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お昼

(取り敢えず二人共納得したみたいで良かった・・でもどうやって三人一緒にご飯食べるんだ?)


「ねぇ、二人共一緒に食べるのは良いけど席はどうするの?七海は一緒に食べられる良い場所とか知ってる?」

「知ってるけれど今から行っても多分席は埋まってるわ。でも大丈夫よ。机をくっつけて自分の椅子を持ってくればなんの問題も無いわ」


二人は自然な動作で俺の左右に机をくっつけると俺に椅子を寄せながら座った。左に杦本さんで右に七海という形だ。


・・それにしても凄く近い。特に七海がピッタリと横にくっついてくる。


「・・なんでそんなに近いの?」

「あら駄目なの?更衣室ではあんなことまでしたのに・・」

「ちょ!?ちょっとそんなこと言ったら・・」


今まで興味深げにチラチラとこちらを見ていたクラスの人達が騒つく。


「なに?事実じゃないとでも言うの?」

「いやでもそんな言い方したら・・誤解されるから・・」

「私は誤解されても良いわよ。華恋は嫌?」

「そういうことじゃないけど、でもそういうのはちゃんと付き合ってからというか・・」

「私は今すぐ付き合っても良いのだけど?」


 七海に真顔でそう問われて俺はそれ以上何も言えなくなってしまった。


「・・フフッ、ちょっと意地悪し過ぎたわ。ごめんね華恋。午前中のでちょっと妬いちゃったわ」


(・・そうだ。俺は七海の気持ちを知ってて杦本さんの世話を焼いてたんだから俺が悪いな。七海にまだちゃんとした返事もしてないのに・・もっと気を遣おう)


反省していると制服の裾を掴まれた。

振り返ると杦本さんがなにかムスッとした表情で無言でお弁当箱を突き出してきた。


「どうしても食べさせないと駄目?」


無言で肯定される。


「それならちょっと待ってて。私今日お弁当持って来るの忘れちゃったから先に購買行って買ってきても良い?」


そう尋ねると左右から同じ言葉が飛び出してきた。


「それなら私のお弁当を分けるわよ」

「・・それなら私のご飯食べて良いから」


(二人の提案は嬉しいけど申し訳ない)


そう思って断ろうとする。


「でも二人に悪いから・・」

「そうは言っても今から購買に向かっても、もう売り切れてるわよ?」

「えっ!?そうなの?購買ってそんなに人気だったんだ。どうしよう・・」

「だから私のお弁当を食べるしかないと思うわよ?」


そう言って七海が机の上にお弁当を広げ始めた。対抗するように杦本さんもお弁当を広げ始める。


その間、俺は置いてけぼりだった。


(・・どうしてこんなことに?まあ正直空腹で限界だったから助かるけど)


 朝は急いで朝ご飯も食べれてなかったので嬉しい申し出を断る理由もなかった。


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