ・・その服はどうしたの?」と、質問を質問で返される。
これはクローゼットの一番奥に隠すように仕舞ってあったものだ。
(涼しそうだったから着たんだけど、そんなに変だったかな?)
「この服ってもしかして変?」
「いや・・凄く可愛いと思う・・よ?ただ・・その服・・うちで寝る時以外は着ちゃダメよ?お願いだから特に他人には、絶対に見せないで」
危機迫る表情でそんなことを言われたら頷く以外の選択肢は無い。
姉さんの言ってることはよく分からなかったけれどその日はグッスリと眠ることが出来た。